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■2011年5月15日付 | |||||||||||||
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■3・11東日本大震災 一日も早い生活復興へ 心新たに支援のとりくみ |
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東京地婦連と福島県都路村(現田村市都路町)とは、田舎やふるさとのない都市の人たちに緑と土の香りのする野菜や地場の産物を味わってもらおうと届けられる「都路ふるさと便」を通して、長い交流が続いています。何年か前には、指導者研修会を都路村の宿泊施設を利用して、お世話にもなりました。会の仲間には大震災で亡くなった人や倒壊した家屋はありませんでしたが、福島第1原発の事故に直面してしまいました。世話人の青木節子さんから届いたお便りです。 | ||||
原発30キロ圏内にすっぽり
都路は、福島原発の30キロ圏内にスッポリ入ります。一部は立ち入り禁止区域と緊急時避難準備区域になっています。端的にいうと、「何かあったら自力で逃げられるよう用意してください。それまでは家にいてもよい」という内容です。 4月30日の説明会では個々の不安、不満、怒りなどでもめました。私たちの集落の人たちは、避難所や周りの町に家を借りる人、親戚の家などに避難する人、自宅にとどまる人といろいろです。仲間も離れてばらばらです。今は何もできず、毎日余震と原発に生きた心地がしません。といってもじっとしてはいられません。できることを自分で考えてやっています。 生活に関する面では、水もライフラインも食べ物も十分あり、不便はあまり感じませんが、都路行政局は船引の市役所になり、職員は二人くらいしかおらず、役所の機能は果たしていません。原発の問題が落ち着くまでは、先のことは考えられません。今日、今、何をするか、できるかが、頭をめぐっています。 もうひとつ風評被害により、経済的にも、精神的にもダメージを受けています。以前は批判に対し跳ね返す力もありましたが、今はその力も弱いようです。都路はいま、1年で一番きれいな時季です。桜やスイセン、新緑、カエルの卵の自然を、次の世代に伝えられないのが残念です。 東京地婦連のみなさまには「都路ふるさと便」を通していろいろ応援していただき、本当にありがとうございました。今回の震災で会を続けることが困難になりました。この先、どうなるのか分かりません。再開できることを祈りながら、ひとまずお休みします。 人間はそんなに弱くはありませんが、この度のことで、正直みんなボロボロです。でも、少しの光を見つけ出し立ち上がります。そう信じています。 |
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支援の農産物販売―葛飾区
私の住む葛飾区では、福島県東白川郡塙町と防災協定を結んでいます。区ではすぐに支援物資として、毛布、レスキューキッチン、水などを送りました。塙町は湯岐温泉であり、町営の「湯遊ランドはなわ」があります。ダリア、ツツジ、桜の咲く町で、私たち婦人会も研修に宿泊してきました。 施設は高台にあるので大きな被害はなく、県民の避難場所として開放してきたそうです。しかし、風評被害で野菜などの農産物が道の駅でもさばけず、山積み状態とのことでした。 そこで支援の一端としてトラック2台分を買い付け、4月10日に運んでもらい、販売しました。当日は朝から区役所の周囲は長蛇の列で、みなさんの応援もあって1時間で売り切ってしまいました。生シイタケ、イチゴ、キュウリ、ネギなどで1人1品ずつに制限しました。安価な分は、「義援金に」と呼びかけました。 塙町の町長さんや職員、こちらも区長はじめ職員が売り子になりました。私も見ておられず、手伝ってしまいました。区長さんが一生懸命売りさばいている姿に、区民もびっくりしていました。 塙町からはお礼として、おいしいお米300グラムを来た人に無料でプレゼント。野菜がなくなっても、お米を頂戴して義援金箱に入れていました。 桜咲く日曜日でしたが、少しでもお手伝いができてよかったと思います。亀有にも4月29日に持ってこられ、昔懐かしいお米のバクダンを作り、大きな音で珍しいのか人盛りでした。 塙の応援プランということで、25人以上集まると、1泊2食付きで1人1万円で送迎付きという企画があります。7月末までの企画です。1人でも多く現地にも行ってあげたいと、私どもの団体でも計画しているところです。 |
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ふれあい市場の再開―練馬区
