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■2012年11月15日付
新たな活動ステージをつくろう
 全国地域婦人団体連絡協議会関東ブロック会議
新食品表示法(仮称)で意見表明
こっそり導入された環境税 その2
 中小事業者や家庭にも負担はじわりとのしかかる
葛飾区産業フェアに初参加
 北方領土変換の願い込め早煮昆布を販売
地域ニュース

■新たな活動ステージをつくろう
 全国地域婦人団体連絡協議会関東ブロック会議
間口の広さを活かして人のつながりを大切に

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会場風景
 平成24年度の全国地域婦人団体連絡協議会の関東ブロック会議は東京地婦連が企画・運営し、11月5・6日に日本青年館ホテルで開催されました。関東の1都10県1市から300人が参加、今年はエネルギー問題と消費者問題に焦点をあてました。エネルギー問題は、福島の第一原子力発電所の事故で、放射能汚染の不安を再認識させられた重要な問題です。初日は、シンポジウムがあり、「選ぼう 私たちのエネルギー〜国・自治体・地域のエネルギー政策」のテーマで、国、都、市民団体から問題提起を受け、参加者全員がテーマを掘り下げました。
エネルギーと消費者問題に焦点を当てて

1日目 シンポジウム

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質問や意見が多数出されたグループ討論のもよう=11月5日、日本青年館ホテル
 参加者は15班に分かれて座り、コーディネーターとシンポジストの話題を受けて、討論しました。総時間4時間のシンポジウムでしたが、後半90分は15班のグループ討論で出た質問、意見を、シンポジストが説明・回答する形式で進みました。
 第1班から順に質疑応答し、最後の方の班では「すでに今までの質疑応答で、私たちの班で話されたことも出てきました」と発言があり、各班の質疑応答を通して参加者全員が課題・問題認識を共有し、深め合うことができました。
 まとめでコーディネーターは、「皆さんが地域に戻られてから、ぜひ、今日の内容を活かして活動を進めてください」と結びました。
 今回のシンポジウム「選ぼう 私たちのエネルギー〜国・自治体・地域のエネルギー政策」は、今後エネルギー問題を考えていく上で、とてもタイムリーな企画になりました。
 夕方からの情報交流懇親会では、北方領土問題について都民会議主管で9月にビザなし渡航したときのスライドを使いながら、蓮池攻都民会議事務局長が報告し、懇親会では歌手のたいらいさをさんを招き、童謡や抒情歌を聴きながら、最後はみんなで一緒に「ふるさと」を歌い、和やかなひとときを過ごし、楽しみました。
 翌日は全体会と記念講演が行われました。全体会では、全地婦連に対する各県からの提案や要望の質問が出されました。
 子どもを取り巻く社会のさまざまな問題、命を守るための運動に取り組みたい、介護保険制度を取り上げた企画を通して、若い人たちにも関心をもたせ、婦人会活動につなげたいがどうしたらよいかなど、提案もありました。
 「婦人会は間口の広い団体であり、地域の実態をよく知る、人と人のつながりを大切にしていることが特色です。地域のさまざまな団体と連携しながら、世代間ギャップに遠慮せず、おせっかいおばさんになって、新たなステージにつくりあげていく工夫が必要ではないでしょうか」と、全地婦連柿沼会長の発言でした。
 2日間の会議が終了後、6日は雨が降る少し肌寒い午後でしたが、希望者は貸し切りの遊覧船で、水辺ライン東京湾クルーズを楽しみました。

コーディネーターとシンポジスト

地域と主体的な参加で自然エネルギー事業を
コーディネーター 松下 和夫(京都大学大学院地球環境学堂教授)


省エネ、再エネ・火力、原子力のバランス
シンポジスト 村上 敬亮(経済産業省 資源エネルギー庁省エネ・新エネ部新エネ対策課長)


「原発ゼロ」の方向へベクトルが向いた
シンポジスト 平田 仁子(特定非営利活動法人気候ネットワーク東京事務所長)


