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■2011年2月15日付
講演会「介護保険のこれから」
人間的なサービスこそ大切
北方領土の返還を求める都民大会
一般用医薬品のインターネット販売
消費者団体、薬害被害者団体などが意見書提出
世界の電磁界規制は200マイクロテスラに緩和か(下)
わが国の電力設備等の磁界規制問題
地域ニュース

■講演会「介護保険のこれから」
  人間的なサービスこそ大切
 全国婦人会館を会場に2月10日、城西・中央城南地区役員が当番となって2010年度ブロック会議「介護保険のこれから」について講演会を開催。(財)全国婦人会館と共催し、東京都消費者月間実行委員会協賛事業として都民に参加を呼びかけ、40人が参加しました。主催者あいさつは、森谷副会長、司会進行は水野副会長が務めました。
遠い「介護の社会化」
利用者本位に見直しを


身近な介護保険の問題は関心も高い
ボードを使って分かりやすく…
 介護保険は社会保障審議会介護保険部会が昨年11月30日に「介護保険制度の見直しに対する意見」を発表し、1月21日、「介護保険制度の見直しについて」の中で地域おける介護の課題として地域包括ケアシステムの実現、介護保険の財源の課題では給付と負担のバランスについて考え方を示しています。
 現状ではサービスがどんどん細分化され、介護報酬や負担額が上昇し、利用者にとってケアプランに縛られたサービスは、融通の利かない使い勝手の悪いサービスになっています。
 給付の適正化から入る現在の制度設計は、住み慣れた場所で、安心して老いを迎えることのできる生活を期待して、「いつでも、どこでも、必要なサービス」をうたった介護の社会化を遠いものにしています。
 講師の鈴木恂子さんは、制度を利用する社会福祉法人多摩同胞会の常務理事です。今回の見直しをわかりやすく講演し、現場では利用者から満足感を得られないことにジレンマする、在宅ヘルパーの気持ちも語られました。

制度の現状へ不満続出

 講演後のたっぷり時間をとった意見交換では、生活プランのみだったので、「たまたま湿布をお願いしたら断られた」「時間があるのに窓ガラス拭きもだめだった」「ほとんど寝に帰ってくるだけの息子が同居。でも家事サービスは利用できなかった」「施設介護での内訳は、どうなっているのか」など、参加者から次々と質問や、介護保険制度の現状への不満が出ました。
 講師は「利用者はケアプラン通りに生きているわけでもない。財源安定化、効率化に結びついているのが現状の『給付の適正』です。ヘルパーの判断でサービスを提供したらお金が膨らんで、財源が厳しくなり、給付が大きくなっていく。その『適正』をケアマネジャーがコントロールするのが仕事にもなってしまっている。今回の見直しは、このような現状を少しは認識した上で作られたと思えるのですが、政権運営が不透明で右往左往している中では本当に見えにくい」と話しました。

講演要旨

増える保険料
 保険制度が11年目に入り、サービスの利用者も増えて、介護保険財源の保険料は5段階の第3段階が基準額で月額2000円程度から、現在4期目(平成21〜23年度)の基準額は全国平均で月額4160円になりました。
 今回の見直しの中で、平成24年〜26年度は「月額5000円以上になる見込み」といわれています。
 今回出された「地域包括ケアシステム」は、介護サービス予防が、医療、すまい、生活を有機的一体的に提供しようとするという現状認識ができたのではないかと考えています。
 しかし24時間サービスは欲しいサービスかもしれませんが、利用者は深夜料金並みの割高費用なら利用できないし、事業者は効率的な巡回、人手が確保できるのか、制度設計から現実味が見えません。
 介護予防の日常生活支援総合事業も、現状の不十分の改善から生活を支えるために見守り・配食サービスも実施可能としているけれど、各自治体の判断によってだから、自治体間の格差が大きく出てしまうことになるのが気がかりです。
 介護サービスも大事ですが、食事、掃除、洗濯をだれがするのか。家族がいるからではすまされません。老々介護、単身者が多くなる中で、日常生活への支援が予防の俎上にあがってきたことは、現状認識が変わってきたことだと思っています。
 今回の見直しで、医療職の業務独占の業務を、一部介護職にも可能にするという考え方を示したことは前進だと思っています。認知症や保険者機能の充実は、国が手を放して保険者に移すことも、自治体の第5期基本計画の反映してくることです。
 次期国会に提出される介護保険法の改正案に今回の見直しが盛り込まれますが、さらに新たな考えもまた出てくると思います。
 介護サービスの現場はケアプランにしばられて、オーダー通りしっかりサービスを提供するのが、「給付の適正化」。制度に忠実になればなるほど、利用者から恨まれる現実になってしまっている。
 利用者の希望する、ちょっとした人間的なサービスができない現状です。利用者はヘルパーさんが1時間必要なのか、2時間欲しいのか、中身は話し合いでやればいい。「細分化された適正なサービス」は、利用者本位になっていません。
 今回の見直しがこの現状をどこまで変えていくのか、保険料の「給付の適正化」の反動が今回の見直しになっていると思います。
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■北方領土の返還を求める都民大会
 第29回となる北方領土の返還を求める都民大会が1月26日、ホテルフロラシオン青山で開催されました。今年は北方領土の日が制定されて30年になりますが、早期解決を求める願いとは裏腹に問題解決の兆しは一向に見えません。昨年はロシアの大統領が国後島を訪問するなど、領土問題を無視した行動が目につきます。都民大会では四島の一日でも早い返還を求め、北方領土問題対策協会が選んだ平成22年度入選作の「国民の声と熱意で四島(しま)返還」の標語を壇上に掲げて、運動を粘り強く続けていく決意を示す大会としました。会場には都民会議が作成したパネルも展示され、参加者が熱心に見ていました。
かなわなかった父の夢を実現したい

