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■2009年7月15日付
北方領土返還都民会議 09年度通常総会
現地視察学習会など運動のすそ野広げる
安全でおいしい水を
都水道局へ要望書 プロジェクト一層の推進
地域力アップへ活発な発表、意見交換
全地婦連リーダー研修会
食品安全行政に係るお願い
各党へ要望書提出
PLオンブズ会議 2009年度報告会
消費者庁事故情報一元化の現状と課題を分析する
平成20年度版「国民生活白書」から学ぶ
「消費者市民社会」を展望 始めて消費者に焦点当てる
地域ニュース

■北方領土返還都民会議 09年度通常総会
現地視察学習会など運動のすそ野広げる
 北方領土の返還を求める都民会議は二〇〇九年度通常総会を六月二十五日、ルポール麹町で開催しました。東京都からのあいさつに続き、内閣府北方対策本部、北方領土問題対策協会から最近の動きや都民会議の活動へ謝辞が述べられました。事業報告で中学校での北方四島を考える公開授業の実施や返還要求行進、パネル展の広がりについて報告があり、新年度の活動には間近に北方領土を見る体験を通して、特に北方領土問題に関心のある教員のすそ野を広げ、次代を担う青少年に対し啓発活動を行う人材を広げようとする意図を持って、現地視察学習会(根室訪問)の提案がされました。総会議事は満場一致で通過しました。
 都民会議会長を務める、川島霞子東京地婦連会長のあいさつと報告です。

通常総会を終えて
 「領土問題」は総じてその複雑さ、困難さは十分理解しているところですが、今回北方領土返還を求める都民会議総会の当日、「北方領土特措法の取り消しを求める」とのロシア下院の表明採択が報道され、一層その思いを強くいたしました。
 「北方領土をわが国固有の領土」と明記した北方領土問題等解決特別措置法改正案が六月十一日、衆院本会議で全会一致で可決されたことに対し、ロシア下院は二十四日、衆院に決議取り消しを求める声明を採択し、「衆院決議を取り消さない限り、ロシア指導部は日本との北方領土交渉を続けるべきではないなどとしている」(朝日新聞)。
 二国間国民の常識の乖離(かいり)がいかに大きいかを、思い知らされた現実でした。
 みなさまもご承知のように、領土問題は二転三転、一喜一憂してきましたが、今回のような深刻な状況をつきつけられると、問題の厳しさに今更のように身の引き締まる思いです。近日中に開催されるサミットの席上の両国首脳の会議も、これではとても明るい展開は期待できず、かえって麻生さんがヘンな妥協をしないで帰国してほしいなどと心配になります。
 さて総会は各団体から多数の出席があり、みなさまの北方領土に対する思いの深さに感銘を受けました。昨年の事業報告を伺い、新しい事業も取り入れ、少ない予算の中で充実した活動をしてくださいました。

友好と信頼の上に立って
 今回の状況で感じたことは、領土問題は一つ間違えると大変微妙で、一歩踏みだすことによって両国民のナショナリズムを刺激し、いらざる不信感や感情的溝をつくる恐れもあります。あくまでも日ロ間の友好と信頼の上に立った交渉であり、返還を求める運動でなければならないと思います。
 これが現時点で、私たちの最も心すべきことであることを書き添え、お礼と報告といたします。
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■安全でおいしい水を
都水道局へ要望書 プロジェクト一層の推進
 東京地婦連は六月二十九日、東岡創示東京都水道局長あてに、「安全でおいしい水プロジェクトの一層の推進について」要望書を提出しました。昨今、都民の水に対する関心の増加を見てみると、浄水器のJIS改正の動きやスーパーでの大型浄水器の利用が増えている現状があり、その背景には、水道水への不安が払拭できない事情があるといわざるを得ません。かねて東京地婦連では、「安全でおいしい水の確保」について関係方面への要望を行おうと検討していました。
 折しも、東京都は六月を水道ふれあい月間にして、安全でおいしい水プロジェクトを積極的に展開しています。
 そこで、飛田生活環境部副部長と長田事務局次長が急きょ出向き、都水道局サービス推進部の担当者と意見を交換し、局長あてに要望書を手渡しました。面談に応じてくださったのは、水道局サービス推進部広報サービス課長の岩崎浩子さんと課長補佐の西川好昭さんです。
 二人は私たちの要望に対して理解を示され、「水道局のこれまでの取り組みへの評価とますますの声援と受け取り、今後も努力したい」との話がありました。
 私たちも、「医薬品などの影響についてもぜひ目を配っていただきたいし、どちらかといえば小学生を中心に展開している広報活動をより幅広い世代を対象に、多くの都民に東京都の取り組みを知らせることの大切さ」を伝えました。

