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■2010年1月15日付
東京都青少年問題協議会答申へ意見提出
〜表現の自由は守るべき〜
東京大空襲
法廷に日響く怒りと疑問の声
全地婦連幹部研修会
内田消費者庁長官が講演
豆腐業界と意見交換
農の風景
第13回東京農の風景・景観コンテスト
放射線食品照射を考える
中国へ質問状を提出
地域ニュース

■多様性の中ではぐくまれる青少年の権利
 東京都青少年問題協議会が答申素案取りまとめ
人権や表現の自由、通信の秘密守ろう
「メディア社会が拡がる中での青少年の健全育成について」

 東京都青少年問題協議会は、11月24日に拡大専門部会を開き、「メディア社会が拡がる中での青少年の健全育成について」と題した、答申素案をとりまとめ、12月10日まで、意見募集を行いました。この素案は、昨今インターネットや携帯電話に絡んだトラブル、事件などの被害者となり、そして加害者となる青少年が増えているとし、大人の側に青少年を性の対象として扱う風潮が拡大し、青少年を巻き込んでいる面も大きいと指摘しています。その上で、ケータイやネットをいたずらに排除するのではなく、適切な関係づくりを支援することが行政の役割であると論じていますが、残念ながらその具体的な方策として挙げられたものの中には、憲法で守られている人権、通信の秘密や表現の自由を侵すのではないかと心配されるものが含まれていました。そこで、創立以来青少年の健全育成に取り組んできた東京地婦連として、次のような意見を提出しました。
第28期東京都青少年問題
協議会答申素案への意見

 私ども特定非営利活動法人東京都地域婦人団体連盟(略称・東京地婦連)は、昭和23年に創立以来、60年余にわたり青少年の健全育成を大きな目的の一つとして活動を続けてまいりました地域女性団体です。
 このたび公表されました第28期東京都青少年問題協議会答申素案「メディア社会が拡がる中での青少年の健全育成について」の中で、「インターネットが有用で便利なコミュニケーション手段として、青少年に広く浸透し、また、その接続手段として携帯電話等が多く使われている」と現状分析し、また、インターネット上の違法・有害情報が青少年に与える影響への懸念を示されていることに、共通の問題意識をもっております。
 しかし、今回の素案に提案された具体的方策には、憲法によって保障された表現の自由や通信の秘密を侵す懸念がありますので、下記の通り意見を申し述べます。
 
