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■2011年4月15日付
3・11東日本大震災ドキュメント そのとき私は……
帰宅困難者に婦人会館開放
介護福祉用具の使用についてのアンケート調査
東京消費者団体連絡センター
東日本大震災でボランティア活用など都に要望書
流言飛語対策
全体主義的対応にならないか冷静な判断力を
司法に風を吹かせよう
足利事件―えん罪の構図と残された問題
TPPを考えるA

■3・11東日本大震災ドキュメント そのとき私は……
  帰宅困難者に婦人会館開放
 3月11日午後、東北地方を襲ったマグニチュード9・0の東日本大地震は、東京でも震度5強の大きな揺れとなって、交通網はまひし、金曜夜の帰宅困難者がまちにあふれました。福島県では原発事故も起こり、計画停電、食への不安など、私たちも落ちつかない日々を送っています。地震発生のそのときに、どこにいてどう行動したのか、感じたことなどを寄せていただきました。被災地の復興を願って、東京地婦連では全地婦連を通じて支援募金活動に取り組んでいます。
大震災を報じる新聞の紙面から 原発事故、余震、計画栄電とまだまだ落ち着かない不安を抱える暮らしです。平和の願いをこめて第五福竜丸展示館に植えた、八重紅大島桜が今年も満開になりました。「お花見平和のつどい」はできませんでしたが、桜に負けずにしおれずに咲いていきましょう。
JR日暮里駅

 地震のとき、日暮里駅でJRに乗車して座ったとたん、グラ、グラ、グラッときました。ホームはあるし、このまま車内にいるほうが安全と、私は周りのおばさんに声をかけました。
 そのうち「電車から降りて安心なところに避難してください」というアナウンス。「安心なところってどこ? こんな放送では困る」と思っていると、「駅の外に出て谷中の墓地に避難してください」と再び放送がありました。
 私はこの駅が最近改築されしっかりしているので、駅構内の方が安全と思い柱のそばに立っていました。何回も繰り返して余震があり、一人で不安でしたが、「避難」ということで、駅の外に出されてしまいました。
 外では何の情報も入らないし、聞く人も指導する人もいません。もちろん携帯電話もつながりません。こんな中で1時間ほど立っていました。
 この日私は、一人で祝賀会に出席。着物を着ていましたし、夕方にはにわか雨の予報も思い出し、不安が募りました。周りを見ると地割れはしていない、車は走れると気づき、タクシー乗り場へ急ぐと、すでに100人以上の行列で、車は1台もありません。
 「これはダメだ」と人のいない道を、足の痛さも忘れてトボトボ歩いていました。空車はない。やっと車が来たと思ったら回送車。手を上げて観念していたところ、「おばさんお乗りなさい」と言われ、耳を疑いました。この個人タクシーのドライバーは「若い人は歩ける、年を取った人がいたら乗せよう」と、回送車にしておいたということでした。
 時間を見る余裕もなく、薄暗くなり心細かったそのとき、間がよいのか、運がよいのか、これも普段の奉仕の精神が実ったことなのか、無事7時ごろにはわが家に戻ることができ、感謝しました。
 このような不測の事態にどうするのか、考えさせられました。非常のときに役に立つと思っていた携帯電話は何の役に立ちませんでした。駅の対処の仕方も不親切。構内の外に出されたら、電車がいつ動くかも分からないし情報は全く入らず、こんな非常事態態勢でよいのか。近くの公共施設も早く開放すべきだと思いました。今私は、ラジオを持って歩いています。