今後は大型浄水器にも関心を
 東京地婦連は、スーパーなどに設置されている逆浸透膜の大型浄水器は無駄水を大量に発生させることや、「ミネラルを完全に除去してしまうため、身体へもよくないのではないか」との指摘について今後さらに関心を高め、東京都の消費者行政担当部署やスーパーマーケットの業界などへも働きかけていきたいと考えています。
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■全地婦連リーダー研修会
地域力アップへ活発な発表、意見交換
 六月二十四・二十五日、全地婦連主催のリーダー研修会が埼玉県嵐山町の国立女性教育会館で開催されました。全国五〇団体代表九〇人が集い、活発な発表、意見交換が行われました。東京地婦連からは二人参加しました。
「つながり」をキーワードに、グループ討議が続く=6月24日、国立女性教育会館
キーワードは「つながり」
どう構築していくか

 一日目は開会あいさつの後「地域婦人会のネットワークをどう強化していくか」をテーマに話し合いました。誰もが安心して暮らせる社会の実現に向け、また、男女共同参画の問題など、山積する課題について地域婦人会の果たす役割・期待に対し、ますます地域力をアップするためにはどうしたらよいか、などについて意見を出し合い、学びました。
 事例報告は、三県から発表がありました。最初の発表では、「婦人会と自治会婦人部の関係では、うまくいってとてもよい関係のところと、ある自治会では婦人会が独自に連携して、ネットワーク作りをすることを提案したが、理解が得られなかった。また、自治会婦人部は男女共同参画だからいらないなど、会長の一声で婦人部を外されたところもある、……などなど難問山積だが、足元を固め、地域にネットワークを作りたい」と発表。
 次に「ある大きな単位連合婦人会が府連から脱会、二町一市が下りることになり困ったこと。それは、若い会長が子育てと仕事という大きな課題を抱え、地域の運動に対応できず脱会に至ってしまい、地域のつながりの大切さを痛感した。今は一単位団体としてやれる範囲でつながりを大事にしていると」という発表。
 最後の事例は「丹頂鶴一羽が舞い降りたことから、『丹頂鶴を愛する会』ができ、婦人会と町の人、さらに行政を巻き込んで川の浄化、住みやすい環境づくりに協働し、地域力アップにつながった」など、地域の悩み、地域に根ざした意義深い活動の発表がありました。
 その後六グループに分かれた討議でのキーワードは「つながり」。地域のつながりと苦労、解決方法などが話し合われました。自治会婦人部との問題は、それぞれの地域で苦労の多いことがわかりました。
 講演は「男女共同参画基本法制定一〇周年記念‐地域における男女共同参画のとりくみの重要性」と題して、堂本暁子前千葉県知事からお話を聞きました。
 全国各地域の事例報告などから、多くを学ぶことができました。

