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■2012年5月15日付
5月は消費者月間
「安全・安心 いま新たなステージへ」
司法に国民の風を吹かせよう
3部構成 多彩なプログラム
放射線食品照射を考える
放射線照射ジャガイモ 4都県で見つかる
BSEの発生と加工肉 ピンクスライム騒動
食肉に関わるアメリカの2大ニュース
地域ニュース

■5月は消費者月間
 「安全・安心 いま新たなステージへ」
東京地婦連、消費者支援功労者表彰で内閣総理大臣表彰

 国は消費者利益の擁護・増進のために活躍されている人たちを表彰する制度として、昭和60年から実施してきました。
 従来は内閣府特命担当大臣が表彰してきましたが、消費者庁の創設に伴い、平成23年度から内閣総理大臣表彰を筆頭としたものに格上げしました。
新しい公共の重要な担い手

 従前との相違は、個人だけでなく「新しい公共」の重要な担い手である消費者団体・グループも広く表彰しています。
 内訳は都道府県などから推薦された内閣総理大臣表彰5件、内閣府特命担当大臣表彰21件、ベスト消費者サポーター章59件の101件(個人44、団体57)が選定されています。授与式は、消費者月間行事が予定されている5月28日に行われます。

消費者月間統一テーマ

 昭和43年5月に施行された「消費者保護基本法」(平成16年、改正により「消費者基本法」に変更)の施行20周年を機に、昭和63年から毎年5月が「消費者月間」とされ、今回で25回目となります。消費者、事業者、行政が一体となって、消費者が主役となる社会の実現について、ともに考える事業を集中的に行おうと、今年の消費者月間において消費者庁では、消費者月間の統一テーマとして「安全・安心 いま新たなステージへ」を設定しています。
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■司法に国民の風を吹かせよう
 3部構成 多彩なプログラム
100人を超える参加者で会場もいっぱい。風の会パート21=4月28日、プラザエフ
 東京地婦連も参加する、風の会(略称)はゴールデンウイーク初日の4月28日、四谷のプラザエフで通算21回目のシンポジウムを開催しました。行楽日和にもかかわらず、100人あまりが参加、「国と企業の加害責任を明確にしよう」をテーマに、多彩なプログラムが展開されました。東京地婦連からは2名が出席しました。
第1部

 「泉南アスベスト事件第一陣訴訟・薬害イレッサ事件東京訴訟に見る裁判所の行政に対する姿勢」をテーマに、全国公害弁護団連絡会議の阿部哲二弁護士の報告と、首都圏・横浜建設アスベスト訴訟について阪田勝彦弁護士の報告がありました。

共通する問題点

 阿部さんからは二つの裁判に共通する問題点として、いずれも地裁判決は覆されて、二審の高裁判決では司法は消極的になり、専門性の高い分野について司法の判断を差し控えていること、国の監督責任を否定し、泉南アスベスト第一陣では「現場でマスクをする義務を怠った」と労働者の自己責任を問い、薬害イレッサ東京では「添付文書に副作用情報を書けば医師は分かるはずだ」として、医療の現場と患者の自己責任に委ね、「国・企業の違法の有無まで判断する必要はない」とした点を挙げています。
 阿部さんは二つの高裁判決に共通する問題点として、「民事分野では判事と検事の人事交流が続いており、判事が法務省に出向して国が被告となった裁判では、国側の代理人の検事になる制度がある」としています。
 刑事分野では、「裁判官(判事)と検察官の距離が近すぎるため、裁判の公正さをゆがめかねない」と人事交流はすでに廃止されましたが、民事ではまだ残っているものです。
 そのほか、B型肝炎救済後に訴訟が増えたこと、原発事故訴訟を見越して国の責任についての判断を控えているのではないか、といった点についても指摘されました。



私たちの生活環境を取り巻く現在進行形の公害

 阪田さんからは、首都圏の東京、千葉、埼玉などと手掛けている横浜の建設アスベスト訴訟では、388人が国と主なアスベスト含有建材製造企業を相手に、石綿健康被害救済法と労災の約300万円のわずかな死亡給付を不服として、抜本的解決のための政策形成訴訟を起こしていること、製造禁止をしなかった国の責任、製造使用禁止しなかったPL法違反の製造販売企業44社の違反(平成7年以降)などを訴えていることが報告されました。
 さらに原告のみなさんの石綿肺疾患の悲惨さや苦しみとともに、潜伏期間が10年から50年と長いこと、高度経済成長期の1970年から90年がアスベスト含有建材使用のピークだったが、今後2020年から40年には解体のピークが来るので、まさに私たちの生活環境を取り巻く現在進行形の公害であることなど、訴訟の原告団を代表して警鐘を鳴らしました。
 以上が第1部のあらましですが、5月25日は建設アスベストの横浜訴訟と、薬害イレッサ大阪訴訟の判決日だそうです。

