2011年度事業計画

1 基本方針
 「地域の力で人と地球の未来を拓く」この「基本テーマ」を本年の東京地婦連の根本的な活動理念として、2011年の第一歩を踏み出します。
 この度の1000年に一度と云う未曾有の大災害(東日本大震災)に際し、私共は自然の大きな脅威に対し、なすすべもなく、立ちすくむ思いでした。不幸にも亡くなられた多くの方々のご冥福を切にお祈りし、ご遺族の皆様に深く哀悼の詞をささげます。又、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
 私たちはこの時、今だからこそ、この大災害から大きな教訓を得て、高齢者・医療・地域の連帯・環境・安心安全を深く考え、適切な活動を進める時であると思います。
 具体的には、災害弱者の地域での把握(ロードマップ作り)、避難誘導のあり方、すみやかで正確な情報の伝達方法、ボランティアの育成、避難所の情報、これ等の提言、推進など、地婦連ならではの活動ではないでしょうか。
 今回、原発神話が崩壊し、世界的な事故として各国も注目しています。残念なことですが、これも原発に頼りすぎたエネルギー政策に冷水をあびせました。基本的に反対を表明していた東京地婦連としては、これを機に、抜本的な見直しをはかり、再生可能な自然エネルギーの開発に力を入れてほしいものです。この際は、核兵器廃絶と平和こそ人の生きる道であることを広く国内はもとより世界に呼びかけるチャンスにしたいものです。
 日本のこれからの歩みを世界が注目しています。「日本の回復力と不屈の精神に、気高さや勇気を見出している。まもなく世界はそれを目の当たりにするだろう」(アメリカ、ニューヨーク・タイムズ)。私たち東京地婦連は、未来に大いなる希望を見いだし、新しい地域づくりの実現に尽力しましょう。
2 重点事業
(2011年度テーマ)  「地域の力で人と地球の未来を拓く」
中央集会並びにブロック別協議会
ブロック別協議会を都内2ヶ所で開催
また、その集約の中央集会を年度末に開催する
第57回指導者研修会
地域社会が活力を持つための研修として、災害時の地域婦人会としての責任・役割について等をテーマに9月実施予定。
各部活動の充実をはかる
東日本大震災による諸問題への対応
高齢者をめぐる介護・医療制度への取り組み
DVDと体験文集「戦争を語りつぐ」の普及
活動及び調査研究
問題によっては実行委員会を設けて推進実行委員会には関係各部から参加するほか、組織外からの参加を求める
◎ 次の事業を行う
(1) 消費生活及び、環境、福祉問題等に関する活動、調査研究、情報の収集の提供並びに集会の開催
@ 消費生活及び環境、福祉問題などに関する活動
ア.消費生活にかかわる運動への取り組み
 大震災に原発事故と未曾有の大災害は、消費者の消費行動に大きな教訓を残した。一部の消費者であっても、スーパーの食品・雑貨の売り場に空棚が目立つほど「買占め」が起きたことは事実であった。このことを踏まえ、大消費地東京を支えている生産者の販路を絶つような風評被害なども含め、冷静な消費者行動への啓蒙と、国には国民の健康を第一とし、あいまいでない正確な情報を迅速に伝達し、適正な流通を促すよう働きかけていく。
 手口がますます巧妙化している悪徳商法については、他団体・行政と協働を図りつつ、被害の未然防止に取り組む。
 市場の商品に監視の目を向け、不適切な表示・偽装などに対しては速やかな是正を求める運動を行う。
 食の安全に関しては、安全性が疑問視される「照射食品」の反対運動を引き続き他団体と共に推進する。

イ.地球環境をまもる運動への取り組み
 大震災・原発事故により、私たちの暮らしの安全性・利便性は脅かされている。消費者として生活環境を守るために、何を行うべきか、自然災害・人災の両側面からその教訓を生かし暮らしの安全を取り戻すために、以下のような問題について多面的に取り組む。
@ エネルギーの多様化の推進―制御困難な原発事故は、電力供給を危うくし、大震災は石油(化石燃料)の流通を混乱させた。従来型のエネルギーを見直し、地球温暖化防止対策活動として創エネ運動の推進に向けて、最近開発されているシステムの見学・研修を行い、消費者としてより身近に深く創エネにたずさわると共に、より徹底した省エネ生活の推進をはかる。
*創エネ 太陽光発電や風力発電、バイオマスなどの再生可能な新エネルギーの創出
A 放射能による大気汚染―水道など飲料水や土壌汚染問題・食品汚染問題。
B 老朽化した配管・液状化現象による断水問題―耐震化の必要性。
C 交通マヒと帰宅困難者問題。
D その他―危機管理のあり方など。
また、環境保全に向けての活動として、緑の保全事業・大気汚染測定運動・グリーンコンシューマー運動などに引き続き取り組む。
生活環境を守る視点から、土壌汚染・廃棄物問題及び地域ぐるみで防災に取り組むなど、身近な地域活動を推進する。

