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■2013年3月15日付
あいさつこそが一番の地域防災
ブロック会議2012 INきた
葛飾区消費者リーダー学習会
日本の消費者の権利変遷について
消費者団体の輪を強めて
区市町村消費者行政調査の取り組み
安全性重視を実感
漬物工場見学と意見交換
電力設備周辺の磁界測定結果を公表(2)
省令の規制値大きく下回る
地域ニュース

■あいさつこそが一番の地域防災
 ブロック会議2012 INきた

福祉の目と心を持って災害弱者への支援を

 東京地婦連は「地域の力で未来を拓く」を基本テーマに、安心して暮らせる地域社会をめざして毎年2カ所でブロック会議を開催しています。2月13日、北とぴあで「ブロック会議2012 IN きた」を、一般財団全国婦人会館と共催して開催しました。テーマは「女性と防災」、暮らしに役立つ「抗菌加工製品」の2つで、くらしフェスタ東京の協賛事業としても広報し、50人が参加しました。

もう一度学ぶ機会ほしい

テーマ 抗菌加工製品

抗菌とは細菌の増殖を抑制することです。
長谷川友繁SIAA委員長
 主催者挨拶は山下陽枝副会長、総合司会は鈴木文子赤羽やはた婦人会会長、閉会は荻生万寿子新宿茜会会長が務めました。
 最初にトイレやまな板などに使われている抗菌加工製品について、一般社団法人抗菌製品技術協議会常任理事の長谷川友繁SIAA広報委員会委員長が抗菌製品の普及実態やガイドラインに基づいて協議会が付与している安心マークなどについて、説明しました。
 「抗菌」とは、菌を一時的に死滅させ除去する殺菌、除菌とは違います。抗菌加工製品における「抗菌」とは、国では「当該製品における細菌の増殖を抑制すること」と定義していて、協議会では「表面の細菌を長時間増殖させないよう加工している製品」としています。
 抗菌製品については持ち時間が30分と短かったため、参加者からは「もう一度機会がほしい」との声も寄せられました。

町を守る女性たちの元気

テーマ 女性と防災

 「女性と防災」では北区赤羽に住み、地元消防団の副団長を務める小澤浩子さんを招きました。「自分たちのまちは自分たちで守る」という郷土愛護の精神で活動する消防団で、まだまだ少ない女性消防士の紹介をしながら、女性の元気が町や地域を守ることにつながると、私たちの身近にあって意外と知らない消防団のお話を聞くことができました。
 自然災害や火災は相変わらず多い現状です。社会環境も変化し、今までにない施設や技術が進み、加えて少子高齢社会の進展は新たな危険要因を増やしています。東日本大震災を契機に私たちは、当たり前の日常をもう一度見直し、ありがたさを感じています。
 伝達手段も携帯電話やITなどと進展していますが、どんなに便利な社会になっても、コミュニケーションでつながる絆や支え合いが大切なことを実感しています。
 小澤さんはまず、消防団の紹介をしました。消防団にはその町に暮らす、働く、学ぶ18歳以上の健康な男女がだれでも入団でき、それぞれの居住地域などにより、分団単位で活動しています。

自分たちの町は自分たちで守る

 身分は「自分たちの町は自分たちで守る」という郷土愛護の精神で活動する、非常勤特別職の地方公務員です。消防団は全国に2234団あり、団員数は87万6841人ですが、数は毎年減っています。
 女性を採用しているところは1288団で、半分を超えていますが、女性消防団員数は2万512人で、2・3%程度でしかありません。
 東京23区にある消防団は58。すべてで女性の採用をしていますが、15〜20%です。北区を例にすると、598人の消防団員のほとんどが昼間は別の仕事をするサラリーマンが大半で、そのうち女性団員は112人が活躍しています。
 女性消防団員の活動は、基本的に男性団員と同じですが、小澤さんは女性の特性を生かして、高齢者対応や幼児への防火・防災啓発、応急手当法の普及など、福祉の目と心を持って災害弱者への支援への活躍を挙げました。
 東日本大震災でもマニュアルのない中で女性団員が炊き出し、ガス復旧、高齢者訪問と活躍した事例の紹介をしました。