「原発問題と国・企業の責任」をテーマ

第2部

 水俣病訴訟の教訓から、「原発問題と国・企業の責任」をテーマに、全国公害弁護団連絡会議の馬奈木昭雄弁護士の講演をうかがいました。
 馬奈木さんの講演要旨は
(1) 被害者の救済のためにはまず、公害を未然に防止しなければならず、環境権理論の整備と進展が必要である。裁判による救済にも、公害防止のための差し止め訴訟が認められなければならない
(2) 被害は瞬時にとどまらず長期にわたって引き起こされる。互いに複雑に絡み合って新たに生じていく。原因を隠蔽し究明を妨害することで、被害防止対策が不十分にしか行われず、対策が遅れることで時と共に被害は増大する
(3) 被害の実態と被害を生み出したものへの徹底した追及が必要である。世論の支持を勝ち得た正義が実現できる。裁判はそれを構築するひとつの場、国民的運動が必要である
(4) 全国で原発をなくせの声をあげよう。私たちは玄海原発と川内原発の操業差止を求める訴訟を起こし、福島原発事故のもたらした被害とその原因を徹底して明らかにすることによって、憲法9条とともに、「本質的に危険な原発をなくす」声を世界に伝えたい
(5) 放射能の「基準値以下」の説明については、日々少しずつ蓄積されて、病気が発症する危険性は払拭できないことを認識しなければならない
(6) 「国の基準に従ってきたから安全で問題ない」。水俣病から原発事故に至るまでこれまで話題になった大きな事故は、いずれも安全神話にまみれていたことを忘れてはならない

 以上が馬奈木さんの指摘された重要なポイントです。第3部は次号に掲載します。
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■放射線食品照射を考える
 放射線照射ジャガイモ 4都県で見つかる
「ガンマ線を照射」したと書かれた説明文
 照射ジャガイモの通報を、ありがとうございます。照射食品反対連絡会は、食品衛生法の例外措置で唯一認められた士幌農協の照射ジャガイモの販売状況調べを、端境期の2月〜5月の4カ月間行っています。
 これまでに各地のお仲間からいただいた情報では、宮城、新潟、茨城、東京の4店舗で販売されていたことが分かりました。東京は東久留米市内でした。
 新ジャガが出そろうまで、調査は継続しておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
2012年5月2日
ジョイフル代表取締役社長
   矢ヶ崎健一郎 様

照射食品反対連絡会
代表世話人  和田正江(主婦連合会)
     同   飛田恵理子
         (東京都地域婦人団体連盟)
     同   富山洋子(日本消費者連盟)
     同   里見 宏(食品照射ネットワーク)

放射線照射ジャガイモの販売中止の要請

 「照射食品反対連絡会」は、放射線を照射した食品の安全性に問題があるとして反対運動をしている消費者54団体と個人で運営されています。
 4月28日、茨城県守谷市のジョイフル本田店にて照射ジャガイモを発見いたしました。貴社が照射ジャガイモを実際販売なさっているかご確認のうえ、販売しているならその販売をぜひ停止いただきたく、お願いの申し入れを差し上げました。

 照射食品には、強い発ガン増強作用を起こす物質の生成(2・アルキルシクロブタノン類)がわかり、2010年5月18日に厚生労働省の薬事・食品衛生審議会規格部会は「安全を証明できる根拠がない」としています。
 昨年、北海道の士幌町農協は福島原発事故で混乱が起きている仙台市内で、放射線照射ジャガイモを販売しました。「ガンマ線照射のシールが張られた芽止めジャガイモが売られている。物がないとは言え、照射したジャガイモを売り出すとはなんということだ」という市民からの強い抗議の声が上がり、北海道士幌町農協に照射ジャガイモの販売を停止するよう申し入れております。
 もともと、食品衛生法は食品への放射線照射を禁じています。しかし、原子力委員会によって国民に原子力を身近に感じさせるために「照射食品」の推進が進められてきました。
 いろいろ経緯はありますが、最終的に厚労省は2010年5月、「(照射によりできるシクロブタノン類の発ガン性を否定するデータがないことについて)科学的知見が不足している」「(照射食品のニーズについて)国民との相互理解がない」と、照射食品を認めていく方向での審議にかけうる条件はが整っていない旨の通知を原子力委員会に対して出しております。
 ぜひ、貴社が販売している照射ジャガイモの販売を止めてください。貴社のご回答をお待ちしております。
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■BSEの発生と加工肉 ピンクスライム騒動
 食肉に関わるアメリカの2大ニュース
 米農務省は4月24日、6年ぶりに「カリフォルニア州で4例目のBSE感染牛が確認された」と発表し、「非定型で肉骨粉によるものではなく、食用には流通しない。米国産牛肉の貿易に影響することはない」と、分析機関の結果が出る前から強気の説明をしています。
消費者の懸念が的中

