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■2010年4月15日付
お花見平和のつどい 
2009年度東京地婦連中央集会
結成10周年を迎えた 風の会−その1
放射線食品照射を考える 連載(20)
ストップ結核・とっとり大会
地域ニュース

■お花見平和のつどい
被爆65年 エンジン夢の島・10年
桜も10年に…=第五福竜丸展示会館前広場
願い込めた八重紅大島桜 大地へ大きく値を下ろす
 世界に向けて核兵器廃絶のメッセージを第五福竜丸エンジンの前で4月4日、「21世紀を平和の世紀に」と願いをこめて植樹した八重紅大島桜の下に140人が集まって、今年も「お花見平和のつどい」を開催しました。お日さまは顔を出すこともなく、花冷えの日曜日でしたが、まるでそこだけが別世界のように桜の花は満開で、私たちを温かく迎えてくれました。植樹してから10年、幹はどっしり大きくなって、頼もしく大地へ根を下ろしていました。
メッセージカードに託す思いを共有
花冷えの中140人が参加
  今年は5月にニューヨークの国連本部で、5年に1度のNPT(核不拡散条約)再検討会議が開かれます。お花見平和のつどいでは、この会議に向けて都民からのメッセージを集め、来月ニューヨークへ行く代表らに運んでもらい、アメリカでアピールすることにしました。
 この日集まったカードは500枚。はがき大のカードを16枚つないで大きな1枚にしてクリアファイルに挟み、エンジンの周りや折り鶴コーナーのテントにつり下げながら、参加者たちと平和への思いを共有しました。
 つどいは、いつもの東京地婦連による開会のよびかけを川島会長が行い、つづいて東京地婦連率いるお花見平和合唱団が登場、「花」を参加者全員で歌いました。

「東京地婦連・平和へのあゆみ」
「花」の地婦連平和合唱団
NPT参加代表の紹介
 「被爆65年 エンジン夢の島・10年 各団体のパフォーマンス」は、「東京地婦連・平和へのあゆみ」からです。
 川島さん、水野さん、端山さんの3人が、
  1. 原水協分裂後、再統一されて開かれた原水爆禁止世界大会(広島・77年)に地婦連列車で会員のお母さんが初めて大勢参加したこと。翌年の5月から6月にニューヨークで開かれた第1回国連軍縮会議(SSD1)には、持ち込んだ2000万人署名のうち、地婦連は530万筆集めて、国連本部で田中里子さんが平和へのアピールをしたこと。
  2. 82年6月の第2回国連軍縮会議(SSD2)にも「「子どもたちに隔壁のない平和な未来を!」の署名を集め(2886万筆のうち地婦連573万)、届けたこと。
  3. そして、第3回SSD(88年6月)には川島、水野が参加し平和運動への思いを強くしたこと。
 などを語りました。
 東京都生協連は「核兵器ゼロをめざして」活動の報告と、「手をつなごう、希望の輪を」と手話ダンスを披露し、「戦争はもうやめだ。戦争はまっぴらだ」と、ギターを手に南部生協職員デュオの歌声が響きました。
 主婦連合会の奥さんは、家族で三世代が集まったとき、夫は押入れから寄せ書きの日の丸を出して、入営したとき体に巻いて行った戦争体験などを子どもや孫たちに話して聞かせたら、「孫は泣いていた。戦争体験は風化させたくない」とスピーチしました。
 都地消連の寺田さんは、毎年やっている原爆写真展に訪れた若い人たちからの「平和が当たり前でないことを忘れない」「人間のエゴの戦争! 絶対反対」などの感想が、また来年も活動を続ける力になっていると発表しました。
 ピースミュージックの音楽演奏を聴きながら昼食。演奏は加藤ひろあきさんです。今年は友人を連れて参加。平和への思いをのせた歌声が、肌寒い中にも心地よく心に伝わってきました。

若者の心が響く
 後半のパフォーマンスは3団体。第五福竜丸平和協会が「エンジン10年をたどる‐‐若者の心響かせて」と題して、エンジンのさび止めを2002年から続けている中村勇太さんをはじめ大学生3人、高校生1人がエンジンの周りで実演しました。
 下に落ちてしまった破片や枯葉や鳥の糞などを清掃したあと、さび止め薬を噴霧器や、刷毛を使って塗ります。「年月がたったエンジンの赤さびは進み、ポロポロとはがれ、細かく落ちていきます。ピンセットでていねいに取りのぞいてさび止めを。大きな剥落もあり、文化財保存としても今後、どうしていくか大きな課題として残っています」と、平和協会の安田さんは説明を加えました。

