東電の電気料金値上げ反対の要望書
2012年5月25日
東京電力株式会社
取締役社長 西澤 俊夫様 
特定非営利活動法人   
東京都地域婦人団体連盟

私達は電気供給約款変更による電気料金値上げ申請に反対します!

 東日本大震災・津波による甚大な被害は、暮らしのインフラである電力の分野に及び、私共消費者は被災地の人々と苦しみを分かち合う思いで、計画停電に協力し省エネに努めて参りました。しかしながら日本中を震撼させ今なお多くが放射能汚染被害に苦しむ、制御すら出来ない福島第一原発の事故は、きっかけは自然災害ではありますが、事業者責任である「安全を第一に、自然の脅威に備えること」を怠った御社に起因する人災でもあります。
 取り返しのつかない事態に加えて、ここ10年の御社の届け出原価は水ぶくれしており、電気の安定供給に要した実績額との差が6000億円近くあることが判明しています。小口と大口間における過去の収益の著しいアンバランスもまた、受益者負担の平等の原則に反し、是正無くしては小口へのツケ回しといっても過言ではありません。公表された今後の事業計画についても、安全性の視点、再生可能エネルギーへの転換、エネルギーの地産地消などの視点を置き去りにしており、社会的責任を果たす内容とはいえません。
 この度の電気料金の安易な値上げ申請に対し、私たちは御社の姿勢に唖然とするだけでなく、憤りを覚えます。
 
 かつて「総括原価方式」にヤードスティック査定が導入された際には、国は「値上げ申請があれば、内部留保をはじめムダな支出をチェックして、コスト削減にともなう安全性へのしわ寄せは無いかなどの査定を行う。」として、導入による内外価格差の圧縮のみならず、高い電気料金の透明性を高め、競争原理を働かせるメリットを掲げたはずでした。しかし電力会社の経営の在り方、事業収入・支出の在り方、事業の安全性などを問うはずの査定制度は結局機能しないままで、小口は自由化されず地域独占は続いています。消費者は優越的地位にある電気事業者に対し受け身で弱い存在です。
 
 小口の値下げの場合、下げ幅が妥当かどうか原価の内訳を問わず届け出ればよい制度となりました。この十数年間に大口の自由化は進み、不十分ながら新規参入の「新電力」との競争が始まりましたが、一方家庭など小口の規制部門では原価も不透明なまま燃料費調整制度がプラスされ、私たちは昨今「原子力」から「火力」にシフトした分の燃料費の増加分をすでに負担しています。
 
 消費者は電力会社を選べません。また発・送電はじめ個々の原価内訳に関わる情報の提供は極めて不足しています。このまま10.28%と言われる根拠のはっきりしない電気料金の値上げを押しつけられることは、家計負担への影響も大きく、承服できないことです。

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