拙速な米国産牛肉の輸入再開について
2006年6月26日
厚生労働大臣 川崎二郎様
農林水産大臣 中川昭一様

 私どもは全国各地に根ざす地域婦人会(全国地域婦人団体連絡協議会、会員数500万人)の東京の組織です。
 BSE問題につきましては深刻かつ重大な問題と受けとめ、国内における発生当初より家庭の食卓や中食・外食の安全を守り、国内外のBSE制圧を図るために、消費者の立場から率直な発言や要望を重ねてまいりました。
 過日開かれたリスクコミュニケーションでは、米国側のレビューの結果として米国の農務省の農業販売促進局(AMS)が提出した「日本向けEVプログラムに関するAMS監査報告書」(06年5月)が、米国産牛肉の輸入再開問題の重要な判断材料であることが明らかにされました。
 しかし監査がその内容について疑義を持たれないためには、実施者が輸出促進とは直接利害関係を持たないことが必須条件であるにもかかわらず、この報告を行ったのはまさに販売促進を主たる業務とする部局であり、監査の対象とされた35事業者と利害関係を同じくする立場ということになります。しかも書類をチェックする手法では、安全性の担保にはほど遠いものといわざるを得ません。現場の状況については不透明なままです。
 もとより米国のBSE対策はEUにも遠く及ばず、飼料規制・特定危険部位(SRM)の除去体制・耳標による個体の管理など、不十分なままです。今回提示された追加措置は、日米いずれについても気休めの域を出ていません。日本向けEVプログラム(輸出プログラム)それ自体が、米国の輸出再開に道を開くために政治的に作成された経緯があり、信頼性に欠けるものといわざるを得ません。
 私どもは、圧力をかければ断れない立場の、わが国をはじめとするアジア諸国など弱い国々に向けられる、BSE制圧とはかけ離れたご都合主義の米国の輸出政策に承服はいたしません。
 関係各位には国民のための、またBSE制圧のための施策をおろそかにせず安易な輸入再開を行わないよう、強く要望いたします。
 なお万一国民の反対を無視する形で米国産牛肉の輸入再開が図られたような場合、私どもは買い控えますが、商品選択を適正に行うためには、牛肉類の原産国表示はもとより、加工食品や中食・外食を含めた使用牛肉の原産国表示の徹底が不可欠であることを申し添えます。
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