千葉県銚子港


 この日私は、スパイス類(カレー)を使う食品工場で原材料について尋ねたいことがあり、表示セミナー付きの工場見学に出かけておりました。東京をお昼にバスで出発して、「鯖カレー」で知られる銚子港近くの信田缶詰に午後2時半頃に到着し、2階の会議室でセミナーを受講していたときのことです。
 今までに経験したことのない激しい縦・横の長い揺れに2、3度見舞われ、ご一緒していた宮原さん、都民クラブの菊地さんと顔を見合わせて、机の下に2回もぐりました。3人とも、本所防災館で訓練した仲間でもあります。
 セミナー参加者は20人程度でしたが、私たち以外はそれぞれ企業から単独で来ており、無言で恐怖に耐えている様子でした。階下から悲鳴が聞こえ、室外が騒々しくなりましたので、会議室内を見回しますと、背後の窓には太い鉄骨の筋交いらしきものが確認できました。
 とっさにパニックになってはいけないと思い、「この建物は大丈夫」と小声でつぶやきました。それからほんの数分もしないうちに、工場長から「役所から、津波のため高台へ退避するようにとのことですので、すぐにバスに乗ってください」と指示があり、びっくりして玄関へと急ぎますと、従業員はいち早くマイカーに分乗しているところでした。
 私たち参加者一同は、工場見学を行わないままバスに戻り、地震で工場のラインが停止されたことで、緊急退避のためのとりあえずの乗車が、そのまま東京へ戻る長旅になりました。
 周辺の広い範囲の停電で信号は消え、高速道路も閉鎖された中を、バスは迂回しながらも進もうとするのですが、身動きがとれません。当初は震源は東北地方らしいとしか分からず、情報不足の上、余震も頻繁にありましたので、不安でした。
 窓の外に目をやりますと、屋根瓦が壊れている家が目立ち、市原の石油コンビナートで火災らしい煙も見えました。液状化現象で道路にところどころ水があふれたり、一部陥没しているところなど、千葉県の大きな被害を目の当たりにしながら、ノロノロ走行のバスの車中で夜を明かしました。
 翌朝、9時過ぎになってもまだ習志野です。一番疲れているのはドライバーですが、「この先はさらに道が混雑するので急ぐ方は降りて、電車で東京方面へ出てください」とのアドバイスがあり、私たちは習志野でバスを降りました。
 幸い停留所が見つかりましたので路線バスで津田沼へ出て、JRとメトロを乗り継いで、昼近くなって帰宅した次第です。帰宅困難者にとりましては、ガソリンスタンド、コンビニでトイレを拝借できたことは、ありがたいことでした。
 その後未曾有の大震災であること、福島第一原発の深刻な事故災害を生ずることになり、放射能汚染が止まらないことなど、復興への道の見えない事態に直面することになりました。

新宿区の自宅
引き出しが全部飛び出す

 地震の激しい揺れのとき、私は引っ越してきた新築ビルの10階にいました。はじめはゆっくり揺れていたのに次第に大きくなり、前後の激しい揺れに思わずテーブルにしがみつきました。
 「でもこのビルは大丈夫、きちっと耐震性に建てたのだから潰れることはない」と思っているうち、窓際の衣類を入れた引き出しが全部出てきて、その棚に乗っていたテレビと、印刷機を兼ねた複合電話機が引き出しを飛び越え、こちらに落ちてきました。あっという間でした。
 幸い? 引っ越してきたばかりで、荷物はまだ段ダンボールの中だったのですが、夫と一緒にスリランカに行ったときに買った小さな象の置物の一部が欠けてしまいました。
 すぐ、二人の娘に電話しましたが全然通じず、エレベーターも止まってしまい、外部との連絡ができず不安はつのるばかり。ただひたすらNHKのテレビを見るだけでした。この新しいビルは、いわゆるオール電化で、インターホンからドアの開け閉め、そのうえ電磁調理器なので、停電したらお手上げです。砂上の楼閣に住んでいるのだと、つくづく思いました。
 港区の汐留にある会社に勤めている次女とは.夜の7時過ぎに携帯のメールがやっとつながり、帰宅難民になっていることが判明しました。
 テレビからは、津波が波しぶきを立て押し寄せ、家も車も呑み込まれ流されていく恐ろしい映像が次から次に報道されました。災害に遭われた方々は余震に怯え、寒さに震える夜となりました。

全国婦人会館

 渋谷駅から徒歩5分にある7階建ての全国婦人会館には、1階に東京地婦連、全地婦連があります。全ての鉄道はストップしている中で、職員5人が刻々と伝わるテレビやラジオ、インターネットからの情報を入手しながら、待機することにしました。
 渋谷駅は人であふれて、シャッターが閉まり構内には入れず、電車が動き出すのを待つ人々が、寒空で途方にくれていることが想像できました。
 「ここは婦人会館なのだから、トイレや会議室を開放したらどうかしら」という長田さんの提案に、みんながうなずきました。防災学習会を地道にやってきた全地婦連職員もうなずき、会館管理責任者の星野さんがオーケーを出して、動き出すことになりました。
 若い浅野さんを中心に会館周辺を夜回りして、途方にくれている女性たちに一生懸命声をかけ、勤め帰りの人など3人を会議室に案内することができました。
 会館には防災グッズは何一つ備えていませんでしたが、暖房の効いた会議室とトイレ、温かいお茶とありあわせの茶菓子で一服してもらうことができました。
 「ではもう一度」と、今度は案内図のコピーを持って身支度し、渋谷駅へ足を延ばしたのは、9時近くでした。お友達同士の高齢の女性3人組を案内し、会議室の並べた椅子の上に足を伸ばしたりして、くつろいでもらえました。
 案内図を頼りに来られた赤ちゃん連れの父母子は、「ここだー」と会館の自動ドアを開け、そのホッとした顔を見た私たちも、パッとうれしくなりました。
 パパは職場(港区)から徒歩で、渋谷駅前で帰れないでいる母子と合流し、3人でやっと会館に来られたそうです。赤ちゃんは会議室で母乳を飲みながら、すやすやと眠りにつきました。
 夜半が過ぎて私鉄は少しずつ動き出しましたが、混雑は続いていました。会議室のみなさんはひざ掛けや、新聞紙の活用で仮眠をしたりしながら、そのまま夜を明かし、早朝、長田さんが送り出しました。それぞれ無事帰宅されたと、みなさんから後日お礼の電話やはがきが届きました。
 全国婦人会館では今回のことを教訓にして、寝袋や非常食など防災グッズの準備について話し合いました。