主催者のあいさつ
 都民大会は、川島霞子都民会議会長あいさつを谷茂岡正子東京地婦連副会長が代読のあと、東京都知事代理の秋山俊行知事本局長、都議会を代表して和田宗春議長、独立行政法人北方領土問題対策協会の間瀬雅晴理事長ら来賓から、それぞれあいさつを受けました。列席した来賓紹介の後、蓮池事務局長が1年間の運動報告をしました。
 北方領土返還要求全国大会(2月7日に開催)実行委員会委員長と、根室市長からの激励メッセージも披露され、大会宣言を東京青年会議所の奥山理事長が読み上げ、満場一致で採択しました。
 舞台転換のあと、内閣府北方対策本部小河審議官が政府報告を、外務省欧州局の上月参事官から日ロ外交の最新状況について、報告を受けました。
 今年の都民大会のメインは、北方領土問題について啓発パネルを作成した都民会議教育者会議座長の石上和弘江戸川区上一色中学校校長の報告と、「次代を担う若者からの報告」として元島民2世の宮崎仁美さんからの発表です。
展示パネルを熱心に見る参加者
 石上校長はパネル作成の目的を、「元島民の高齢化が進む中で、次代を担う青少年にこの問題を正しく理解、認識してもらおうと学校や公共施設で活用できるように作った」と報告、パネルは全部で16枚になりました。
 日ロ間の関係やビザなし交流の体験談、北方領土の自然など幅広い視点を入れ、教育者会議のメンバーが独自に東京在住の元島民を取材したパネルを作成し、実際に授業で活用した様子について報告がありました。今後もパネルは追加作製していき、あらゆる場面で活用してもらいたいと呼びかけました。
 宮崎さんは根室市出身で、子どものころから元島民の父や、親戚から体験を聞いて育ちましたが、大人になるにつれ、遠ざかっていました。
 ところが一昨年お父さんが亡くなって、もう一度北方領土問題に関心を抱き、国学院大学に編入し、北方領土の歴史の勉強を始めました。東京での返還運動を調べている時、偶然都民会議のホームページを見つけ、参加したのがはじまりでした。
 宮崎さんは「根室では、小学校でも領土問題を学習し、中学や高校になると北方領土に関する討論会や交流会に参加する機会もありました。そこでは自分たちには何ができるかと話し合った記憶があり、みんなが身近な問題ととらえていました」
 「東京の新しい友人に北方領土問題を話しても関心は薄く、むしろ偏見や間違いのイメージでとらえている人が多いことに違和感を抱いた。東京で学び、自分自身のことを話すことが、偏見を取り除いて若い世代への働きかけになることだと強く感じた」と語りました。
 多くの人にこの問題に関心を持ってもらうには、たとえば動物園でスタンプラリーをやって、北方の動物の前にポイントを置いたり、啓発パネルを置いたりして、景品には根室の特産品が当たるとか、若者らしいアイデアなども発表しました。
 元島民もだんだん少なくなってきます。「父がかなわなかった夢を、一人でも多く島民が生きているうちにかなえてあげたい」と熱意を語り、「返還運動に取り組みたい」と結びました。
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■一般用医薬品のインターネット販売
  消費者団体、薬害被害者団体などが意見書提出
 一般用医薬品のインターネット販売について、内閣官房に設置されている高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(略称=IT戦略本部)に、「情報通信技術利活用のための規制・制度改革に関する専門調査会」が設置され、「安全を担保した上で」としながらも急きょ、医薬品のネット販売の規制緩和の是非についての調査を開始し、国民の意見を聞くとしてパブリックコメントが実施されたことは、先月号でお知らせしました。
安全性を無視した一般用医薬品のインターネット販売に反対します=1月21日の記者会見
 全国消団連、全国地婦連、東京地婦連など消費者団体9団体は、薬害被害者団体や薬害オンブズパースン会議とともに、規制緩和に反対する意見をあらためてまとめ、1月21日、内閣総理大臣、厚生労働大臣、行政刷新・消費者特命担当大臣、消費者委員会に対し、薬害被害者団体、消費者団体など25団体の連名で、意見書を提出し、記者会見を行いました。