何かと練馬区とのかかわりが深い塙町の新鮮な野菜や、今が旬の山菜、米、果物、おにぎり、漬物などの加工品が盛りだくさんに並びました。 震災後初めてのふれあい市場だったので、町役場の方たちも見え、町長さんのごあいさつもありました。地震の被害に加えて、原発による風評被害で農産物がなかなか売れないなど、苦労されている様子でした。 しかしながら当日搬入された野菜など、どれも新鮮でおいしそうで、しかも安価でした。私たち主婦にとってはうれしいことです。ですから、あっという間に売り切れてしまいました。 このふれあい市場は練馬春日町で開催されてから、かれこれもう6年になりますが、地域のみなさんが楽しみにしている催しです。 また練馬区からは希望者を募って、春は田植え、夏はジャガイモ掘り、秋には稲刈りなどの体験ツアーも行われています。都会育ちの人が心待ちにしている行事なのです。 今回のような災害時に二つの地域がお互いに助け合うことで、今まで培ってきた絆がさらに太くなり、結ばれていくと思います。 私たちも大きなことはできなくとも、一人ひとりの力が積み重なって大きくなり、災害に遭われた人たちのバックアップになればよいと思います。 まだまだ遠い道のりと思いますが、また心新たに支援してまいりましょう。 |
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いま地婦連から発信を
そして原発から50キロ以上離れた私どもの故郷郡山市でも、地震による被害に加え、高レベルの放射線量排出による野菜の出荷停止、摂取規制の追い打ち、関東圏から広がった風評被害は徐々に解消されつつありますが、関係者の死活問題とまでいわれています。 その上、県民の出入りや福島ナンバー車の規制と、被災者は思わぬ仕打ちを受けました。東京を含む関東圏が(原発の)恩恵を受けていたことを知る人は少ないだけに、風評被害は残念です。 現在、郡山市を含む県北山間部の土壌汚染による被害は、小・中学校、幼稚園、公園など、屋外活動が制限されるありさまで、住民の生活環境破壊を危惧する声が高まっています。 食器が空を飛んだ 私どもの喫茶店「味茶都」時代のお客さまや友人知人、親せきなどに連絡をとったところ、みなさん建物の倒壊は免れたものの土台の亀裂や壁のひび割れ、建具のゆがみ、家具や什器備品などの損壊は、ある人が「食器が空を飛んだ」と表現したように、それはそれはすさまじい状態で、当座は着の身着のまま、夜は家族が1カ所にかたまって過ごしたと聞きました。 須賀川市の友人は、ちょうど自宅前の畑にいたとき地震が起こり、振り返ったら彼の大邸宅は瓦が飛び交い、まるで踊りを踊っているようで、夢でも見ているのかと錯覚したそうです。最近、兵庫県の避難先から一時帰宅しましたが、「修復には今年いっぱいかかる」と嘆いていました。 大きな余震が続く4月2日、交通手段も少ない郡山市から親しい友人が上京、渋谷で会いました。彼は身内の引き取りに宮城県松島市に行き、惨憺たる被災の実情を見聞し、「とても信じられない」と話し、「それ以上のものが福島県全域を暗雲状態にしている」と熱く語り続けました。 放射線量暫定基準を超えたとの政府規制発表は、すべての物流をストップさせてしまい、彼は市と県行政のトップまで行き、積極的な対応を訴えましたが右往左往するばかりで、結局「民間の結集力が復興へのカギである」と考えたとのことでした。 いわき市では水道の復旧工事が放射能汚染を恐れてどこからも拒否され、地元業者だけでそれに当たっている窮状を逆に訴えられたそうです。私の姉も断水と食料品不足で、凹凸の高速道を東京に避難しました。 彼は、私どもが冷凍庫裁判で大きなご支援をいただいて勝訴した経過を熟知しており、消費者運動の数々の実績が行政を動かせる市民代表と認識、その結集力で早期にこの三重苦から復興の兆しがつかめないかと期待し、苦難の中を訪ねてくれたと思っています。私どもも何をどうしたらよいか苦慮、結論を先延ばしにしています。 |
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未来復興へのともしび
しかし、福島県は原発収拾に四苦八苦、環境状況は明日何が起こるか皆目見当がつかない暗中模索の現状でしょう。直接的被害者、間接的被害者は県民すべてです。 具体的にすぐの行動は福島原発の推移を見極めなければ難しいかもしれませんが、まずは汚染収束に向けて各方面への働きかけ、継続できる物品販売などの発信を、東京地婦連を中心に全地婦連にまで浸透させられれば、原発被災者に未来復興への灯火をともす足がかりがかなうと思っています。 |
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■One World プロジェクト | ||
4月に、被災地のひとりの薬剤師と医師2人、乳がん患者3人が発起人となり、被災地のがん患者の必要な物資支援をするプロジェクトが立ち上がりました。乳がん患者でもあるがん患者の社会参加を促すNPO法人の代表が、宮城県にある東北大学病院の薬剤師から「がん患者用の生活用品がなくて困っている」と聞いたのが発端でした。簡易ブログのツイッターやホームページなどのサイトで寄付を呼びかけ、第1便を発送しました。 | ||