核兵器ゼロメッセージカードをニューヨークへ
エンジンの周りにはメッセージカードが
 東友会は「NPT再検討会議にむけて被爆者からのメッセージ」を、4人の代表がそれぞれ語りました。
 私たちの集めたメッセージカードをニューヨークに届けてくれる東京原水協は、東京から参加する250人の代表団の一人の佐々木さんから、「核兵器なくせの声を東京から」世界に向けて発信していく活動報告を行い、集めた国際署名60万5000筆を携えて行くこと。5月2日はニューヨークから、5月6日は夢の島から平和行進を行うと決意を表明しました。
 今年のつどいはすべて広場でしたから、本当に冷え込んでしまいました。
 参加者は花冷えの寒さもものともせず、「わいわいコーナー」では一人ひとりがパフォーマンスの感想を語り合い、核兵器廃絶の思いを強くしました。
 エンディングでは「初めて折った」という若者たちの折り鶴報告などもあり、「また来年、この場所で会う約束」をしながら「青い空」を歌って散会しました。
参加者の感想
戦争のない国でありたいと願う
 夢の島の第五福竜丸のエンジンと八重紅大島桜が満開に咲き誇る会場で、「なくそう核兵器つないで つないで」の東京から平和を発信する大集会が開催されました。開会よびかけは川島会長、続いて加藤ひろあきさんのリードで「花」を地婦連平和合唱団が歌い、にぎやかに始まりました。
 久しぶりに集会に参加しましたが、桜が立派な樹になり、見事な花を見せてくれています。もう一つ新鮮に感じたのは、エンジンのメンテナンスに力を注ぐ若者たちです。ちょっと恥ずかしげに自分の思いを話す姿は力強く、明日につながるとうれしくなります。
 10年前になりますが、ここにエンジンを運び込んだ日は夕暮れで、みんなで手をつなぎ、セレモニーを行い「第五福竜丸と一緒にできた」と実感したのが思い出されます。わいわいコーナーでは、東京大空襲の体験などもうかがい、運動継続の必要を感じます。
 5月に国連で開かれるNPT(核兵器不拡散条約)再検討会議に持参する手書きのスローガンには、私たちのメッセージが書かれています。
 あいにくの花冷えの集会になりましたが、それぞれの平和への思いを告げ、戦争のない国でありたいと思います。
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■2009年度東京地婦連中央集会
身近な消費者問題に気づき地域活動につなげていく
 2009年度の東京地婦連中央集会が3月16日、全国婦人会館で開かれました。消費者の目線で消費者行政を進めるために創設された消費者庁の動きについて、「発足後半年の消費者委員会・消費者庁」と題して、消費者委員会委員の中村雅人弁護士を講師に招き、消費者委員会・消費者庁が取り組む課題や成果を聴いて、身近な消費者問題に気づき地域活動につなげていく学習となりました。また総務省の電話のユニバーサルサービス制度についても、ミニ学習会が開かれました。
中村雅人弁護士(消費者委員会委員)を講師に学習会
講師の中村雅人弁護士
 消費者庁は昨年9月1日、政権交代が確実となった麻生政権下のもとで、発足しました。消費者委員会は「消費者の意見が直接届く透明性の高い仕組みであり、かつ消費者庁を含めた関係省庁の消費者行政全般に対して監視機能を有する、独立した第三者機関」として消費者庁および消費者委員会設置法に基づき、同時に置かれました。
 消費者庁は消費者安全法にもとづいて、各省庁へ措置の要求をしますが、省庁が取り組めないすきま事案の解決は消費者庁が担当することになります。
 中村弁護士は情報発信の課題を挙げました。
 「消費者庁には記者クラブがあるが、記者会見の定例化はしておらず閑散としている。消費者問題は地味なのか、記事にならないのか。消費者委員会には広報専門委員はいない。しかし、消費者委員会の会議は終了後すぐに録画ビデオ音声でホームページ上に再現し、会議資料もアップする提供を行っている。まだまだ関心を引き寄せる工夫が必要」と話しました。