福島県郡山市
ひとり暮らしの父 けがもせず無事で安心


 私の実家は福島県郡山市にあり、父がひとり暮らしをしています。地震の翌日から半月ほど行ってきました。いつもなら3時間で行けるところが、13時間の道のりでした。
 家の中に入るや、玄関はゆがみ、鍵はかからず、台所は壊れた食器の海で、足の踏み場もないほどでした。壁には亀裂が入り、壁の額類は飛んで転がり、ぞっととする状況でしたが、父はけがもせず、無事で安心しました。
 外は屋根瓦が落ち、土台には亀裂ができ、塀は倒れて、敷地内にも地割れができていました。二日がかりで片付け終わったときにはホッとしました。ハウスメーカーに家の修理を頼みましたが、7月頃になりそうです。屋根なので梅雨時が心配です。
 一番ショックだったのは、敷地内の水道管の破裂でした。4日目に市の水道が復旧したのですが、わが家は水が出ませんでした。そこではじめて水道管の破裂が分かり、職人をやっと捜して直してもらったときは、本当にうれしかったです。
 地震から日が経つにつれて少しずつまちが動き出した頃、今度は福島原発の問題が出てきました。放射性物質の汚染による野菜の出荷停止で、福島県産の野菜は消えてしまいました。何ということでしょう。
 郡山市も避難所がたくさんでき、原発近くの人たちは避難をしています。とっても大変なことだと思います。この先とっても不安なことでしょう。
 わが家も被害を受けましたが、けがもなく自分の家で暮らしていけるのは幸せなことだと思います。事実は事実として認めていかなければなりませんが、「がんばろう東北、がんばろう郡山」を合言葉に、復興に努力している人たちに、できる限りの協力をしていきたいと思います。
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■介護福祉用具の使用についてのアンケート調査
 昨年12月から始めた介護福祉用具使用についてのアンケート調査は、2月に回収し、このほど結果がまとまりました。調査方法は福祉用具のレンタル料金自己負担額、利用品における事故やけがの有無について利用者本人や家族、支援者、友人、知人から聞き取りました。
車イス(左)とベッド。調査は主にレンタル料は適正か、安全性についてききました
レンタル料は高値安定<介護用品>
行政は的確な除法御提供を<安全性>


 高額な特殊ベッドや車いすなど12品目の貸与、5品目の販売が介護保険法で福祉用具として指定を受け、サービスを提供するレンタル事業が成長しています。
 しかしレンタル料は適正な料金となっているのでしょうか。利用者側の負担する費用は1割で済むことで助かってはいますが、残りの9割は介護保険料から事業者に支払われる仕組みとなっています。
 貸与品には、定期的に訪問してメンテナンスをすることが決められている利点もありますが、福祉用具専門相談員が関わりながら指定業者の中から選びますから、レンタルサービス事業者にとっては、営業努力のいらない事業となっていると思われます。
 また商品の安全性についてはどうでしょうか。ベッドの柵にはさまれる死亡事故も発生しています。製品の使用目的や効果・効用のみが先行して、危険情報の周知や、注意喚起はどのようにされているのでしょうか。
 調査方法は、この利用料金と製品の安全性の二つの視点から行いました。回答は介護福祉用具を過去5年間で利用したことのある者としたことや、介護を必要とする方たちを対象にした調査のため、回収は困難で、配布300枚、75枚回収で、レンタル使用者は60人でした。

