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■2014年3月15日付
ブロック会議2013 パートU
介護保険制度はどう変わる 強い関心もって学ぶ
第五福竜丸被ばく60年 記念のつどいに協賛
平成25年度全国消費者フォーラム
「消費者が未来を築く――消費者市民社会の時代へ」
平成25年度野菜需給協議会
One Worldプロジェクト
今春最後の支援物資募集
地域のニュース

■ブロック会議2013 パートU
 介護保険制度はどう変わる 強い関心もって学ぶ
 東京地婦連では2月27日、全国婦人会館と共催でブロック会議2013パート2「介護保険制度はどう変わる? 社会保障改革の動きの中で」を開催しました。みんなで支え合おうという「介護の社会化」をスローガンに、2000年4月に施行された介護保険制度は発足して13年、その間、制度の改正が繰り返されています。特に昨年、政府は「社会保障制度改革国民会議報告書〜確かな社会保障を将来世代に伝えるための道筋〜」を発表しました。高齢者の命綱である介護保険制度のどこがどう変わったのか、身近な一大事となっている介護の問題だけに、私たちは強い関心をもって学びました。会場は東京都消費生活総合センター(飯田橋)、参加者は40人、概要の報告です。

国民に「自助」強いる遠くの「安心の老後」

 山下陽枝副会長の開会宣言に続いて、谷茂岡正子会長から主催者挨拶と、講師の紹介がありました。講師は、中央社会保障推進協議会事務局次長の前沢淑子さんです。
 中央社会保障推進協議会(略称・社保協)は23区内に1カ所ずつあり、社会保障問題への取り組み、例えば、「よろず何でも相談所」を開設、お年寄りの訴えをはじめ、月20〜30件の相談を受け、さまざまな問題を解決に導いている「駆け込み寺」のような存在で活動している組織です。
 はじめに、今回問題としている法律(案)「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案の概要」について、講師から配布されたレジュメ(骨子)で、次のようなお話を聴きました。
 この法律の「趣旨」の部分は大事な論点ですが、全文を見ないと理解が難しいので、長文ですが記載すると、「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく措置として、効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するとともに、地域包括ケアシステムを構築することを通じ、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するため、医療法、介護保険法等の関係法律について所要の整備等を行う」と記しています。

医療・介護事業を地方自治体へ移す

 これをひとことで訳すと、社会保障の基本は自助とし「地域で互いに支え合いなさい」と、「医療も介護も一緒に変えてしまう」ということ。
 さらに法律概要では、「新たな基金の創設と医療・介護の連携強化」とうたい、4月からの消費増税分の一部を地方に分配するから、これからは地方自治体が医療・介護の事業を担いなさい、具体的には、病院病床の減、入院期間の短縮、医療と連携した在宅医療・介護の推進等を担いなさい、と法律で明確に示唆しています。

介護の地域格差

 医療・介護事業を区市町村が担うとなれば、やる気のあるなし、財源の有無により介護の地域格差が出るのは必定。ここから見えてくるのは、「消費税は増税し、社会保障は削減」が国の方針であり、ひとことでいえば社会保障の「自助」を国民に強いています。
 この法律は、憲法第25条の「生存権、国の生存権保障義務」を国が自ら否定してしていることにほかなりません。
 4月からの消費税増税は、社会保障と一体だからやむを得ないか、という人もいるでしょう。が、現実は年金額の切り下げ、生活保護を切り捨て、介護保険料と利用料が上がる、医療の窓口負担値上げなど、これでは高齢者のみならず、国民の安心した老後は遠くに行ってしまいかねない危機感を感じている、と講師の話はさらに続きます。

医療・介護はどうなるの?

病院完結型から地域完結型へ

 先の「社会保障制度改革国民会議報告書」によると、厚労省の2025年モデルでは、「病院完結型から地域完結型」となり、今までのような病院で8割が死亡することを減らし、早期退院を促し、在宅での看取りを4割増やす方針に転換させる‐‐。
 これが、医療短縮から在宅介護への国の意図的方針です。
 介護サービスを、「範囲の適正化・効率化・重点化」と定めた法律を国民から見れば、サービスの範囲を狭め、費用を削減して効率化し、介護の対象を限定して重点的に行う、と全てが国の都合。
 具体的に介護の今後は、要支援1・2訪問介護と通所介護を介護保険給付の対象から外す。要するに、これらの介護は地方自治体でおやりなさい、そのための費用は消費増税の一部を分けてあげるから、と、地域まかせの方針に変えられました。

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■第五福竜丸被ばく60年 記念のつどいに協賛
 第五福竜丸平和協会は、ビキニ水爆事件から60年となった3月1日、日本青年館で「第五福竜丸被ばく60年記念のつどい」を開催、東京地婦連は、この「つどい」に協賛しました。
トム・ディ・キチナー駐日マーシャル諸島共和国大使