 すでにお伝えした通り、米国は牛の個体管理や飼料規制に問題があるにもかかわらずわが国に対し、20カ月齢の輸出規制条件の緩和を度々迫り、米国牛の30カ月齢への緩和について、厚生労働省が食品安全委員会に諮問している中で起きたBSEの発生でした。乳牛とはいえ、消費者の懸念は的中したわけです。
 一方、米国内の加工肉ピンクスライム騒動とは、「かつてはドッグフードや調理用油にしか使われなかった切り落とし肉が、殺菌のためアンモニア処理され、水増し用の材料として、多くの挽肉に混ぜられている」とABCニュースが報じた問題です。
 スライムとは、「筋肉と脂肪を分けるために低温で煮込んで、遠心分離器にかけられた牛のくず肉」のことで、アンモニア処理によりピンク色をしたドロドロの加工肉になります。
 ピンクスライムは消費者にくず肉とは知らされないまま、ハンバーガー用パテなどの牛肉製品に混ぜて増量するために、米国では農務省が学校給食用に購入したり、ファストフード店やスーパーなどに広く出回っていましたが、牛肉にこの加工肉が含まれていても、表示義務はありません。
 農務省の二人の科学者が、「全米のスーパーの店先にもたくさん並んでいるが、自然な肉と栄養学的に同等でなく、経済的な詐欺である」と異議を唱えていると、ニューズウイーク誌は伝えており、BSE発生とともに、この加工肉問題はアメリカの消費者に大きな打撃を与えているようです。
 これらのニュースは果たして対岸の火事でしょうか。
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■地域のニュース
「安食」も支えたワカメ
羽村市婦人会


 第19回定期総会が、4月26日に消費生活センターで開かれました。
 昨年をふり返ってみますと、あまりにもひどい災害に衝撃を受けたこと、支援や援助の働きかけはどうあればよいかなど話し合ったことが、今現在の南三陸町とのつながりとなって、春に収穫されたワカメが「はむら安全食品等をもとめる会(略称=安食)」のルートに乗り、買い支えることができました。何もかも津波にさらわれた「無」からの出発でしたが、11月の種付けから、「俺たちの海の誇り」と、漁師さんたちの生きる喜びと変わっていったのです。
 私たち会員は、少数になっても希望を高くもって進むことを心に決めました。今年は関東ブロック会議があり、東京がお当番に当たるので、お手伝いをよろしくお願いします。各種研修会にも奮って参加しましょうと確認できました。
 最後に会歌「ねがい」を斉唱し、第1部は終了しました。

和やかに定期総会
都民クラブ


 北関東で発生した竜巻被害から2日たった5月8日、好天に恵まれた渋谷の婦人会館で13人が出席して、総会が開かれました=写真。
 諸議事が滞りなく承認され、新年度の事業計画案と予算案については、今年11月に東京地婦連が当番県として開催する「関東ブロック会議」への協力参加が確認され、また、その開催経費の団体分担金2万円の支出も承認されました。
 役員の改選は、引き続き水野英子さんに代表をお引き受けいただくことが満場一致で決まり、他の役員も現状通りとなりました。
 余談ですが、都民クラブの歴史はとても古く、創立時のことを当時地婦連の事務局長でいらした田中里子さんが「20人が語る戦後のあゆみ」(国民生活センター編)の中で、次のように書いておられます。「昭和21年頃だと思いますが、山高しげり先生から、仕事を手伝ってと言われました。山高先生は当時、婦人都民クラブという組織をつくっていました。その事務の仕事を手伝うようになったのが私の仕事らしい仕事です。そのクラブは今でもあります」と。
 懇談会では、まだ先の見えない原発被災地の福島の方々への思いを語り合う中で、今年の見学学習は東京臨海広域防災公園併設の防災体験学習施設で行うのはどうか、検討することになりました。その他新年度に向けての活動を確認し合い、無事終了しました。
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