調査の目的
 介護の社会化がうたわれて制度化された介護保険制度は10年がたち、高齢者の増加で介護保険費用が急増、介護の社会化は後退しているとの声や制度の使い勝手の悪さへの指摘も多く聞かれます。
 私たちは住み慣れた地域で安心して暮らしていくために介護サービスの中でも、とりわけ利用者が自立し身体の生活の質を維持するために、また、介護(看護)者の負担を軽くするために役立つ介護福祉用具の提供サービスに、関心をもちました。

利用金額
 「介護ベッド」は33人の利用者があり、うち28人の利用金額の記載がありました。負担額はベッドの付属品の費用が含まれていると思われるものも散見されており、1割負担費用は1000円以下が4件、1700円2件、1800円2件で1000円〜1650円の範囲で71・4%を占めていました。
 「車いす」は32人の利用者があり、26人の利用金額の記載がありました。1割負担者の額は300円から2350円で23人でしたが、電動や室内、室外など、機能別の種類は分かりません。500円〜600円が39・1%、700円〜800円が34・8%で合わせると73・9%で、大半がこの幅になっていました。全額負担者は3人(2500円、6000円)でした。
 今回の調査では、介護ベッドや、車いすの機能までの詳細は把握しませんでしたが、それらを勘案してもレンタル費用の幅は、高値安定になっているように思われました。
 普段は価格には敏感な消費者ですが、家族は日常の介護に追われ介護費用負担が重いと思いつつも、利用者負担が1割のため、事業者から届く領収書や明細書を詳細に確認する余裕がないのかと思われる結果でした。

福祉用具選び
 利用者は、ケアマネジャーとケアプランを相談し、福祉専門調査員が関わりながら福祉用具選びをすることになります。自由記述欄にもありましたが、お任せでサービスを受け取る傾向にあるようで、利用者側で情報をとるのは難しい環境です。
 「本当は必要のない用具」のレンタルがされていないか、気になります。これらのレンタル品については、届いたときに使用方法や危険な使い方についての説明の有無についても併せて質問しています。記入には空欄が目立ちましたが、「無し」という回答はありませんでした。

使い勝手
 使い勝手の満足度の有無については「ベッド付属サイドガード操作が不便で返却」「歩行器ブレーキが慣れない」「部屋が狭いので、動きが制限され、ベッド下のパイプが掃除機のヘッドにぶつかり掃除がしにくい」「マットレスのへたりが早かった」の、4件の不満表明がありました。

ベッドスペーサーの取り付け
 ベッドからの転落や事故防止のために、サイドレールすき間には直径6センチの固い円柱状の器具が入らないこととされており、すき間ができる場合は「スペーサーをつけること」になっています。このことについてベッドの使用者に周知を問うたところ6割近く(59・2%)が、「知らない」と答えています。情報がまだまだ行きわたっていないことを裏付けています。これからも周知が必要です。

事故やけが
 介護福祉用具を利用中のけがや「ヒヤリハット」した用具と、そのときの様子については60人中17人(28・3%)から回答がありました。ベッドからポータブルトイレの移動の際、足に力が入らず転んだり、サイドテーブルやアームバーに気づかずぶつかったりしたこと。車いすでは段差でイスが傾いたり、乗車中に姿勢が崩れて腕が圧迫、ひじ乗せや背もたれの隙間に肘が入り込んでしまったことが挙げられていました。
 歩行器ではブレーキの使い方が慣れないため、どんどんスピードが出て転びそうになった。立ち上がり補助いすや移動支援バーでは、手がずれたり、固定されていないところにつかまったりで転んだとの記述がありました。