1. 素案p3以降、インターネット上の現状と課題として、青少年みずからが加害者となる事例が列挙されていますが、本来、ネット上の悪意の大人によって受ける青少年の被害こそ、対策を急ぐべきものではないでしょうか。
 本来、青少年のリテラシーの向上が第一義です。道具としての携帯電話への規制やフィルタリングへの過度な期待は、かえって、青少年の判断力を弱めることにもなりかねません。時間がかかるようでも、青少年一人ひとりの力の向上をめざして、さまざまな努力がされるべきであると考えます。
2. p25、9行目 「子どものネットへのアクセス履歴を保護者が子どもを通じずに確認できる機能」は、あきらかに通信の秘密を侵すものです。児童の権利は、大人の権利と同等に守られるべきであり、親子間の話し合いの中で、履歴の確認は行われるべきです。
3. 現在、青少年インターネット環境整備法のもと、民間や政府が役割を担って、青少年の健全なインターネット環境を守る努力を続けていますが、その基本は「民間の自主的・主体的取組の尊重」です。
 しかし、今回の素案p26、4行目 「ネット・ケータイに絡んで青少年が被害やトラブルに巻き込まれた事案において利用されたサイトや、当該青少年の使用していた携帯電話などのフィルタリングの状況について、都が相談窓口等において把握し、確認できた場合には、その利用状況を都が公表することにより、保護者へ警鐘を鳴らすとともに、当該サイト運営事業者やフィルタリング開発業者、第三者機関等に対して基準への反映等の社会的責務を果たすように促す」は、結果的に第三者機関の基準策定に東京都が影響を及ぼす仕組みとなり、大きな問題をはらんでいます。(p28(エ)も同様)
4. p31、15行 「教育・啓発の内容や方法等について、東京都が具体的な基準や指針を定め、事業者等の活動における水準の確保に努める」は、教育内容への過剰な関与とならないよう、配慮が必要です。
5. p33、25行 「事業者においては、その質とともに提供機会の充実を図る必要がある」としているが、加えて、学校側が積極的に出前講座を受け入れるよう、東京都としての環境整備が必要です。
6. p52 19行 「『暗黙のルール』をあらためて再認識し、再構築するとともに、人と人とのコミュニケーションの中で、特に『共通感覚』の形成途上である青少年のみならず、可能な限り多くの個人が、ネット・ケータイ時代の『共通感覚』の形成に参加してもらうよう努めることではないだろうか」とありますが、社会のモラル、ルール感覚は、あくまでも多様性の中で育まれるもので、『暗黙』に一つの感覚にまとめられるべきものではありません。
 私たち大人は、さまざまな考え方をもちながら、青少年を健全に育成するために、青少年の権利をきちんと守り、それぞれの立場で努力するべきものと考えます。
7. 今回の素案にはたくさんの意見が寄せられるものと考えます。どのような立場の方がどのような意見を寄せたのか、個人の方を除き、法人からの意見は、詳細にわたって公開されることを望みます。
*注 「 」は素案引用部分。
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■東京大空襲訴訟「国に救済義務なし」
 東京地裁 賠償請求を棄却
 法廷に日響く怒りと疑問の声
判決の当日の夜、開かれた報告集会=台東区生涯学習センター
 昨年12月14日、東京地裁103号法廷で東京大空襲訴訟の判決がありました。朝早くからわずか18枚の傍聴券を手に入れたいと約120人が列を作っていました。運良く抽選にあたり、私は法廷に入ることができました。
 ところが、裁判長は「原告の賠償請求を棄却とする」との主文だけを、冷ややかに読み上げたのです。法廷内は怒りと疑問の声だけが響いて、皆すぐには立ち去りません。少なくとも一部の原告には良い結果が出るのではと思っていた私、全身寒気が出るような怒りを覚えました。
 判決は「原告の受けた苦痛には計り知れないものがある。旧軍人らと同様に救済を与えることが国の義務であった、との主張も心情的に理解できないわけではない」などと述べていますが、立法を通じて解決すべき問題とし、国に法的な救済義務はなしと判断しました。司法の責任を放棄し、「心情的には理解できるから道義的義務はある」と言っているのです。
 英国やドイツなどの主要先進国では、一般被災者と軍人、軍属を等しく補償しています。
 戦争の恐ろしさ苦しさを経験しない若い裁判官には、原告の悲惨さは想像できないことなのでしょうか。
 その後6時から台東区生涯学習センターで、報告集会がありました。弁護団報告、原告団決意表明のあと、支援団体の一員としてスピーチを頼まれた私は、「原告の方々は大空襲により運悪く被害を受け、不公平な目に遭わされた。そしてまた今日は旧軍人と比べ、大差ある不公平な判決を受けられた。原告の無念さを晴らすため勝利に向かってがんばりましょう」と述べました。
 原告であり、証言者でもある作家早乙女勝元さんが「国土が最も過酷な戦場だったことが、裁判長の心に届かなかったのは残念」と語っていたのは、原告は軍人と同等と言いたかったからだと思います。
 12月25日、原告113人は控訴しました。必勝を願うばかりです。
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■全地婦連幹部研修会
 内田消費者庁長官が講演
「積極的な後押しを」
 本年度の全地婦連幹部研修会が12月14日・15日の両日、国立オリンピック記念青少年総合センターで開催され、東京地婦連からは2人が参加しました。
全地婦連幹部研修会であいさつする泉健太・政務官
第1日
 初めに、「消費者行政・何をどう変える」をテーマに、内田俊一消費者庁長官が講演しました。
 同長官は「消費者庁が設立されて3カ月あまり、行政の縦割りを克服し消費者行政を一元化すること、消費者の声が届く、消費者に声が届く全国ネットワークを構築する、消費生活センターを一元的な窓口として強化・拡充することを目的に、さまざまな取り組みを行ってきた」
 「行政の価値規範転換の拠点であり、真の意味での『行政の改革』のための拠点にならなければならない。ただ、一挙に限られた時間の中で実現することは難しいことがたくさんある。消費者行政の強化充実のためには、消費者の声を真摯に受け止める仕組みと消費者による強力な後押しが欠かせない」
 「ぜひ、地婦連の皆さまの積極的な後押しの声をどんどんお寄せくださるよう、心から期待しています」とまとめました。
 続いて、「安全性に係る消費者問題」と題し、国民生活センターの危害情報室の青山陽子室長補佐が、国民生活センターと消費者庁の関係や、センターの役割について説明し、最近の危害事故例を紹介してくださいました。