「地域の力」に期待
中身濃く4つの議題

 二日目の研修は午前九時から正午までの三時間に四つの議題が目白押しで、各々重い課題に身が締まりました。
 最初の議題「製品事故情報と安全性確保に向けた取り組み」では、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の並木英雄さんがFF式暖房機、ガス給湯機器など事故事例を挙げ情報の収集から原因究明に至る過程を話しました。
 事業者サイドばかりではなく、使用者の誤使用や不注意などによる事故も多発しているとの指摘。四月から長期使用製品安全制度がスタートし、メーカーに所有者が登録されます。「NITEはこの制度定着を見守り、消費者が安全な暮らしができる手助けをしたい」と話しました。
 第二議題「標準化の果たす役割と課題について」では日本規格協会消費者関連標準化推進室の永田智子さんが講演。「標準化」はほとんどの受講者になじみのない言葉でしたが、「JIS」マークは周知しています。
 シャンプーボトルのギザギザ、携帯電話や電卓などの5のキーについている小さな突起の意味など、やさしいところから話を広げながら、「標準化の理解を深めて欲しい」と話し、今まで気づかなかった部分も多かったことを改めて知りました。
 第三議題「農政改革の展開方向」について農水省の山口靖さんは農政をどう改革すればよいか、世界の食糧需給の中で日本農業の役割、食品の安全性向上、自給率向上、担い手育成、農漁村の機能向上などについて、三〇分に凝縮して熱く語りました。
 最後は「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女について」で、内閣府男女共同参画局酒巻哲郎さんの講演。女性の貧困は子育て年代だけの問題ではなく、非正規雇用の増加、学歴、DV被害、国際結婚の増加などの現状が根底にあり、貧困は連鎖した拡大の傾向で深刻です。
 この重い現状を関係機関はどう取り組むかはこれからの課題ですが、「安心して親子が生活できる環境づくりは地域の力にゆだねるところです」と結びました。
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■食品安全行政に係るお願い
 各党へ要望書提出
クローン家畜技術実用化は進めない
食品への放射線照射香辛料などへ拡大しない

 衆議院議員の任期も残すところわずかになり、永田町周辺は国民不在で解散総選挙の駆け引きに明け暮れている昨今です。しかしこの間にも体細胞クローン家畜をめぐって、食品安全委員会が再度「安全である」と公表したり、放射線照射食品拡大について厚生労働省がその是非を審議会にかける動きを見せるなど、私たちの食生活を脅かす食品安全行政の迷走ぶりはとどまるところを知りません。六月二十九日、各党に対していずれも大半の消費者が求めていない二項目を選挙公約に盛り込むよう「衆議院議員選挙にあたって食品安全行政に係るお願い」と題する要望書を八団体の連名で提出しました。
 東京地婦連ではパルシステム東京・日本消費者連盟とともに、そもそも選挙公約を掲げるか否で内輪もめしている自由民主党を除き、公明党、民主党、社会民主党、国民新党の政策担当事務局と、日本共産党は紙智子議員室へ要望書を直接届けて、趣旨説明をしました。自民党へは、事前に消費者側から政策担当事務局へ連絡しましたが、不在でしたので郵送しました。
 骨子の1は、体細胞クローン家畜技術は不完全・不安定であり食品としての安全性も十分に確認されておらず、表示されないまま食卓に上る可能性が高い。実用化しないことを選挙公約に入れていただきたい。
 2は、現在食品衛生法で原則禁止されている食品への放射線照射を香辛料などに認めさせようという動きがあるが、必要性もなく消費者の不安を押し切ってまで照射を拡大しないことを公約していただきたい、というものです。
 この日の各党の反応は、公明党は特別の反応なし。民主党は、「体細胞クローンは入れていますが……」。社民党は消費者からの「日頃からご理解をいただいていますね」との語りかけにうなずき、共産党からは積極的な同意を得ました。
 国民新党は「組織が小さくなかなか手が回らないが、2項目とも同感」とのことでした(ちなみに照射食品反対連絡会の活動で民主党・社民党には国会質問などで協力を得ています)。
 要望書の要請団体は、東京地婦連、パルシステム東京、日本消費者連盟のほか、主婦連、大地を守る会、都地消連、日本有機農業研究会、フォーラム平和・人権・環境です。
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■PLオンブズ会議 2009年度報告会
消費者庁事故情報一元化の現状と課題を分析する
 全国消団連PLオンブズ会議二〇〇九年度報告会「消費者庁 事故情報一元化の現状と課題」が七月一日、一七〇人が参加して主婦会館で開催されました。毎年PL法の施行日である七月一日に報告会を開催しているオンブズ会議ですが、本年のテーマは、今秋にも設立される消費者庁に設けられる事故情報一元化の仕組みの現状と課題の分析としました。各分野からの報告と、報告者をパネラーにパネルディスカッションが行われました。総合司会を、東京地婦連の長田三紀事務局次長が務めました。
秋へ向けた準備状況
 PLオンブズ会議メンバーの清水鳩子さんが開会あいさつを述べ、内閣府消費者庁・消費者委員会設立準備室の野村裕さんから「消費者庁事故情報一元化の準備内容について」、事故情報データバンクのシステム構築、事故再発防止のための専門機関との連携など、これまでの準備状況を報告していただきました。
 システムの在り方については、国民生活審議会の消費者安全に関する検討委員会の報告をもとに、理想とする姿について述べました。その上で、「寄せられた事故情報をナマのまま公表することに関しては、風評被害などの心配もぬぐえないので、秋に設立される消費者委員会で議論をしてもらう予定である」とのことでした。