低炭素、快適性、防災力の3つを同時実現へ
シンポジスト 長谷川徳慶(公益財団法人東京都環境公社総務課長)


2日目 記念講演

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2日目の全体会が始まる前に全員で「全地婦連の歌」を斉唱=10月6日
 2日目は全体会と記念講演です。全地婦連の歌を斉唱後、あいさつにつづき、全体会に入りました。そこでは、会員の高齢化は進み新会員が増えない悩みなど、全地婦連への要望や質問がありました。

 記念講演のテーマは、「私たちを取り巻く消費者問題解決のために〜消費者委員会の課題と役割」。講師は東京大学大学院教授で、消費者委員会委員長の河上正二さんです。
 最初に消費者問題あれこれ、消費者委員会というところについて話され、地方消費者行政の活性化、消費者安全行政の抜本的強化、公共料金制度の在り方、エステ・美容医療に関するトラブル対策、貴金属などの訪問買い取り被害対策、太陽光発電システムの導入にかかるトラブル対策、違法(脱法)ドラッグ対策など、最近の建議・提言などに触れました。

ボーダーレス化と多様化の進行

 具体的問題として、消費者への適切な情報開示と周知徹底への取り組み、消費者教育、国民生活センターの在り方などについて説明がありました。
 まとめとして、問題状況は刻々と変化してはいるものの、全体として眺めると、多方面でボーダーレス化と多様化が進行している。

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■新食品表示法(仮称)で意見表明
基本的には賛成 原材料名は具体的に表示を

 消費者庁は、これから法制度化を行う新食品表示法(仮称)について消費者団体の意見を聞くワークショップを10月24日に開催し、15団体が参加しました。東京地婦連からは飛田恵理子生活環境部長が出席し、次のような意見を表明しました。(抜粋)
 このたびの食品表示一元化の動きについては、検討を待たれていたことでもあり、基本的には賛成します。新たな食品表示統一法は消費者運動による長年の情報開示の歩みを踏まえて、消費者基本法の理念に基づく方向性と、国際的にも評価に耐え得るわが国の健康寿命問題や食品にかかわる被害の未然防止の視点を入れ(これは誇大広告による消費者被害がたくさん起こっていますので)、ユニバーサルデザインに近い内容であってほしいと考えます。

問題点も散見

 今までの取り組みからは、食品表示には関係する法律が複数あり、用語が統一されていないこと、消費者が求める食品の成り立ち情報、栄養成分表示、アレルギー表示、遺伝子組み換え食品等の情報開示が不十分でわかりにくいこと、加えて省庁が縦割りであったためか、監視体制や被害救済のあり方などの置き去りというか、非常に甘い問題点も散見されます。
 新法は、これから徐々に検討が深められていくと思いますが、義務表示事項に関しては原材料の植物油、動物油脂といった大きなくくりの表示は改め、具体的に表示してください。
 添加物は原材料と区分して、用途と個別名称を表示し、簡略名や別名などをのせるようなことをしないでください。
 加工助剤、キャリーオーバーの不表示については、チェックがされているかどうか心配です。キャリーオーバーだから表示されていないわけですが、果たして適切に行われているかどうか、そのあたりをチェックしていただきたい。
 アレルギー表示は、責任回避のための表示でなく、重症者の安全を優先して表示項目とし、表示面積の小さい場合は省略できるとされる規定についても見直してください。
 遺伝子組み換え食品については、EU方式の表示にしてください。
 栄養成分表示を追加するのは大変うれしく思いますが、これについてはわが国の今まで指摘されてきた国民の健康に及ぼす食品摂取の問題点を十分に踏まえ、メリハリのあるものにしてください。