被災地のがん患者にケア その活動がテレビや新聞で報道されて、大反響でした。プロジェクトの開始以来全国からの支援物資は、第2弾の締め切り(4月28日)時点で、かつら約1600点、帽子約5000点が集まりました。 そのほか乳がん患者用の下着、リンパ浮腫用のストッキング、アンダーキャップやウィッグのケア用品など、患者会や帽子クラブのような組織からだけではなく、患者会などの組織には属さず、「何かの役に立ちたい」との思いの、個人からの寄付が大多数でした。 仕分けや梱包・発送、送られてきたかつらの手入れやチラシ作りなどのボランティアにも、多数のがん患者がかかわっています。私も参加した8日は25人近くのボランティアスタッフが集まり、帽子班、かつら班、ケア用品班に分かれての作業でした。男性用や子ども用の要望もあり、送られた方たちの思いも込めて作業を行っていました。 (財)日本対がん協会の協賛も受け、4月17日の第1便、24日の第2便、28日の鹿児島便、5月8日の第3便と、これまで東北大学病院をはじめ、岩手、福島、山形、茨城の各県など9カ所の病院にかつら約800点、帽子約2400点を発送しました。送った先では病院を通じて患者さんに提供・貸与されます。 しかし、被災地では病院や自治体そのものが被災している所が多く、まだまだ情報が伝わっておらず、これからの支援や連携先を模索中です。プロジェクトでは始まったばかりのこの取り組みを、より息の長い活動にしてくために、検討を重ねながら活動中です。 ◇ *お問い合わせは下記のホームページまで。 |
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■介護福祉用具の使用 アンケート調査その2 | ||
介護福祉用具の使用調査について、先月号ではレンタル料金の自己負担額の調査結果の報告を掲載しましたが、事故やけがについては17人からの回答が寄せられました。 | ||
使いやすい仕様に工夫を ベッドや周辺からの立ち上がりや移動の際に足に力が入らず転んだり、周りのサイドテーブルやアームバーにぶつかったりの事例から、居室の広さや設置の場所についても工夫が必要なことが分かりましたが、狭い部屋ではなかなか思うようには用具が使えないことも推測できます。
歩行器ではブレーキが使いこなせず、スピードが出すぎて危なかった報告もあり、握力も弱くなる高齢者に、使いやすい仕様の工夫の必要性を痛感しました。
浴室、トイレ、玄関などへの手すりの取り付けは、元気な家族にとっても便利です。「介護ベッドは高さが上下したり、それに合わせた付属品もそろっていて使い勝手がよい」「レンタル利用は、メンテナンスがあるので助かっている」と満足の声が聞かれました。その中の一つ、介護保険制度に頼りきらずに、介護度を下げて暮らしている90代の男性からの記述を紹介します。 「自分や家族が工夫して、靴下を一人で履けるように自助用具を作ったり、長い靴べらやステッキなどをうまく活用して人の手を煩わせない努力をしている。要介護(2)の中で、ヘルパーも要請せず日常生活を送っていると、介護は要支援(2)に下がり、周囲の先生も驚いていた。公費補助やヘルパーを頼んで依存してしまうと、介護度は上がる。周囲に甘えたほうがいいですね」 自費で支えてきた在宅介護では、「介護の利用限度が常にオーバーするので、ベッドやトイレ、車いすを購入した。それでも足りず有償ボランティアを利用し在宅介護を続けていたが、限界に達し施設に入居した。再び在宅になったら、福祉用具のレンタルを考える」。 また「一人暮らしには十分な広さで、元気な時代にはスキップフロアの住居は脚力がつくと喜んだが、現在歩けない状態では車いすが全く利用できず、在宅介護の限界を感じている」との声も寄せられました。 |
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■・TPPを考えるB 国民生活へのデメリット 徹底的な検証を |
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もしTPPに参加した場合、非関税分野における貿易ルールの見直し範囲には規制(規格)制度・サービス(電気通信・運送・その他の様々な分野)・環境・知的財産権などのほか、政府調達市場も含まれることになります。いずれも重要な分野ばかりですが、これらの中でも政府調達市場の代表格としての公共事業に注目したいと思います。 幅広い分野で暮らしに密着している公共事業ですが、TPPでは入札の際に企業の国籍によって競争条件を変えるなどの差別をしないことが求められます。 国際競争入札制度 現在は地方自治体の建設工事、道路補修、除雪作業などは、地元の細かな要望に対応できることが評価基準になっているため、ほとんど地域の企業が落札していますが、仮にTPP参加により金額を重視するような国際入札制度になれば、外国との競争に負けた企業が、場合によっては倒産することも考えられます。 地元に企業がなくなったとき、豪雪地帯の高齢者世帯の除雪作業などは、誰がすることになるのでしょうか。地域住民が困ったときに、例えばアメリカの業者で間に合うでしょうか。 政府は大震災前に開催した「開国フォーラム」ではTPP参加のメリットのみを強調したようですが、将来もしも参加問題の検討を再開するのであれば、国民生活に及ぶデメリットについての徹底的な検証からスタートするべきではないでしょうか。 |