老人ホームなど

欲しい用品
 ほしい介護福祉用品としては、半身まひでも使える歯磨き、洗顔できる用具。車いす用レインコート。整形靴。軽くて場所をとらない立ちアップなどの用具がほしいという回答が寄せられました。
 自由意見欄にはグループホームでは介護保険サービスが使えないので自費になることや、高齢者が自由に入居できる老人ホームの増設、新しい商品・情報の発信で選択肢が増えること、公費補助や福祉用具に頼りきらず、介護度を下げる工夫とリハビリの様子など34件の要望や感想、介護の苦労などが寄せられました。
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■東京消費者団体連絡センター
 東日本大震災でボランティア活用など都に要望書
消費センターから小笠原消費生活部長に要望書
 東京地婦連、東京都生協連、主婦連など都内の消費者団体で構成している東京消費者団体連絡センターは3月28日、東京都生活文化局小笠原広樹消費生活部長に対し、東北地方太平洋沖地震(当時)に関する要望書を提出しました。
 今回の大震災は、大消費地東京に大きな影響を与えています。計画停電、野菜や水道水などの放射性物質の検出や出荷停止など、消費者の不安はぬぐいきれない状況が続いています。
 消費者が責任ある行動をとるようにと、さんざん政府からも呼びかけがありますが、そのためには正確で信頼できる情報がタイムリーに提供されることが前提条件となります。
 そこで、さまざまに氾濫する情報を都民に対し、一元的にわかりやすく発信すること、各区市町村で行われている情報発信に格差がおきないよう、基本的なデータ提供の役割を担うこと、またネット上の情報に頼りがちな昨今、そこへはアクセスできない消費者がまだまだたくさん存在することを忘れずに、多様な情報提供手段をとるよう、自治体への働きかけを要請したものです。
 また、都内指定施設に避難してこられた方々に対し、東京都は一般的なボランティアの参加を拒んでいます。都職員で手が足りているという説明で、せっかくボランティアに集まった人びとに扉を閉ざしている状況です。そこで、東京ボランティアセンターを中心に、積極的なボランティアの活用を図るよう、要望しました。
 加えて、東京消費者団体連絡センターでは参加団体や地域の消費者団体への情報提供、被災された方々への応援も含めて、消費者団体にできることを積極的に受け止め、行政とも協力しながら、対応していくことにしています。要望の内容は以下の通りです。

  1. 正確で信頼できる情報を分かりやすく提供していくことを進めてください
     福島第一原子力発電所事故に伴い、一部の農畜産物や水道水から暫定的な規制値や指標値を超える放射性物質が検出されました。また刻々と状況は変化しています。こうした中で、国が責任を持って的確で一元化された情報を提供することが大前提ですが、東京都においても消費者・生活者が冷静な判断や行動ができるよう、正確で信頼できる情報を分かりやすく、タイムリーに提供していくことを進めてください。
     Q&Aなどで分かりやすい説明をしてください。
     情報には、専門用語の解説や「安全」や「大丈夫」とされる理由を、図表などを活用して分かりやすく簡潔に添えてください。 各部局が発信する情報を、統一してホームページで提供するなどの工夫をしてください。
  2. 情報格差を少なくする手立てを講じるリーダーシップを東京都がとってください
     さまざまな情報手段を使って消費者・生活者が情報を得ようとしています。また地域の自治体情報も地域住民にとっては活用しやすい情報です。一方、情報手段や自治体による情報格差も懸念されます。
     各自治体が活用しやすい情報を、東京都が率先して提供してください。自治体住民に的確な情報提供と情報格差を少なくする手立てが講じられるよう、働きかけてください。必要な要請を国や事業者等に、積極的に行ってください。
  3. 東京都が講じる対応において、国の責任で果たすべき事項や事業者の協力が必要な事項については、関係者に積極的に要請を行ってください
  4. 都内でのボランティア活動に、都民や地域住民が参加できる手立てを講じてください。
     被災された方々の受け入れが、東京都や区市などで広がってきています。地域の受け入れ施設等での炊き出しや支援などに都民・地域住民が協力できる仕組みづくりを、東京ボランティアセンターとの連携のもとに講じてください。
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■流言飛語対策
 全体主義的対応にならないか冷静な判断力を
 3月11日の東日本大震災以来、私たちにとって不安な日々が続いています。政府は、「被災地等における安全・安心の確保対策ワーキングチーム」を3月31日に立ち上げ、4月6日に被災地における安全・安心の確保対策を発表しました。
 その中に「流言飛語への対応」という項があります。
(1) (略)流言飛語に惑わされないように、関係省庁が連携して広く注意喚起のための措置を講じる
(2) 特にインターネット上の流言飛語については、(略)インターネット利用者に対して注意喚起を行うとともに、サイト管理者等に対して、法令や公序良俗に反する情報の自主的な削除を求め、適切な対応をとることを要請し、正確な情報が利用者に提供されるように努める
(3) 国、地方公共団体等は、あらゆるメディアを通じて信頼できる情報発信に努める
(4) 国、地方公共団体等が民間ソーシャルメディアを活用するに当たっては、認証の取得等の対策を講じることで、情報源としての信頼性を確保し、インターネット上の流言飛語を抑止する。
 と、あります。
  この中の(2)の後段は、大変危険な仕組みであると指摘せざるを得ません。幸い、これに対応して出された総務省からの電気通信事業者関係団体に対する要請には、「法令や公序良俗に反する判断するものを自主的に削除することを含め、(略)表現の自由にも配慮しつつ、「インターネット上の違法な情報への対応に関するガイドライン」や約款に基づき、適切な対応をおとりいただく(略)」という表現がされており、とりあえず表現の自由をすぐに侵す取り組みを要請しているわけではないことは分かります。
 しかし、特に原発事故に関しての放射性物質の飛散状況やそれらの人体への影響については、さまざまな説が飛び交っている現状で、「不安をあおる」とは何を指すのか、それを理由に自由に意見を表明する場所をなくすことにならないのか、今後の政府や関係機関の対応を注視していかなければなりません。
 実は科学的知見に基づいた正しい情報であったということが後に証明されたとしても、現段階では、「国民の不安をいたずらにあおった」ということになってしまう情報は、ネット上にたくさんあると思います。これらが「不安をあおるから」と削除されだすようなことがあったら、本当に大変なことになります。
大きな危機に対して、絶対に全体主義的な対応に流されることのないよう、力を合わせながらも冷静な判断力を忘れないよう、頑張っていきましょう。
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■司法に風を吹かせよう
 足利事件―えん罪の構図と残された問題
 大震災で延期されていた20回目のシンポジウムは4月2日午後、二つのテーマを柱に開催されました。
 最初は足利事件をめぐって泉澤章弁護士からの報告「えん罪の構図、そして残された問題」です。園児バスの運転手だった菅谷利和さんが「自白」に追い込まれ、1990年当時の科学警察研究所の誤ったDNA鑑定で幼女誘拐殺人犯とされ、2010年に無罪判決を得た経過について、弁護団としての立場で問題点を浮き彫りにされました。
(1) 警察は強引に菅谷さんを犯人と決めつけ、十数時間にわたって極めて過酷な取り調べを行い、マインドコントロールされた菅谷さんを自白に追い込んだこと
(2) DNA再鑑定がなかなか実現しなかったこと
(3) 当時の弁護士が3件の未解決事件のうち「1件はやったのだろう」と菅谷さんの話に十分耳を傾けなかったこと
などを指摘し、
(4) 国の「検察の在り方検討会議」による法相への提言にあるように、捜査過程の全面可視化(録音・録画)が必要であること
(5) 物証への再鑑定が認められずに無罪までに時間がかかったことから、証拠の全面的な事前開示や第三者機関による科学的な検証が必要であること
(6) 弁護士など法曹の「疑わしきは被告人の利益」原則の徹底を図ること
 を残された問題として挙げました。 
 さらにこの事件で、無罪の大きなきっかけをつくった主婦の人権を守ろうとした行動を紹介されました。
 その人は以前、園児バスの運転手で、菅谷さんと車同士がすれ違うときに手を挙げてあいさつをし合ったことがあったので、「本当に園児を殺したのか」手紙で問いただしたのだそうです。それ以後無罪を確信して支援を続けたことが無罪判決をもたらした、ということでした。
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■TPPを考えるA
  一変する社会状況
失業者の増加、医療崩壊