賞味期限表示と併せ、復活してほしい製造年月日表示

 それから、賞味期限表示にプラスして、具体的な製造年月日表示は復活してほしいと考えています。
 食品表示の適用範囲は、インターネットやカタログ通販や自販機による販売などについても適用範囲にしてください。
 不使用とか、そういった強調表示をしたもの、あるいは広告表示で強調しているようなものについては、その具体的内容を義務表示に。
 原料原産地については今後の課題になっていますが、私たちの身の回りの食のグローバル化はとどまるところを知りません。消費者は輸出国側のいろいろな情報を知りたいわけです。
 製品のフードマイレージを知る上でも、非常に重要な項目であると考えます。またカントリーリスクなどもあります。慎重にご検討をお願いします。できればパーセンテージ表示にしてください。そうしないと、具体的に中間加工品などの状況は把握できないわけですから。
 それから、産地偽装や事故原因の究明とか、事故品の回収を効率的に行うためにも、国内の場合は原料原産地表示は特に有効になると思っています。
 任意表示事項はわかりやすい栄養表示になるように、例えばナトリウムに食塩相当量を併記したり、「見える化」をして、1日の必要摂取量との関係表示を明確化していただきたい。それには信号表示などというご意見もありましたが、わかりやすいように具体的に、国民の食習慣に影響を与える、密度の濃いものにしてください。
 誤差についてはしっかりとした根拠のあるもので、ある程度の幅表示はいたし方ないと思いますが、私たちがどういう根拠に基づいてこれが表示されているかをわかるように、過剰摂取の懸念や摂取が欠乏しているものなどについても配慮しつつ、見直してほしいと思っています。
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■こっそり導入された環境税 その2
 中小事業者や家庭にも負担はじわりとのしかかる
 3段階で年ごとに徐々に上がり、今は標準世帯で月30円ほどですが、3年後には月102円ぐらいになり、中小事業者や家庭にもじわりと負担はのしかかってきます。電気・ガス料金のみならずLPG、灯油、ガソリン、日用品など、今も暮らしの中で、化石燃料に依存する範囲の広さを思わずにはいられません。
 一方では、国際的に見ても高いとされる「再生可能エネルギー固定価格買取制度」が7月にはじまり、すでにこちらも標準世帯で月80円ほど電気料金に加算されています。
 原発に代わるエネルギーとしての期待は大きく、私たちの負担に支えられ急ピッチで導入が進められていますが、太陽光・風力は自然条件に左右されるために不安定で、小水力・地熱は今後への期待は大きいもののその多くは小規模です。
 これらは直ちにエネルギー需要を担えるパワーとはなり得ず、わが国では電力供給の9割近くを、化石燃料による火力に依存している状況です。
 石油、LPG、天然ガス、石炭などの化石燃料は新たな環境税や地球への環境負荷問題に直面しつつも、自然エネルギーを補完する大きな役割を果たしているのが実態です。
 北国からは雪の便りも届く今日この頃、北海道庁の調べによれば家庭の暖房用燃料の86%は灯油といわれ、全国各地の寒冷地でも暖房用、給湯用に灯油は必需品です。地球温暖化に歯止めをかける狙いは分かりますが、被災地を含む寒冷地の消費者の負担を思えば、この時期の環境税のこっそり導入は、政策的な配慮に欠けているのではないでしょうか。
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■葛飾区産業フェアに初参加
 北方領土変換の願い込め早煮昆布を販売
交流フェスタ 見つけよう!今私ができること

 葛飾区産業フェアが、(1)10月19日から21日に「工業、商業、観光展」(2)26日から28日に「農業、伝統産業展」―― で、テクノプラザかつしかで開かれました。私たち消費者団体は初参加です。谷茂岡会長は運営委員、私は実行委員として数回の会議に参加しました。
28年前にスタート