 提出した意見は、一般用医薬品のインターネット販売の原則禁止の必要性を訴え、今回の調査会の審議について、(1)5年間におよぶ厚生労働省検討会の審議を無視(2)不十分な専門調査会の審議時間、医薬専門家不在(3)薬害被害者や消費者団体等の軽視‐‐などの問題点を指摘しました。
 規制緩和をすすめる人たちは、高齢者や障がい者、離島居住者などの利便性が損なわれると主張していますが、むしろ、これらの方々に対してこそ、専門家の指導による適切な医薬品の使用が強く求められます。消費者が求める利便性は、あくまで安全を前提にしたものなのです。
 今後も規制仕分けやTPPの検討の場など、ネット販売の規制緩和を求める動きが続きますが、私たちは一般用医薬品のインターネット販売に関して、規制緩和に反対していきます。
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■世界の電磁界規制は200マイクロテスラに緩和か(下)
  わが国の電力設備等の磁界規制問題
高圧線の走る住宅団地=横浜市内
抑制措置の継続は必要

 国際的な電磁界のガイドラインであるイクニルプの規制値が100マイクロテスラの時から、電力各社では磁界低減の対策として、(1)鉄塔を高くする(2)コンパクト化する、あるいは(3)磁界を互いが打ち消し合う電線の逆相配列を行う‐‐などの措置を推進し、電力設備から瞬間的に高い磁界が発生するのを抑制してきました。
 先頃、その規制値が200マイクロテスラに変更されたことで、これらの措置を緩めたり停滞させるような動きが出ないように、東京地婦連では意見を述べています。
 (1)〜(3)の抑制措置は磁界の短期的影響のみならず電力設備からの超低周波の長期的影響の問題にも関わる大切なことです。
 WHO(世界保健機関)の付属機関であるIARC(国際がん研究機関)が、2002年に超低周波磁界は「人にとって発がん性があるかもしれない(グループ2B)」と評価し、以後たくさん調査はあるものの、この評価は変更されておらず、小児白血病のリスクについて新たに肯定も否定もされていないことからも抑制措置の継続は必要です。

一層の漏洩防止を求める

 一方、家電製品からの電磁波の外部漏洩を低減する対策に関しても、オール電化住宅はじめ電磁調理器などIHの機器が増加し、家電製品は大型化している昨今の生活環境のなかで、規制値が200マイクロテスラに変更されてからも、消費者の立場から一層の漏洩対策を求めています。
 家電製品から漏洩する磁界の測定では、100マイクロテスラの規制値より下回っている様子のみが、しばしば視覚に訴える棒グラフなどで表示されてきました。(規制値が200になったのをきっかけに、もし製品本体の漏洩低減策が緩和されても)私たちは簡単な測定グラフからでは、データの変化の有無やその背景までは読み取れないでしょう。
 こんな不安を払拭する上で不可欠な磁界測定方法のJIS化については、平成23年度から検討が始まる予定であり、私たちのくらしを反映したJISの作成が急がれるところです。
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■地域ニュース
川崎大師へ初参り
わか草婦人会

 
 1月14日、川崎大師に初参りに出かけました。バスに乗る前に地元の氏神様の氷川神社でおはらいを受け、谷茂岡会長をはじめみんなで会の活動が無事につづけられるように、健康と家内安全を祈願しました。
 お札をいただいてから境内で宮司さんと一緒に記念写真を撮りました=写真。わか草婦人会の20周年記念誌では前の宮司さんと撮った写真を思い出し、あれから25年を経て、役員もずいぶん年をとったなと感じました。
 晴天にめぐまれ、川崎大師にお参りしてから、羽田東急ホテルでおいしい昼食をとり、羽田国際空港を見学しました。間近で飛行機の発着を見て、プラネタリウムもあったのですが、時間がなくて見られませんでした。
 江戸小路は江戸情緒を味わえるというので楽しみにしていましたが、和風のハンカチや風呂敷、羽田限定のTシャツなどを売っているお店がありました。辻々には時代劇に出てくるような防火用の水がめや桶が置いてあったりと、空港見学だけでも一日遊べるのだと感心しました。
 帰りも道がすいていて、案外早く帰宅できたのがよかったのやらわるかったのやら……。
総勢34人で恒例の新年会
やはた婦人会

 2月7日、ちょっぴり春めいた午後、恒例の新年会を自治会館で行いました=写真。総勢34人の皆さんが頬を緩ませて集い、楽しい女正月を存分に堪能していただきました。
 相変わらず理事の皆さんの手作りで、白和えと大根サラダに豚汁は定番。日頃なかなか作りにくいものと素材を吟味したお弁当を升本に、ちょっぴりレベルアップしたものを注文、お汁粉と伊達巻は会長の寄付です。
 交流を温めながら、おなかの方もたっぷりといただき、ブロック会議へお誘いしたり春の旅行へ勧誘したり、この際とばかりに話を持ちかけました。
 頃合いを見計らって歌集を配り、昔懐かしい唱歌を大合唱、満腹のおなかも幾分すっきりして甘さ控えめのお汁粉をいただき大満足、寄付された大粒で新種のイチゴで打ち上げ、それぞれ帰途につきました。
 このような集まりを迎えられ、平均年齢75〜76歳になろうとしている会員それぞれが安否を確かめ合い、相互扶助の精神で支え合いながら、楽しく有意義な日々を過ごしていくことの大切さを感じました。
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