パート2北方領土問題
 パート2は、「北方領土問題の新局面と返還要求運動」について、北方領土問題対策協会の、井上達夫顧問が講演しました。
 過去の返還要求運動の経緯を紹介しながら、「返還するべきだという要求だけで運動を盛り上げ、世論を喚起するのでは不足で、最後は外交の問題になる」。
 「外交での解決をめざすためには、経済交流等を促進するなど、運動の幅を広げることが大切」と話しました。

第2日
省エネ問題で大胆な問題提起
 課題先進国「日本」〜CO225%削減の主役は「日々のくらし」〜と題し、現三菱総合研究所の小宮山宏理事長(東京大学前総長)が、「私たちの暮らしに省エネ機器を積極的に導入することで、困難だと言われている25%削減を実現させることができる」と熱く話されました=写真。
 自宅を環境配慮型に建て替え、みずから省エネを実践している小宮山氏は「まだ使える家電を省エネ型に買い換えることはもったいないではなく、買い換えないことがエネルギーの無駄になる。エネルギーの節約分を先に前払いしたと考えれば、購入の意欲も出るだろう。北海道から沖縄まで運動を広げたい」と話しました。
 今回、提案の省エネ機器の導入効果での省エネルギーは、これまでの生活のあり方を変えないことが前提になっています。
 しかしまず生活を見直し、エネルギーの無駄使いをしていないか点検した上で、省エネ機器の導入を考えることが大切ではないかと感想を持ちました。
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■豆腐業界と意見交換
 苦しい情況も明らかに
 食卓に欠かせない伝統食品の豆腐、先頃、業界団体より東京消費者団体連絡センターに「東京の消費者と意見交換したい」と申し入れがあり、12月24日に意見交換会が開かれました。主催者側から、全国豆腐油揚商工組合連合会(全豆連)会長の岩本さんほか5人が、消費者側からは葛飾消団連代表の立場で谷茂岡副会長、連絡センターの矢野事務局長、東京地婦連から飛田が出席、宮城大学の池戸教授がコーディネーター役を担当しました。
 冒頭、岩本さんから全国約3000の事業者団体(業界全体の約3割)であり、小規模で高齢化と後継者確保が難しいことから廃業も目立ち、前途多難であることに加えて、スーパー・量販店・ドラッグストアなどでコストを著しく下回る低価格競争をしている地域があり、痛手を受けていることなど豆腐業界の苦しい現状説明がありました。スーパーなどの安売り競争については12月11日に、赤松農林水産大臣に是正要望を行ったそうです。
 続いて業界から、わが国では食品用大豆の約半分の50万トンが豆腐・油揚に使用され、推計では内10万トンが国産大豆であることや、1世帯あたりでは年間75丁(1週間に1・4丁)前後消費されていること、原料のシカゴ大豆相場はこの5年間に値上がりし高止まりしているが、豆腐の平常価格は100グラムあたり33〜34円で変わらないこと、消費量は変わらないにもかかわらず従業員3人以下の豆腐・油揚製造業の出荷額は5年間で8%も減少したことが報告されました。
 さらに、豆腐の原料大豆原産地表示に関するガイドラインについては、我が国の品質表示基準では特定の原産地表示を強調して表示する場合は100%でなくても割合を記載すれば表示できるのに対し、豆腐の場合は100%使用に限って認めているということと、付随して複数原産国の場合は「アメリカ、カナダの北米地域」または「ブラジル、アルゼンチン、ボリビア、パラグアイ等の南米地域」内で生産される場合に限り、大豆(A国またはB国)のような表示を認めている。遺伝子組換えの有無や原産国については地域の保健所からの抜打ちの検査を受けているとの説明があり、続いて意見交換に入りました。
 消費者からは(1)複数原産国表示についてはできるだけ具体的に表示してほしい(2)任意表示になっているが、消泡剤・凝固剤は物質名を表示していただきたい。特に伝統的なにがりによる製法を守り、化学物質の使用を控えてほしい(3)原産国や添加物の表示をしっかり行う必要がある。豆腐を手作りするなど本物の味を知っている消費者がおいしいと思える製品を市場に出して欲しい(4)消費者の食生活は変化しており、今後消費者との交流を積極的に行ってほしい‐‐など発言が相次ぎました。
 池戸教授からは「フランスの食教育はおいしいものを伝えることを重視している。全豆連ならではの本物を大事にしていく姿勢が必要である。これからの時代は自らの証明をしていくことでしか生きられない」との指摘がありました。
 全豆連では来年の2011年3月12・13日に豆腐屋の祭典・東京フェアを開くそうです。
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■農の風景
 第13回東京農の風景・景観コンテスト
 東京地婦連川島霞子会長はJA東京グループが主催する「第13回東京農の風景・景観コンテスト」の審査委員になって東京都地域婦人団体連盟会長賞を授与しました。大都会に残る貴重な農の風景・景観は地域の住民に安心して暮らせる環境として、また子どもたちに心の豊かさを呼び覚ます空間として残るのではないでしょうか。今回15点の実行委員会長賞の中から次世代につながる親子で体験するこの風景を選びました。
東京都地域婦人団体連盟会長賞
農業経営者クラブの親子農業体験畑(東久留米市小山)
 農業経営者クラブは「農業を愛し真剣に取り組む」農業者の集団です。主に東京都農業会議が実施する表彰事業(企業的農業経営顕彰)の受賞者を中心に組織されており、現在は都内の16の区市に農業経営者クラブがあります。
 平成10年に設立された東久留米農業経営者クラブには現在55人の会員がおり、親子農業体験などの市民との交流や視察研修、援農ボランティアに協力などの活動を行なっています。
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■放射線食品照射を考える 連載(19)
反対連絡会院内集会 その後
輸入食品の違法照射が相次ぐ
中国へ質問状を提出