取り組んだ課題
 この半年に取り組んだ消費者委員会・消費者庁の課題についても話を進めました。消費者庁では特保問題への取り組み。処分例としては昨年11月におにぎりの具で誤表示をしたコンビニチェーンへの景品表示法に基づく措置命令。古い消火器破裂事故やベビーカーで指を挟む事故、さらには12月1日にトヨタ車のフロアマットに関する注意喚起の情報提供をしました。トヨタ車に関しては、「動きの遅かった国土交通省より先に消費者庁からメッセージを出した」と評価しました。
 消費者委員会は、1月にカプセル形状の特定保健用食品で初めて不許可を出しました。「消費者目線にたった判断」と説明しました。
 現在進んでいる消費者基本計画策定作業については「たくさんの意見書が寄せられています。今まではパブリックコメントの良い意見もなかなか反映されなかったが、消費者庁・消費者委ができて大きく変わった気がする。今までとはちがうものを作り上げなければいけない」と述べました。
 意見交換で、古い消火器の爆発注意喚起について「回収場所が少なく、待たされる。引き取り料は1本2000円で、複数本になれば家計負担も増す。注意喚起だけでは消費者は動きにくい」。
 特保問題に関してはサプリの問題、エコナだけでなく、エコナ周辺にある添加物への監視や、金融関係のトラブルが特商法から切り離されるという特商法の適用除外の動きは、ADRの除外公表では消費者にとって問題が見えなくなる恐れがあるなど、周辺事案についても取り上げてほしいと要望が出されました。
 中村弁護士は、「健康食品の表示問題は、消費者庁で検討委員会を立ち上げてまとめている。そのあとは消費者委員会でやっていく。委員や職員はオールマイティーではないので、情報が集まってくれるわけではない。消費者から届けてもらい、発言していきたい。届いた意見書や要請書は委員全員に渡される。ADRも前々回のヒアリングで、ADR事案の公表についても議論しているし、『事案の公表の必要性あり』と考えているが、分かりやすい公表が必要」と述べ、注意喚起の件では「改善策を消費者庁に伝えたい」と回答しました。
 最後に中村弁護士は、「消費者が作った新しい行政機関には多くの消費者・弁護士などの民間人が働いている。例えば消費者委員会の傍聴や意見交換に参加して、国会の衆・参消費者問題特別委員会を動かすことも必要。『動かすのは消費者』だから、どんどん声を届けてほしい」と呼びかけました。消費者庁のホームページを見ると、3月29日には「消火器の回収場所」の所在地一覧がありました。講演会の、私たちの声が届いたようです。
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■結成10周年を迎えた 風の会−その1
記念企画シンポジウム「司法改革」を検証する
 「司法に国民の風を吹かせよう(通称・風の会)」は、現在東京地婦連など23団体が実行委員会を構成し活動を続けています。2000年3月に消費者団体・公害環境団体などが手を取り合って「国民の手に司法を」と立ち上げた風の会ですが、このほど10周年を迎え、記念企画として「司法改革を検証する」をテーマに、四谷のプラザエフでシンポジウムを開催しました。
宇都宮健児弁護士(右)もかけつけて
 司法制度改革といえばその一環として裁判員制度も開始されていますが、まだまだ司法は国民から遠い存在です。いまなお市民感覚とはかけ離れた判決は後を絶ちません。
 東京地婦連にとっては三洋冷凍庫裁判の報告や、司法アクセス検討会において「弁護士報酬の敗訴者負担制度」導入問題で『反対』の立場を貫き通したこと、「市民を裁判から遠ざけてはならない」とする風の会などの市民団体や全国の弁護士・司法書士、学者が互いに連携して反対運動が展開され、皆の力を結集しこの制度を導入する法案を国会で廃案にすることができた、共同運動の忘れがたい思い出もあります。
 四谷の土手の桜が満開を迎え、10周年に花を添えた4月3日、会場には約90人(東京地婦連から8人)の参加者が集いました。司法アクセス検討会でご一緒した亀井時子弁護士、日弁連会長の宇都宮健児弁護士も出席されました。
 主催者あいさつに続いて清水誠都立大名誉教授は、
 (1)司法改革は小泉内閣の構造改革の一つであり、当時は民の風というより、政界・官界・財界からの風が吹いていた。えん罪などこれまでの裁判への反省がないままでスタートした「裁判員制度」は、国民が主人公の裁判といいながら、国民に共同責任を負わせるものである
 (2)私たちの成果は弁護士報酬の敗訴者負担制度の導入を阻止したことで、裁判所を国民が信頼するに足るものになるよう良くしようと考えている段階での、この制度の導入は筋違い
 (3)市民が、おかしいことは「おかしい」と声を上げること、市民の声、民の声の風の大切さをこの制度を阻止したことから学んだ
 (4)「無理が通れば道理が引っ込む」ではなく「道理が通れば、無理も引っ込む」のだということをわれわれは実現していかなければならない。
 「これからもますます、みんなで大きな声で、風を起こしていきましょう」と司法改革に触れて結成10周年の風の会を総括しました。
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■放射線食品照射を考える 連載(20)
放射線照射のペットフードで猫が相次いで死亡