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■司法に風を吹かせよう 「裁判所の現状と問題点」テーマにシンポジウム |
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先月号に続き、4月2日開催のシンポジウムの報告です。2番目のテーマは「裁判所の現状と問題点」で、講師は長年判事を務め、退職後弁護士をされている北澤貞男さんでした。 | ||
風の会報告 まず裁判所の現状について、「最高裁長官と最高裁事務総局が下級裁判所の裁判官の報酬と任地を決める権限を独占しているため、上命下服の閉塞感が漂っていること」「裁判官の選任が公選制ではないために権限の行使に消極的になり、司法は立法と行政に従属的であること」「憲法を擁護する機能が低下していること」など重要な問題に触れ、「(現役の)人事交流がない中では司法制度改革による弁護士の増加は、かえって法曹界における裁判官のエリート意識を亢進させるのではないか」と裁判官任用に伴う(司法試験の)成績主義の問題についても話されました。 さらに「理想的には、裁判官同士の選挙で首席を選び代表権限は与えても、大事なことは裁判官会議で決めるやり方がよい。人事評価も自己評価と相互評価によって行う」「裁判官の職権の行使は誰からも独立し、指図されてはならない。国民から評価されることは別だが」と、司法の独立性に関わる人事制度の欠陥を指摘されました。 また「証拠調べ」など丁寧さを大切にしてきた北澤さんは、裁判の迅速化を巡って「迅速処理が自己目的化すると民事事件では紛争を複雑にしないで、証拠調べも少なくしがちになり、刑事事件では無罪の発見と有罪である者の更生がなおざりにされる」ことを注意点に挙げました。 刑事事件では裁判員として市民が法廷に臨む現在、拙速に陥る危険性について私たちは認識する必要がありそうです。 |
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■地域ニュース | ||
18回目の総会 羽村市婦人会 4月28日日に定期総会を開きました。いつもは100%の出席ですが、今年は少し様子が違いました。東日本大震災の被災者のご家族があり、一週間も音信不通で大変苦労され、やっと妹さんの無事を確認できて、一安心したそうです。 その後、家族に迎え入れたものの、当時の記憶の生々しさが癒えることなく日々を送っているのと、全部失った物の、その手続きに奔走していますが、精神的に不安定なときもあるので、そばにいてあげたいと欠席でした。 全員がそろった総会が開けるのは当たり前と思いがちですが、とても幸せなことなのです。そんな思いを胸に議事は進み、無事に監査も終了。その後監査の方から帳簿を見せてもらって、会計の苦労が見受けられました。 「この辺で会費の値上げを考えては?」と提言があり、満場一致で200円アップ、月額700円となりました。 DVD「女たちの戦争体験」を観て戦争の忌まわしさを感じ、平和の尊さ、大切さをあらためて感じました。 最後に、「ねがい」(作詞並木良/作曲村上太焉jを斉唱して終わりました。
総会を終えて 向 友 会 4月31日に今年度の総会を開きました=写真。出席者は15人、20年前に比べると会員数、出席者とも半減してしまいました。 みんな高齢者になり、亡くなられた方、寝たきりの方もあり、仕方なく少人数で効果的な活動を続けています。 久しぶりの集いで皆さんうれしそうでしたが、もうひとつ明るさが足りません。それは3月11日の大震災と原発トラブルで、心が重く暗くなっていたからです。 原発については、事故になると放射能汚染で環境破壊になってしまうと最初から予測され、反対運動もありましたが、電化生活の利便性で原発は増えつづけ、今回のようなことになり残念です。 今、日本は窮地に立たされ大変ですが、早く原発放射能を収束させて、復興へと進めていかなければなりません。 高齢者は健康に気を配り、周りの人の世話にならず自立して生活をすること、つらくても前を向いて一歩でも前進することです。手を携えつながって頑張りましょう。 今回は消費生活コンサルタントの花井淳子さんをお招きし、訪問販売のトラブル、高齢者の死傷につながる事故の注意などについて話していただきました。 暖かくなってゴキブリが這い回るようになりますので、ホウ酸団子(殺虫剤)の作り方を楽しみながら教えていただきました。 |
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