 つどいは、「核なき世界へ 第五福竜丸は航海中」と銘打って、記念コンサートと記念講演がありました。作曲家でピアニストの三宅榛名さんが「第五福竜丸の記憶のために」の新作を演奏し、深い感銘を与えました。
 記念講演は、天文学者で総合研究大学院教授の池内了さんが「宇宙的視点から考える‐人と地球と空と核」と題して、「科学技術は軍事的目的のために進化したことを忘れてはいけない。核爆弾の開発とその人への被害(人体実験)は科学技術の進歩の表裏一体となって、科学者はその両方に協力してきた」と話し、「大切なことは、私たちが3・1を決して忘れてはならないことだ」と強調しました。
 「これから科学者は、地球にやさしい新しい可能性をさぐる科学技術へと転換すべきとして、地下資源(グリーンイノベーション)と地上資源(水、太陽、地熱)をいかに使いこなすかの方向に向けて、科学の力、技術を進歩させるべき」と締めくくりました。
 このつどいでは元乗組員の大石又七さんやマーシャル諸島被ばく者からのメッセージが上映されました。
 トム・ディ・キチナー駐日マーシャル諸島共和国大使は、日本には第五福竜丸だけでなく広島、長崎、そして福島までも核の被害に遭っていることにふれて、「これからも一緒に核被害の悲惨さを訴えていきたい」と挨拶しました。

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■平成25年度全国消費者フォーラム
 「消費者が未来を築く――消費者市民社会の時代へ」
 2月25日アルカディア市ヶ谷で、平成25年度全国消費者フォーラム「消費者が未来を築く‐消費者市民社会の時代へ」が、独立行政法人国民生活センター主催で開催されました。

消費者市民社会の構築は情報開示が重要

これからのエネルギー問題について、アンケート調査結果を発表

 平成24(2012)年12月、「消費者教育の推進に関する法律」が施行され、その中に「消費者市民社会」という言葉が初めて明記されました。
 そこで「消費者市民社会」の構築に向けて消費者、消費者団体、NPО、事業者、行政、教育関係者、学生などが集まり、それぞれの立場で活動、学習、調査・研究などを行ってきた成果の報告や提案などについて討論し、意見の交換をしました。

省エネ意識の高さと価格へのきびしい目

 5つの分科会に分かれ、29団体の活動報告・調査研究の発表がありました。東京地婦連は、第2分科会「国内外の社会経済情勢や地球環境に配慮した取り組み」のテーマで、「これからのエネルギー問題について」昨年実施した消費者アンケート調査の結果から、飛田恵理子生活環境部長が発表しました。
 日頃の節電では「照明をこまめに消す」と71・8%の人が回答。LEDの交換は43%の人が交換していない、今後エコポイント制度による値引きが復活すれば交換したいなど、消費者の経済的な負担が問題点として指摘されました。
 また「再生可能エネルギーに期待したいか」の問いには、「太陽光発電」が1位で、太陽光発電は地産地消の再生可能エネルギーとして最も期待される一方で設置工事・契約後の保守点検、発電機器の品質などに不安感を抱く消費者の姿も見られました。
 電力の自由化についての問いには、「家庭用にも選びたい」を約7割の消費者が選んだと報告、エネルギーの地産地消に向けた消費者の声が反映されるよう願いたいと、結びました。
 この調査結果には、消費者の省エネ意識の高さと、LEDへの交換について価格へ厳しい目を感じると、アドバイザーの講評がありました。