自助と公助の間「近助」を大切に

 小澤さんは「女性たちの元気は町を守ります。防げる災害は出さない。突発事故、自然災害は防ぐことはできません。しかし、自分の家から火を出さないために耐震化対策、備蓄、家族間で防災マニュアルを作っておくなど、被害を最小限に食い止めるための日頃の備えはだれにでもできること、『減災』を心がけ、安全なまちづくりをしましょう」と話し、備蓄については「災害発生後の時間割りに応じて必要なものは変わってきますが、笛や物資だけではなく『心の栄養』になるものを忘れずに入れておくと、望みがつながるのではないか」とアドバイスされました。
 最後に小澤さんは、「消防団は男性運営の社会で、まだまだ女性団員の採用されにくい環境が残っていますが、女性団員が増えることで女性ならではの防災・災害支援ができます。女性も危ない時に守ってくれるのは男性という意識はやめて、積極的に消防団員に応募し加わってほしい」と話しました。
 「自助・共助・公助のそれぞれの役割分担と責任を事前にしっかりわきまえ、備えることは大切だけれど、自助と共助の間にある『近助』を大切にすること、それにつながるのは、毎日のあいさつこそが一番の地域防災」と結びました。
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■葛飾区消費者リーダー学習会
 日本の消費者の権利変遷について
島田和夫さんを講師に学習会
=1月27日、ウィメンズパル
 初の葛飾区消費者リーダー学習会が1月27日、ウィメンズパルで開かれました。講師は東京経済大学現代法学部教授の島田和夫さん。国民生活審議会委員、葛飾区消費者対策審議会会長などで活躍する、消費者問題の第一人者です。

物言わぬ消費者から自立した消費者への転換

 葛飾区婦人団体連盟・消費者団体連合会会長の谷茂岡正子さんが、「25年度6回開講予定の消費者大学講座を前に、みなさんとともに知識を深めていきたいとの思いで開催しました」と主催者挨拶、行政側からは森本経済産業課長の挨拶もありました。
 島田先生は、「消費者問題は都市と地方の格差が著しく、都市部は勉強する場が多く恵まれている、中でも葛飾区は自分が携わっているところなどと比較しても、熱心で感動した」と話し、受講する身としては恐縮してしまいました。
 学習は日本の消費者の権利の変遷について、歴史をひも解きながら、詳しい講義でした。

(1)消費者重視社会の到来
 1990年以降の消費者をとりまく大きな変化について、消費者重視社会の到来を挙げました。
 物言わぬ弱者消費者から自立した消費者への転換が起こり、国がこの問題に積極的に取り組み始め、ようやく2009年に消費者庁が創設された。

(2)法化社会の到来
 1980年まで消費に関して、国民(生活者)が使う法律はなかった。なぜなら消費者問題の主体者は事業者であり、公正かつ自由な競争を重視することこそが課題であり、問題発生時に法律を行使するのは専ら行政であり、そこに消費者を介在させるという認識はまったくなかった。
 しかし、1990年に大きな変化が起きる。その背景を考えると、東西冷戦の終焉、ベルリンの壁の崩壊と東西ドイツの統一、東ヨーロッパ共産圏の衰退、ソ連解体などが挙げられる。
 これらの状況により経済の自由化が一挙に進み、公正かつ自由な競争が可能になり、「勝負正誤」の判断が消費者の手に一気に委ねられることになる。この歴史を背景に消費者が使う法律が飛躍的に制定されるに至った。呼称も「生活者」ではあいまいだとして、明確に「消費者」と定義づけられるようになった。

(3)消費者運動
 1960年前後になると、消費者の「安全」「取引」のトラブルが顕著になり、消費者運動が活発化し、問題提起→マスコミ報道→国の対応となる。
 「欠陥商品」問題では、1955年森永ヒ素ミルク事件に始まり、62年サリドマイド、68年カネミ油症、72年スモンと、たて続けに起こり、大きな反響を呼び、社会問題化した。
 「不当表示」では、無果汁ジュースをジュースと表示したのは不当だとして、主婦連が裁判を起こした。裁判そのものは門前払いになったが、世論がこれを許さず、表示方法を変更させ、「不当表示法」を制定させた。これは消費者問題として一躍クローズアップされた。
 「物価」問題ではカラーテレビ二重価格問題で、地婦連を中心に買い控え運動が起きる。要約すると消費者問題は「安全」「取引」「表示」の問題に集約される。94年にはPL法(製造物責任法)も制定され、徐々に消費者の権利意識が高まり、行政の法整備も整っていく。
 しかし、驚いたのは1962年にケネディ大統領が消費者の4つの権利(1)安全を求める権利(2)情報を与えられる権利(3)選ぶ権利(4)意見を反映される権利、をうたったのに対し、日本は「消費者が成熟していない」という理由で、何と米国に遅れること実に40年、2004年に初めて、この権利条項を盛り込んだ法整備がなされたという事実。