 前回に続いてTPP(環太平洋戦略経済連携協定)について、考えてみたいと思います。
 今なお強い余震に脅かされ、福島第一原発の制御もままならない‐‐東日本大震災による甚大な被害を受けて、菅直人首相はTPP交渉への参加問題の判断時期を、当初めざしていた今年6月から、延期する可能性を示唆しました。
 3月29日の国会答弁で、「状況が一定程度の方向性が見えた中で、改めて検討することが必要」と述べています。発言の背景には大震災とともにTPPをめぐる党内の反対派の圧力や、世論の強い反発もあったものと推測されます。
 財界などが参加を支持するTPPには、農業分野をはじめ工業品、繊維・衣料品などの関税の原則撤廃のみならず、非関税障壁としての規制緩和が約20分野で求められています。
 衛生植物検疫、牛肉の輸入条件、食品添加物・残留農薬などの見直し、郵便貯金事業の縮小と民営化、金融・保険業のさらなる自由化も含まれます。
 現在でもリスクの大きい外資系の金融・保険商品は消費者トラブルのもとになっています。またTPPの導入で労働者の資格が共通になり、海外から医師、看護師、弁護士、建築士、会計士など、さまざまな専門資格を持つ労働者が入れば、社会状況は一変してしまいます。
 日本人の失業者が増え、医療では国民皆保険制度は崩壊して、保険外の高額診療が行われる可能性が出てきます。そのため、日本医師会はTPPに反対しています。
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