 照射食品反対連絡会では昨年12月10日午前、衆議院議員会館で院内集会を開き、厚生労働省と食品安全委員会に対しそれぞれ「食品への放射線照射の原則禁止を緩和しないで欲しい」「照射食品の発ガン性・慢性毒性について根本的な調査研究を行なうこと」などを申し入れるとともに、20万筆近くの長妻厚生労働大臣あての「照射食品反対署名」を提出しました。
政府の対処を要請
 午後は、民主党山根副幹事長に面会し、午前の様子や署名の結果を伝え、政府として食の安全を脅かすこの問題に対処していただきたいと要請(前号で報告)。
 この件で年末に民主党副幹事長・青木愛事務所の副幹事長秘書から電話連絡がありました。内容は、照射食品に対し、(1)厚生労働省には慎重に検討するよう伝える(2)政府に対しても、市民よりこれだけの反対の意志があることを伝えるというものです。

中国政府に質問状
 連絡会では院内集会に先立ち米国に次ぐ照射大国である中国政府に、要望をかねた質問状を提出しました。中国は昨年1月以降に限定しても8件の食品衛生法違反が検疫で発見されており、おなじみのウーロン茶も含まれています。
 中国政府へは1月末までに回答をお願いしています。
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■地域ニュース
福島県塙町へ研修旅行に
わか草婦人会

 昨年12月10日と11日は[飾区と災害時における相互応援協力を結んでいる福島県塙町へ[飾区婦人団連研修旅行を開催しました。お世話役は亀有商店街の古谷さんとわか草婦人会の谷茂岡会長です。
 塙町とは縁があって10月に開催された消費生活展では大輪のダリアや地場産の野菜や加工品を出展していただき、来場者にも人気で、来年も出店希望が出されています。塙町役場に着くと、町長はじめ役場のみなさんからの出迎えを受け感激、消費生活展での完売お礼も言われ恐縮しました。
 宿泊先は「湯遊ランド・はなわ」です。ここの遠赤外線低温サウナに入るのをみんなは楽しみにしているのです。この低温サウナは塙町で出土した深海岩をセラミックボール状にして床に敷きつめ床面を温熱パイプで熱し、遠赤外線とマイナスイオンのダブル効果で身体がリフレッシュするそうです。他に湯岐温泉干泥の湯を源泉とした温泉があり、星空の見える露天風呂が心地よいのです。
 私は夕食前と朝食前と2回入り、身体が芯から温まった気がしました。工夫された料理もおいしく、こんなにゆっくりしたことはなかったです。多忙な時も過ぎ、何もない時期なので、温泉だけが楽しみで出かけました。婦人会や地婦連でも利用していますが、また、みんなで出かけたいと思っています。
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