(4)最後は、高齢消費者被害の救済と予防
 高齢者をターゲットにした事件が後を絶たないが、その遠因として1980年代に起きた「豊田商事」事件で、高齢者が高額資産の保有者だということを世に知らしめてしまったことが大きい。
 加えて、被害の把握と検討が難しい。米・英国では年齢のみを対象とした調査は差別だという意識が高く、統計そのものが行われていない。その上、的確な被害の把握が家庭内の事情が複雑にからみ難しい。地域社会全体の課題としてとらえ、市区町民との協働が不可欠である。
 経産省ではメロウソサエティ(円熟社会)構想を打ち出している。いくつになっても社会とかかわりを持ち、人に尽くす活動をしていくことが、円熟社会の源泉であるという結論だった。社会から疎外され、メロドラマのヒロインになるのではなく、メロウドラマのヒロインになって……。
 とても内容の充実した楽しい学習会で、あっという間の2時間でした。
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■消費者団体の輪を強めて
 区市町村消費者行政調査の取り組み
区市町村の調査報告
 消費者行政活性化・充実へ 積極的な活動展開

 東京地婦連も代表委員を務める東京消費者団体連絡センターと東京都生協連消費者行政連絡会が実施した、2012年度の東京都における区市町村消費者行政調査の取り組みについてのまとめの報告・交流会が3月5日、東京都生協連会館で開催されました。

まとめの報告・交流会

 2010年度からはじめたこの調査は、地域の実態を自ら動いて把握し、区市町村とのつながりを形成し、消費者行政の活性化・充実を図ることを目的に取り組んできました。
 消費者庁・消費者委員会においても地方消費者行政の充実・強化にも力点がおかれるようになっていたため、積極的に受け止めた活動展開となりました。
 「53区市町村に対しアンケート調査」と「区市町村消費者行政担当者との懇談の報告」を葛飾区、青梅市行政担当者と懇談会参加者3人の報告のあと、参加者110人が14のグループに分かれて、ワークショップで意見や感想を出し合い、次年度の調査に活かしたいこと、やってみたいことを発表しました。

アンケート調査

 アンケート調査では、消費者行政活性化基金の活用と次年度予算での対応を継続して取り上げてきたのに加え、消費者啓発推進委員、消費生活展の開催や消費者センターの事業の一部を消費者(団体)と協力して運営している状況など、新たな動きの状況把握を行いました。
 アンケート調査後に行った、各区市町村消費者行政担当者との懇談参加者は、行施担当者が複数出席したり時間も長く伸びたりしながら、行政との協力関係、信頼関係の進展がうかがえました。参加団体同士の活動参加の呼びかけや、地域での連携につながる輪が広がりました。
 次年度の行政調査については、国の動き
(1) 地方消費者行政活性化基金上積み65億円
(2) 消費者教育推進法の推進と基本方針の策定
(3) 改正された法律の施行(特定商取引に関する法律等の施行‐訪問販売への規制、消費者安全法の一部を改正する法律の施行‐消費者安全調査会の設置、消費者の財産被害に係る隙間事案への行政措置の導入)
(4) 通常国会への提出予定の2法案(消費者被害集団回復訴訟に関する法案、食品表示法案)があります。
  東京都は消費者行政活性化基金(2013年度活用)では5億85百万円の補正予算をあげ、消費生活基本計画を改定し4つの重点施策と5つの政策課題を実施、消費者教育推進関連では体系的プログラムの策定、消費生活総合センターの充実が挙げられました。
 これらの動きをふまえながら、2013年度は東京の消費者行政について都と意見交換を6月に行い、アンケート調査、キックオフ集会、区市町村行政との懇談実施へと進みながら、消費者団体と消費者行政とのパイプづくりに一層役立て、連携を図りながら、地域の消費者団体の輪を強め、消費者がよりよい地域社会のまちづくりに力を発揮していくことを目指します。

リレートーク

 行政担当者・懇談会参加者からのリレートークでは、[飾区の行政担当者から40回になった[飾区消費者展、記念シンポジウムなどで[飾区消団連(谷茂岡正子会長)が主体となって運営していること、消費者教育の推進については「地域連絡会」を立ち上げて取り組み、体験型ボードゲームを使い小学校や児童館での早期消費者講座、地区センターでの高齢者の被害防止対策などの講座を開催すると紹介しました。