 オーストラリア
 先ごろオーストラリアでは、放射線照射されたキャットフードを食べた猫が相次いで死亡する問題が起こりました。照射食品反対連絡会では、現在全力を傾注し現地の情報を収集しています。殺菌の強力な放射線照射が疑われますが、大変気がかりな事態です。
 この問題については、今後収集した情報の分析を行い、あらためてお伝えします。
原子力委員会の新年度方針
 原子力委員会は3月30日付で「平成22年度原子力研究、開発及び利用に関する計画」を決定しました。
 その別添1・経費見積もりの基本方針には、(4)放射線利用技術の普及促進及びそのための国民との相互理解の促進という項目があります。そこには「放射線利用技術の拡大には、その安全性や有用性について国民との相互理解活動が重要であり、特に、社会における理解不足等のために活用が進んでいない食品照射に関しては、食品照射専門部会の検討結果に基づき、相互理解活動を推進する」との記述があります。
 どうやら22年度も消費者不在のまま、「原子力委員会」では食品への放射線照射のメリットのみを宣伝する、イベント等を開催する予算が組まれている模様です。「理解不足の国民」とは失礼な話です。
 わたしたちは食の安全を重視する消費者として、また納税者としても、一部の関係者を利するための税金の無駄遣いを見過ごさないようにしましょう。
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■ストップ結核・とっとり大会
 「ストップ結核・とっとり大会」のスローガンのもとに第61回結核予防全国大会が3月18・19日、総裁の秋篠宮妃殿下をお迎えして、鳥取県のホテルニューオータニ鳥取で開催されました。東京地婦連から二人が参加、結核対策の現状と課題について認識を深めました。
活気のある発言
第61回結核予防全国大会

 初日は婦人団体連洛協議会総会が開かれ、21年度事業報告と収支決算、平成22年度事業計画案・収支予算案について、また公益法人については6月ごろに認定される予定など、いろいろの発言も含めて活気ある総会でした。昼食後は会場を「とりぎん文化会館」に移し、シンポジウム、講演、人形劇を柱に研さん集会が開かれました。
 シンポジウムは「どうなる!? これからの結核医療」をテーマに、加藤誠也結核予防会結核研究所副所長の座長で進行しました。
 岡山明結核予防会第一健康相談所長は「今後の結核スクリーニング」で、結核予防会における健診の進め方を検討する会議を踏まえて、今後の健診のあり方について、杉本勇二鳥取県立中央病院内科部長は治療現場から高齢者の結核および結核治療の現状について、鳥取県西部総合事務所福祉保険局保健師の岡田桂子さんは、DOTSの取り組み、地域連携や保健所の患者支援などについて、それぞれ報告しました。
 最後に、愛媛大学附属病院の櫃本真聿医療福祉センター長は、低まん延状況に向けたわが国の結核医療提供体制ついて、発表しました。
 井上貴央鳥取大学医学部長は、谷上寺地遺跡から発見された日本最古の結核症例について講演しました。この弥生時代に栄えた遺跡から、出土した遺物の中には、日本最古の結核を示す脊椎カリエスの骨が発掘され、弥生時代の人びとの暮らしと技術を知る症例が紹介されました。
 人形劇「鈴木家結核顛末記」も上演され、鳥取の婦人会の方がたの熱演で、楽しみました。最後に結核予防会の石川信克研究所長がまとめを行いました。

年間2万5000人が発症
 2日目は大会式典。総裁のお言葉、表彰式や来賓祝辞などがあり、「人類と感染症」の特別講演がありました。
 かつては「不治の病」と恐れられていた結核も、現在では完治可能とはなりましたが、わが国では4人に1人が感染し、2008年の1年間に約2万5000人が新しく結核を発症しており、そのうちの約半数を高齢者が占めているそうです。結核を過去の病気と考えず、現在も重要な感染症であることを忘れてはならないと痛感しました。
 終了後、快晴の鳥取砂丘と雄大な日本海を見ることができ、心が晴々しました。 
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■地域ニュース
春の旅行会
やはた婦人会


 今年の旅行会は3月14・15日に新潟県の咲花温泉に行きました。
 今回はよく知られた観光コースではなく、穴場へということで、阿賀野川ライン舟下り、しろね大凧と歴史の館、「味噌なめたか」の関興寺、狐の嫁入り屋敷など、どこもユニークな所で、楽しい旅でした。
 阿賀野川は雄大で静寂に満ちてゆったりと流れていました。自然の息吹を肌で感じる桜の季節は素晴らしいでしょうね。
 阿賀野川といえば「えー、どこ?」と聞かれるのですが、新潟水俣病ともいわれた公害、有機水銀中毒発生の舞台となった所です。かつてこの川の上流には銅山が開かれ、日本の近代化に大きく貢献しました。鹿瀬地区には昭和電工の工場があり、多くの人が暮らしていました。40年も前になりますが、私の家の裏にも昭和電工の工場がありました。今は赤羽台公園になっています。
 阿賀野川の歴史の光と影…、今はみんな夢の中。阿賀野地域の人たちには「ここにあるすべてが、かけがえのない宝もん」。自然に囲まれ、川の流れのようにゆったりと生活している人びとを頼もしく感じました。昼食に初めて食べたへぎそばは、話には聞いていましたが、しこしこしていてとてもおいしくいただきました。
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