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■平成25年度野菜需給協議会

生産から出荷まで農家と交流、意見交換

丈は3メートルを超えるトマトのほ場
美しく箱詰めにされたレタス
トマトの選果施設も見学しました=JAしもつけ青果物総合集荷場

 2月13日、栃木県小山市で生産者と消費者の交流会、平成25年度野菜需給協議会があり、参加しました。
 はじめに、JAしもつけ栃木の青果物総合集荷場でトマトの選果施設のラインを見学しました。
 栽培農家からコンテナで運び込まれたトマトは、作業員が受け皿に乗せます。糖度、色、形などがセンサーで自動的に選別され、箱に詰められます。小さいものはビニールやパック詰めにされて、出荷されます。
 片柳町のトマト農家、大山寛さんのほ場を訪ねました。大きなビニールハウスでは、環境にやさしい土づくりや太陽熱で土壌を消毒し、温度・水分・肥料などはコンピューターで自動的に管理されています。
 トマトは丈3メートルほどで、早春(2月から5月)が最盛期、一房に5、6個の実がついています。ブランド名は「赤い恋人」、商標登録され、好評のようです。「これからも安全・安心、新鮮でおいしいトマト生産を目指している」との説明でした。
 道の駅「しもつけ」の直売所を見学、こちらで食べた昼食の新鮮で多彩な野菜は味もよく、楽しいひとときでした。
 午後は「JAおやま」の県内最大級のレタス集荷作業を見学、傷み防止のために真空予冷庫が設置されていました。新鮮で安心・安全なレタスをめざし、減農薬・減化学肥料に取り組み、朝どりレタスを出荷しています。
 会議室で、農政ジャーナリストの中村靖彦さんを座長に、意見交換会が開かれました。青果物(イチゴ、もやし、トマト)、米、麦の生産者や畜産農家も出席しました。
 生産者からは、「東京の市場を見学し、作付けなどに反映させている」「主として家族営農、高齢化が問題だ」「農家は減少している」「農薬散布は安全を確認し、予防的に1回行う。モニタリングは県がする」「地産地消で学校給食などに使う」などの声がありました。中村さんは、「多くの意見を共有し、それを生かしましょう」と、結びました。
 レタス栽培農家の斎藤正浩さんも訪問。斎藤さんは露地栽培で、1列70センチ幅のうねをビニールで覆い、これを開閉して温度調節をしています。安心・安全なレタスを提供するために、生産履歴を記録しています。
 生産地、ビニールハウスの管理、選果ラインなどを丁寧に見学できました。長年の経験に新しい技術を取り入れ、トマトもレタスも最高の商品でしたが、高価で庶民には手の届かない? と思われました。
 農作物はお天気次第です。このところ続いている大雪や低温の日々を心配しています。

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■One Worldプロジェクト
 今春最後の支援物資募集
 3月11日で、震災から丸3年が過ぎました。東北のがん患者さんに、カツラや帽子などのケア用品を送ろうと、2011年4月11日にスタートした One Worldプロジェクトは今春、最後の大々的な支援物資募集を行います。必要のなくなったケア用品を、必要とする東北の患者さんに使っていただくために、皆さまのご協力をお願いいたします。

皆さまのご協力をお願いいたします

〈募集期間〉4月7日(月)〜4月11日(金)必着
〈送付先〉〒100‐0006 千代田区有楽町2─5─1 有楽町マリオン13階 公益財団法人日本対がん協会内 One Worldプロジェクト Tel03・5218・4771
〈募集内容〉
▽医療用カツラ=送付前にシャンプーをして、かさばる箱などは使わず、ファスナー式ビニール袋に入れて送ってください。付け毛(帽子に付けて使うタイプ)/内帽子(付け毛+ネット)
▽カツラ用ケア用品=シャンプー・リンス類(新品・未開封に限る)/アンダーネット(洗濯済みのもの)/組み立て式スタンド/ブラシ(新品、もしくは傷み・汚れのないもの)など
▽ケア帽子=タオル製、綿ジャージ製、プリント地・バンダナ製など、手作りを含め新品のもの、あるいは洗濯済みのもの
▽春夏向けあったかグッズ=帽子(カツラの押さえに被れるような深めの帽子/日焼け防止グッズなど、手作りを含め新品のもの
▽秋冬向けあったかグッズも募集します。マフラー/手袋/あったかソックス/腹巻きなど、手作りを含め新品のもの
*東北へのメッセージ  東北でがん治療にのぞんでいる患者さんに、励ましのメッセージも大歓迎!

医療用カツラやケア用品を募集します。4月7日〜4月11日必着です


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■地域のニュース

消費者大学講座/わか草婦人会

 5回目の講座は「景気の見方と暮らし方」、講師は都金融広報委員会、金融広報アドバイザーの石森久雄さんです。
 私自身は、今まで景気の見方と暮らし方を投資という視点で考えたことがなかったので、とても難しい講義でした。以下、要旨です。
 農耕民族の習性か、こつこつ田畑を耕すか、手先を器用に使って物づくりに専念して暮らすという古来のスタイルが刷り込まれて生きてきた世代にとって、パソコンの前で一瞬にして億単位のお金を動かすなど、むしろ罪悪感のような感覚にとらわれてしまうが、今や時代は大きく動き、投資なくしては国や会社も動きがとれないシステムに転換している。
 老後の生活を左右する年金も会社に任せきりだった良き時代は過ぎ、今や確定拠出型で個人が年金を運用するシステムを取り入れている企業が、1万7000社にものぼっている。
 そもそもアベノミクスという今の経済政策が株=投資を根幹に成り立っている以上、国民にとっては極めて不安定で、厳しい綱渡り政策に思えてしまう。
 家計における資産構成が日本は預金が53%、アメリカは13%弱、それに対して株式投資は日本は8・5%、アメリカは32%強、政府はこの日本の現状をせめて23%くらいまで引き上げ、証券市場に300兆円を超える資金の流れをつくり、眠れる資産の活用を図りたい狙いがあるようだ。しかし、学ばないで投資するのは間違いのもと、「ノーリスク、ノーリターン」はあり得ない。
 時代に取り残されないよう、勉強しなければいけないと痛感しました。