データベースの品質管理が重要
 続いての報告は、NITE(独立行政法人製品評価技術基盤機構)の川上景一さんから「NITEの事故情報収集制度について」です。「約二万五〇〇〇件のデータが検索可能であり、情報を生かすためにはデータベースの品質管理・情報源の拡大が重要である」と話されました。
 メンバーの土田あつ子さんは、一元化の対象となる「各省庁の事故情報システム」について、「実際にデータベースの検索を行ってみると、その多くで検索が困難な状況である」と指摘しました。
 宮本一子さんからは「米国CPSC(消費者製品安全委員会)の情報収集・公表システム」について、現場の担当者の生情報が世界中から検索できる仕組みがあること、また貴重な医療関係機関からの情報は対価が支払われて収集されていること、などが報告されました。

目指すべき仕組みは
 最後に、情報通信分野の技術者から見て、消費者庁が目指すべき仕組みとはどういうものなのかについて、高速インターネットを活用した企業向け情報共有システムの開発・提供を目的とする会社ナレッジオートメーション(株)の谷村廣夫さんが話しました。
 システムとして、各省庁のデータベースをつないで情報を取り込むことは現在では難しい仕組みではない。世界的なインターネット情報を検索して、何が起こっているかを分析し、調査の端緒にしていくことの有効性、また分析に役立つ情報の可視化、についての提案がありました。

パネルディスカッションで意見を交換
有効な事故情報システムの構築へ向けて
パネルディスカッション

 続いてのパネルディスカッションは、「消費者庁事故情報一元化の現状と課題」と題して、中村雅人弁護士をコーディネーターに、各報告者が意見交換をしました。その中では、各省庁のデータベースをつなぐといっても、まだ紙ベースでの資料しかないところもあり、理想通りにはいかない現状も明らかになりました。
 ただ、紙面上の情報をすべて手入力しなくても、紙を読み込み、キーワードをふることによって、データベース化することは可能であるとの提案や、消費者庁の分析官の役割がまだ不明確であるとの指摘がされました。
 残り数カ月の準備期間でどこまで有効な事故情報システムが構築できるかは、私たちの関心の寄せ方、幅広い意見を届ける努力にかかっていることが明らかになりました。
 これらの意見を受けて、メンバーの太田吉泰さんが今年度の「提言」を発表し、長見萬里野さんが閉会あいさつを行いました。