ワークショップ

 ワークショップでは、各区市町村で発行している事例集の充実、各地域で開かれる消費生活展の一覧表作成、地域にあるケーブルテレビの活用、学校教育に地域の力を入れる、消費者の視点を入れた授業づくりに役立つ、例えば算数の授業で金利計算を入れながら金融消費教育につなげる、消費者センターの認知を広げるなど、多くのアイデアや意見が発表されました。
 消費者行政を身近に引き寄せ、消費者行政の活性化・充実を図り、地域づくり、安心して暮らせるまちづくりに2013年度も調査・懇談・報告会の実施を確認しました。
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■安全性重視を実感
 漬物工場見学と意見交換
 2月5日、秋本食品湘南工場の見学会に参加しました。漬物の品質・衛生管理と意見交換で主催は財団法人食の安全・安心財団です。
 バスに乗りますと、日ごろ顔なじみの消費者団体の方々がいらしていました。地婦連からは4人が参加、1時間程度で湘南工場に到着しました。
 私たち消費者は食の信頼を考えたときに、生産から加工、流通が行われるか、正しく理解したいと思います。
 工場に一歩入ると、衛生管理が行き届いているのが実感されます。生産過程の見学は窓越しです。漬かった野菜を消毒した袋に詰める作業で、商品名は「あとひき大根」の浅漬けです。
 工場の説明では、昨年北海道で発生した浅漬けの腸管出血性大腸菌O‐157の食中毒などがあり、消費者から、安全性が求められています。
 漬物製造工程では、菌を「つけない」「殺菌する」「増やさない」を重要課題にしています。実際に洗浄が数回され、安全性を重視しているのが、十分に感じられました。
 交流会では、浅漬けの定義は特にないが、漬け時間が短いもの、味の点では香味が感じられる、環境のISO規格14001を取得してから、目的を持って管理され、若い人が意見を言えるようになった、など意見が出ました。
 主催の財団法人は、2009年4月に「財団法人外食産業教育研修機構」を改組して、「財団法人食の安全・安心財団」を設立、BSEや食中毒など食品の安全や偽装表示など、消費者から企業への信頼が求められ、原発事故後は、放射能問題などの活動をしています。今回は「初めての企画」とのこと、次の取り組みを期待します。
 帰りに寄った「わいわい市」ファーマーズマーケットで、地元の新鮮な野菜を求め、幸せのひとときでした。
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■電力設備周辺の磁界測定結果を公表(2)
 省令の規制値大きく下回る
 電磁界情報提供委員会(電気安全環境研究所)が経済産業省から委託を受けて磁界測定を行い、結果を公表しました。
 それによると省令の規制値200マイクロテスラに対して、電力設備周辺の5カ所の架空送電線下では0・34〜5・44マイクロテスラ、3カ所の架空配線電下では0・07〜0・19、4カ所の地中送電線上の平均値では0・26〜6・22、4カ所の変電所敷地境の平均値では0・34〜2・39、路上変圧器Aの平均値(正面・左右側面)では、0・47〜0・89、同じくBでは0・29〜4・76、4カ所のケーブル立ち上がり部の平均値は0・72〜2・12マイクロテスラという結果でした。
 これらのうち架空送・配電線下は空間的に均一な磁界であり、地上1メートルが測定高さです。その他は空間的に不均一な磁界のため、それぞれの高さなどを変えた3点の平均値となっています(国際規格に準拠)。
 かつて別の磁界測定データが公表され、送・配電線下ではいずれも20マイクロテスラ未満、変電所の敷地境では4マイクロテスラ未満と記載されていましたが、このたびの結果は内容的に矛盾せず、電力設備周辺ではいずれも閃光・ピリピリ感など瞬間的な影響については省令の規制値を大きく下回りました。
 この他の測定値については、次号でお伝えします。
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■地域ニュース
春の旅行会 赤羽やはた婦人会

 ひな祭りの3月3・4日、今年の旅行は伊豆の稲取温泉です。
 小田原城址公園で初めて流鏑馬を見ました。いつもテレビで見ている競走馬は脚が細くてかっこいい馬ばかりです。でもここの馬は北海道のばんえい競馬のようで脚が太くて短くて、ポッチャリしていて、かわいらしい。
 それでいて.走るのは速く、衣装を着けて走りながら弓を引く、大変なことです。思わず見入ってしまいました。
 伊豆では河津桜も満開で、青野川の菜の花もきれい。黄色いじゅうたんみたい、目の保養です。宿に早く着き、のんびりしました。夜の宴会はいす席なのでよかったです=写真。食後みんなで民踊を踊り、汗をかきました。
 旅行やハイキング、音楽会や観劇など、足腰が丈夫なうちに楽しんだ方がいいですね。帰りは第2東名を使いました。サービスエリアのトイレがとてもきれいでした。
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