ウ.青少年にかかわる運動への取り組み
 未来を担う青少年が、社会的責任を自覚し、自らの役割を果たしながら、地域の中で成長していくことは、地域住民すべての願いである。しかし青少年問題は社会が大きく移り変わり、深刻な状況になっている。青少年による凶悪事件やいじめ、暴力、インターネットを利用した事件が多発し、犯罪年齢も低年齢化している。この原因は、家庭、学校、地域社会など、広範な領域に渡る影響が絡み合っており、言い換えれば社会の問題そのものである。
 そこで私たち大人は、青少年が公共心や自立心を培い、自己を向上させていかれるように支援し、青少年の健やかな成長を阻害する要因を除去していかなければならない。この視点に立って家庭、学校、地域、企業、団体、行政などと一体となり、青少年の育成に取り組んでいく。
 
エ.地域福祉への取り組み
 福祉制度の改正について関係機関と連携して勉強会を開催する。急速に進行してい る高齢社会に対応するため、介護、医療、住宅、など地域福祉の諸問題についての学習や福祉施設(ケアステーションなど)の見学などを実施する。また、昨年度実施の介護福祉用品に関する調査結果をもとに、家庭介護における福祉機器について、取り組む。
 最近ますます増える高齢者を狙う悪質商法、「振り込め詐欺」にだまされないよう啓蒙する。また、少子化問題への取り組みとしては子育て支援、児童福祉施設の充実を図るための運動を推進する。
 
オ.平和を築くための運動への取り組み
 平和を築くための運動―核兵器廃絶を訴え、戦争の恐ろしさ、むごさを次の世代に伝える運動。自分の国内で原発事故を起こさないよう政府にしっかり対策を立てももらうよう働きかける。憲法九条をまもる運動。北方領土返還運動に参加。
 第五福竜丸をシンボルに、東京地婦連植樹の八重紅大島桜の下で「お花見平和のつどい」を毎年開催する(市民8団体による「第五福竜丸から平和を発信する連絡会」が主催)。平和を願い折った折り鶴を千羽鶴につなげ広島・長崎に献納する。ピースアクション、輝け9条フェスタなど他団体とも連携して運動する。
 
カ.男女共同参画の推進への取り組み
 東京都内各区市町村での男女平等基本条例の制定に向けて、地域における男女平等の実現をめざす。男女雇用機会均等法・育児休業法・介護休業法の実効ある運用の推進に向けて取り組む。社会全体でワークライフバランス(仕事と生活の調和)を推進し、だれもが生きがいのある地域生活を確立していく。また、ジェンダーフリーの意味の正しい考え方を広め、男女平等の基本的考え方の理解を進める。各地域での実情を話し合い活動に生かす。
 
キ.政治への関心を高める運動への取り組み
 政治に関心を高める運動―税金の使い方をしっかり見つめる運動。いつまでも止まらない天下り防止について、公的な監視組織の設立について求めていく。
A 調査研究、情報の収集提供並びに集会の開催
 大気汚染測定調査、後期高齢者医療制度・改正介護保険制度の問題点の調査研究・情報収集など。
(2) 地域女性団体の指導者の養成
 ブロック会議、指導者研修会、学習会の開催。
(3) 広報活動並びに機関紙「婦人時報」の発行
 毎月15日発行。大判2ページ。「婦人時報」の購読の推進。
(4) 他団体との連携並びに共同・交流活動
平和運動→北方領土の返還を求める都民会議、平和憲法をまもる市民と団体の会、第五福竜丸から平和を発信する会、東京大空襲訴訟を支援する会などで活動。
消費者運動→東京都消費者月間実行委員会、東京消費者団体連絡センター、生活をまもる都民会議、全国消団連、PLオンブズ会議、照射食品反対連絡会、司法に国民の風を吹かせよう実行委員会等で活動。
環境保全運動→グリーンコンシューマー東京ネット、大気汚染測定東京連絡会。美しい東京を作る都民の会などで活動。
政治への関心を高める運動→ストップ・ザ汚職議員の会で活動。
青少年健全育成運動→サッカーくじに反対する13団体で活動。
健康を守る運動→全国結核予防婦人団体連絡協議会で活動。
(5) 目的に掲げる諸活動の普及啓蒙活動
文化を育てる取り組み→広く文化を育て、特に東京の文化財、史跡等への関心を高める学習・視察、美術の鑑賞等を推進する。観劇会の実施。
健康を守る運動→健康を守るための活動を推進し、生活習慣病、感染症などの予防につとめ、複十字シール募金活動を行う。
(6) その他、法人の目的を達成するための事業
賛助団体の普及。
地婦連が開発した商品「ちふれ化粧品」の普及と頒布。
北方領土返還要求早煮昆布の頒布。
その他。