「消費者事故情報の一元化」に対する提言
 消費者事故情報の一元化は、消費者被害の予防と再発防止にとって極めて重要な課題です。目下、この秋にスタートする消費者庁が担うことになる情報収集・公表のシステムはどうあるべきか、に大きな関心が集まっています。
 消費者のために製品安全問題を広く検討してきた私たちPLオンブズ会議は、この問題について検討を重ねてきましたが、本日は多くの関係者のみなさんにもお集まりいただき、わが国の事故情報収集・公表の現状を明らかにするとともにアメリカの状況を参考に、消費者事故情報の一元化のあり方について意見を交換しました。
 本日の論議でも明らかになったように、わが国の事故情報収集の現状は、そもそも発想として「事故情報は国民の共有財産である」との基本的な考えに基づいておらず、多数の機関が情報を収集しているものの、それぞれの機関が縦割り的に保有し、共有化が十分に図られていません。特に警察、消防や病院の保有する事故情報はその傾向が強く、消費者被害の救済や事故の再発防止・予防を難しくしています。
 また、収集した事故情報が直ちにそのまま公表されるようにはなっていません。公表しないか、公表しても加工して非常にわずかな情報しか提供しないものがほとんどです。公表の迅速性を含めて、消費者に役立つように情報が提供されているとはいえないのが現状です。さらに、事故情報に基づいて原因究明を行い、事故の未然防止につなげていくことは今後に残された大きな課題です。
 このように現状のシステムは改善すべき大きな課題を抱えています。私たちは、消費者の安全・安心の確保に役立つ「消費者事故情報の一元化」の実現を心から願い、以下の点を提言いたします。



 事故データベースに収録される事故データは、消費者庁の名にふさわしく、消費生活すべての分野を網羅し、また警察・消防・病院を含め、全公的機関の所有する事故データや消費者団体などが収集している事故情報も加えること。
 事故データ収集に過大な費用を必要とする人的作業は避け、相互のデータベース間で自動的に情報が提供されるシステムを構築すること。加えて民間からの情報提供がスムーズに行われるようなシステムであること。
 原因究明につなげる仕組みを確立するため、収集された事故データの分析・原因解明に十分な人員を配置すること。
 被害の防止という観点を重視した公表制度とし、消費者をはじめ民間から情報へのアクセスがスムーズに行えるものにすること。
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■平成20年度版「国民生活白書」から学ぶ
「消費者市民社会」を展望 始めて消費者に焦点当てる
 平成20年度版「国民生活白書から学ぶ」学習会が六月十六日、白書を監修した内閣府国民生活局の高橋敏明政策企画専門官を講師に招いて、東京都消費生活総合センターで開かれました。主催は東京消費者団体連絡センターと東京都生協連です。東京地婦連は、十人の役員が参加して学習しました。
「消費者市民社会」という新しいことばが登場した「国民生活白書」学習会=6月16日、都消費生活総合センター
 国民生活白書は国民生活の実態がさまざまな形で取り上げられており、毎年その年の世相を反映したものとして評価されています。平成20年度版は昨年暮れに発表され、欧米では使われている「消費者市民社会」という新しいことばを登場させて「消費者市民社会への展望〜ゆとりと成熟した社会構築に向けて〜」と副題をつけています。
 はじめて消費者に焦点をあて、消費者問題を見据えて消費者政策を正面からとらえ、消費者主役の社会を目指すことを提言しています。
 わたしたちは、この白書の提言が消費者行政の推進へとつながることを期待したいものです。
 白書では消費者市民社会とは「消費者・生活者がいきいきとし、自らの自己実現と社会のあり様を消費者・生活者の視点から望ましい姿に変えていける社会」で、そうした社会実現に当たっての課題は、「消費者市民の積極的な関与によって築かれ、それは社会的弱者にとっても住みやすい社会になる。
 つまりはそれが温かいまなざしをむけられるゆとりと成熟した社会の構築になる」と結んでいます。
 ストレス社会が進行
 消費者被害の経済的損失額を具体的に推計しながら、消費者被害にあっても消費者センターや公の機関に相談する人は少ないことは、公的機関が信用されていない、消費者自身の権利意識も海外に比べ低いと分析。日本の豊かな消費社会の中にいても、国民の幸福感は高まっていない。高齢になっても幸福度が増しておらず、むしろストレス社会が進行している。このようなストレス社会の解消、(1)消費者市民が活躍できる場の提供が必要(消費者市場行動)(2)社会に貢献したという意識の高まりを行動にまで結び付けるには価値規範の転換が必要(社会的価値行動)(3)ストレスフリー社会のためには長期の休暇が取りやすいバカンス文化の普及が大切(幸福の探求・生活の満足度)。