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歯舞漁協の昆布を販売
 産業フェアは区内の産業と地域の振興、併せて次世代を担う児童、生徒の産業教育の場という目標を掲げて、28年前にスタートしました。今年は葛飾区制施行80周年でもあり、葛飾区の秘めた底力、魅力、活力、生命力を集約して産業を未来に伝えていこうと、今年のテーマは「『葛力!』夢と誇りを未来へ」です。
 来場者が見て、触れて、学べる参加型の体験教室もあり、出展者は400件近い参加協力企業です。
 中でも防災協定を結んでいる地方や、寅さんのロケ地の北海道オホーツク地方、宮津の天橋立、長崎の五島列島など、友好都市協定を結んでいるオーストリアやスリランカなど、海外の特産品の販売もありました。
 その中で私たち婦人会は、北方領土返還を求める運動の早煮昆布や切り昆布、とろろ昆布を販売しました。切り昆布の試食をすすめ、「野菜とサラダに、ご飯に炊き込んでもおいしいですよ」と声をかけました。商工会議所葛飾支部会長の信川運営委員長は私たちを気遣い、ときどき様子を見に来られました。
 谷茂岡会長は9月に、ビザなし交流訪問で一行65人の団長として、国後と色丹島に行ってきましたが、みんなが領土問題を忘れずに、返還を強く願い、ねばり強く希望をもって運動をすすめていこうと、昆布を販売しながら思いました。

名物は野菜宝船

 産業フェアの名物は、JAの野菜宝船です。新鮮な野菜をたくさん使った船は最終日に解体され、野菜は安く販売します。私たちのテントの前は、それを求める長蛇の列。
 昆布が売れ残ってあきらめかけていると、信川運営委員長が近寄ってきて「昆布を全部買います」と、協力してくださいました。本当に助かりました。私たちは、完売を拍手で締めました。
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■地域ニュース
葛飾区消費生活展 わか草婦人会

Photo  第40回葛飾区消費生活展が、10月13・14日にウイメンズパルで開かれました。テーマは「いま消費者に求められているものは?」で、わか草婦人会は食品の安全についてパネル展示をしました。
 食品に含まれる放射線物質とその新基準値、今消費者が知りたいこと、知っておかなくてはいけないこと ―― を発表しました。より一層食品の安全を担保するため、通年1ミリシーベルトを超えてはならないとする新基準値については、みなさん関心が高く、立ち止まっては「とても勉強になった」と、口々に話し合っていました。
 今回特筆すべきは、葛飾区制80周年、消費生活展40周年の節目に当たり、記念事業として小学生向けの消費者教育用に、「葛飾あるいてミ〜ル」消費生活学習すごろくが製作されたことです。
 区の地図をモチーフに、生活、環境、地域、安全の4種のカードのマスが用意され、さいころを振って出目の数だけマスを進み、例えば環境マスで止まったらカードを1枚引いて、「誰もいない部屋の電気を消した」を選べば、「グッド」として2マス進めるなど、早くゴールした者が勝ちという、大人も楽しめるすごろくゲームです=写真。
 このカードの製作に携わった谷茂岡正子実行委員長は、「ただの遊びではなく、消費者問題の早期教育の一環として作った」と、狙いを語っています。今後、区内の全小学校に配布されるそうです。私も自分の消費者力を知るためにも、ぜひチャレンジしたいと思っています。



北区消費生活展 千草婦人会

Photo  第40回北区消費生活展が10月27・28日に、北とぴあで開かれました。
 「来て・見て・聞いて2012」をテーマに、消費者団体や協賛団体が日常生活に役立つ情報として環境、防災、リサイクル、健康、食、安全、ガス、電気などを展示し、クイズスタンプラリーも実施しました。
 参加団体からは化粧品について、「いざ」というときのために防災&減災、自然エネルギーを考えたくらし、脳いきいき5カ条、千草婦人会は「経済から見た消費者・生活者」のパネル展示をしました=写真。
 協賛団体からは、成年後見制度について、くらしとおかね〜など暮らしに身近な情報が満載。食について考えよう、ガスを正しく使って安全に、電気を正しく安全に。身近にある観光地、ごみの減量と3R、消費者トラブルに注意、どれが甘いかなど ―― 、各コーナーで説明を聞きながら、参考になったことがたくさんありました。そして、やはた婦人会の協力で、防災用食品のおにぎりが、参加者に配られました。
 今年は消費生活展40周年で、北区産業振興課も力を入れ、東京都消費者月間協賛事業に参加、ポスターやパンフレットにもロゴマークを入れました。
 記念公演は、フォーク歌手青木まり子さんのコンサート。楽しいひとときを過ごしました。
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