白書を政策・行政に直結させ
 それに向けた解決には「少額多数被害が放置され、市場淘汰の機能が働かない状況からの脱皮が必要で、集団的損害の救済の仕組みが重要」「消費者政策を科学して、制度設計に生かしていくことが必須」「教育の重要性は高まっているが、今までその効果は十分上がっておらず、消費者市民社会で生きていく力となる教育が不可欠」とまとめています。
 参加者からは、白書を発表するだけでなく、政策や消費者行政に直結させてほしいと声が次々とあがり、講師も、「国会や国民にその提言を受け止めてもらい、社会の問題として共有、着実に実行していきたい」という姿勢を示しました。
 秋には内閣府に消費者行政の一元化となる消費者庁が創設されます。私たちもこの白書を大いに活用、活動に生かしましょう。
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■地域ニュース
第49回葛飾区夏野菜品評会
 葛飾区農業委員会は、農業者の営農意識向上と農産物の品質向上をはかるとともに、広く区民に区内農産物を紹介し、葛飾農業の理解と、農業と触れ合う機会を増やしさらに充実させたいとの考えで、夏と秋の二回、野菜の品評会を開催しています。
 七月三日、夏野菜品評会が開かれました。公募で、区民のみなさんが審査員として参加します。倍率は三倍。男性二人、女性七人が当選しました。
 エダマメ、トマト、キュウリ、トウモロコシなど三二品目二七四点の出品の中から優秀賞・優良賞を選び、賞にもれた中からさらに六点を区民賞として選びました。
 私たちが選んだ区民賞の作品は、しっかりした葉も茎も全部おいしそうなコマツナ、小さいけれど巻いて重いキャベツ、まるかじりしたいトマト、色つやが良いナス、赤い色のジャガイモ、さらに大きさも手ごろのムラサキタマネギと、市場には出荷できそうもないけれど「食べてみたい、料理してみたい、作ってみたい」という視点で選びました=写真。審査委員長を務めた私は、区民賞の講評発表をいたしました。
 梅雨に入り、気候も不順で、作品発表会は大変だったと思います。生活している私たちも暑さが早く来たり、涼しくなったりして、暮らしも大変なのに、生きものである野菜を育てる農業のみなさんもご苦労があったことと思います。
 審査委員からは「参加できてうれしかった」「選ぶのは難しい」という声もありました。天候本位の生野菜、ご苦労はあると思いますが、「生活者のため、自給率を高めていきたいので、葛飾区の農業発展のため後継者を育てながら頑張って充実発展するよう、そして安全・安心で少しでも安価にできるよう、私たちの台所に反映させていただきたい」と申し上げました。

ゴキブリゴロゴロゴキブリだんご
向友会

 定額給付金も支給され、年金ぐらしの老人には喜びの声も聞かれますが行く末は多難です。高齢者は病気やけがをしないこと、転倒や火傷の事故も多いようです。うまいもうけ話は赤信号です。
 六月二十六日の定例会は消費生活アドバイザーの花井先生から「トラブルにあったら、消費者センターに相談すること」など、暮らしに役立つアドバイスを受け楽しく勉強できました。
 この日はまた、花井先生の指導で、ゴキブリ団子の作り方を教わりました。匂いもよく、べとつかないので全員が楽しみながら、ごく小さく丸めた団子を作り、持ち帰りました。
 夏はゴキブリの活躍期です。飛んだり、体を薄くしたりしてどこでも入り、這いまわっています。あの足には何がついているのか? と思うとぞーっとしますが、すばっしこくて退治することもできません。
 あれから一〇日ほどわが家でゴキブリの姿が見えませんが、これからも効き目を見続けます。

ゴキブリだんごの作り方
 〈材料〉 ホウ酸300グラム/牛乳12g/砂糖35g/玉ネギ300g/小麦粉140g
 〈作り方〉 (1)=玉ネギと牛乳をミキサーにかけてどろどろにする。玉ネギを少しずつ入れるのがコツ(2)=(1)をボールに空け、砂糖・ホウ酸・小麦粉を加えて混ぜる(3)=団子状にして2〜3日天日でよく干せば出来上がり
 〈仕掛けのコツ〉 押し入れ/風呂場/冷蔵庫の裏/流し台の下に置く
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