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■2014年8月15日付
一斉に大気汚染測定
二酸化窒素測定結果
高齢者の住まい その(1)
消費者大学連続講座/葛飾区
放射線食品照射を考える
中国からの輸入食品が抱える危険性
私の想い
塩田平の無言館
地域のニュース


■一斉に大気汚染測定
 二酸化窒素測定結果

 大気汚染測定運動東京連絡会は「きれいな空気を取り戻し、健康を守り、住みよい生活環境を次世代に引き継ぐために、大気中の二酸化窒素(NО2)を、簡便な方法で測定している市民と団体で構成する東京の連絡会組織」で、毎年6月と12月に一斉測定を行っています。
 東京地婦連は、1978年結成以来幹事団体として加わり、会員の自宅前や道路、周辺の気になる所を継続して測定してきました。
 今年6月5日〜6日に行った、東京地婦連会員による測定結果を報告します。10区2市の127カ所(有効測定数104カ所)測定日の気象状況は、関東地方に大雨警報の出るあいにくの天気でした。
 全体的には、平均値は前年度とあまり変わりませんが、天候のせいもあってか毎回高い数値が出ている中央区銀座でも最高値が0・032PPMといつもより低い数値でした。これは、大雨でNО2が吸収されたり落ちてしまったり、また排気ガスが地上から上空に上昇(対流)してしまい拡散されて濃度が低くなったと考えられます。
 通常の測定値がいつもこの数値であってほしいものです。

二酸化窒素測定結果各区市別一覧
(2014年6月5日〜6月6日)
特定非営利活動法人 東京都地域婦人団体連盟
測定結果の判断基準 0・02ppm以下=あまり汚れていない
               0・021〜0・04ppm=少し汚れている
               0・041〜0・06ppm=汚れている
               0・06ppm以上=大変汚れている
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■高齢者の住まい その(1)

国が実施した「有料老人ホーム」の調査・指導から
 東京地婦連は2014年度「東京都消費者月間」の展示テーマとして、「高齢者の住まい」を予定しています。そこで今月は、国の調査から展示テーマに関連する話題を紹介いたします。
 厚生労働省は、老人福祉法で(1)施設名や管理者などについて届出義務のある「有料老人ホーム」に該当しながら、届け出が行われていない施設の届出・指導状況(2)消費者が支払った前払金の保全措置の実施状況、の調査を実施し7月3日に結果を発表しました。この調査は平成21年から継続していて、新たに公表された平成25年度分は5回目の調査になります。

未届が約4割の新設有料老人ホーム
 まとめによると平成25年10月31日時点の、全国の有料老人ホームの総数は9827で、これらのうち9割以上が法に定められた通り届け出ていました。「未届」は911で全体の9・3%です。
 今回の調査(24年11月〜25年10月)中に新設されたホーム1711のうち658は未届けで未届率は38・5%と高く、過去の調査結果と比較しても際立ちます。
 昨今有料老人ホームが急増していますが、私たちは新設されたホームの施設の外観に目を奪われないよう、いわゆる「もぐり営業」でないことをしっかり確認する必要があります。

前払金の保全措置状況
 老人福祉法では平成18年4月1日以降に事業を開始したホームについては、前払金(入所一時金)の保全措置を講じる必要があるとしています。
 9827の中で該当する老人ホームは7042、うち前払金を徴収しているのは1201、前払金の保全措置を講じていたのは1060、いないのは141という結果でした。
 ちなみに18年4月以前からの施設で保全措置が義務付けられていないホームは1879、うち前払金の徴収は966、保全措置「あり」361、「なし」606でした。

国が実施した指導
 厚生労働省はこれらの結果をうけて各都道府県、指定都市、中核市に対し一層の届け出促進指導の徹底と、有料老人ホーム事業者に対しては、前払金の保全措置の必要性を周知徹底することを指導しています。
 また前払金の保全措置を講じていない事業者には、「速やかに改善の取り組みを行うよう促し、悪質な場合には罰則を適用するなど指導の徹底を図ること」としており、さらに「今後指導が進んでいない自治体に対しては個別にヒアリングを実施する」と通知しています。
 なお具体的な調査内容の説明はありませんでしたが、「参考」として入居者の処遇等に関する次の5項目の指導事例が掲載されていました。
(1) 行動制限は緊急やむを得ない場合に限定し、その記録を保存すること
(2) 一部屋に複数人が生活しているため、個室化等によりプライバシーを確保すること
(3) 個室の面積が狭いため、生活に必要なスペースを確保すること
(4) 夜間に人員が配置されていないなどの不備があるため、緊急時に対応可能な態勢を確保すること
(5) 廊下が狭く、車椅子での移動に支障をきたす等、構造上問題があるため、改善すること
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■消費者大学連続講座/葛飾区
講師の話に熱心に耳を傾ける参加者

7月17日、第3回消費者大学連続講座が10時から葛飾区のウィメンズパルで開かれました。
 谷茂岡会長の挨拶に続き、講師の片山善博元鳥取県知事が紹介されました。テレビでよく拝見し、人権意識の高い方だと常々尊敬のまなざしを注いでいたそのご本人の登壇に驚きました。税についての講義を少人数でじっくりと受けた、とてもぜいたくな時間でした。
 まず、(1)税とは何か(2)地方自治と税(3)日本の税は分かりやすいか(4)税の大切さとムダ使いの防止(5)税と議会の5項目に分けて話されました。
 日本の税は定率であるがこれがまずおかしい。本来提供すべきサービスが高ければ負担(税)も高くなければ行政は成立しないはず。住民サービスの原点、道路とゴミ(2R)=税率(R)で税の3Rと呼ばれているが、日本はこのルールを無視して定率なので借金(国債発行)が増えるだけ、支出が増えれば率は変わるべきだし平行してムダ使いも止めるべき。片山さんは知事時代黙っていたら光の当たらない部署に、そこでしか使えない予算1000億円を国と闘って勝ちとった実績をもつ。黙っていても予算がつく部署もあり、そこでは年度末に予算を消化するために腐心していた。ムダ使いの最たるものだ。
 鳥取県は適正に予算を余らせて、国とあつれきを生んだ苦い経験があるがこれはおかしな現象である。議会の役割については提供するサービスと税率を決める場所であるため、それを的確にしなければ財政は破綻するし、住民も地方自治に関心を持たなくなる。
 破綻した北海道のある市は40億の税収で600億の箱ものを作った。破綻は当たり前である。
 では、住民がもっと税に関心を持つにはどうすべきか。米国では公聴会を開きサービスの必要性と負担(税)についてのありようを徹底的に公開討論するとのこと。パブリックヒアリングを何日もやり、議案の内容をホームページでも公開する。住民参加の意識が徹底している。従って日本の議会のように無責任なやじを飛ばしている暇はない。
 日本の議会は代表質問が主流なので議員の稼働率は1%。あとの人はじっと座っているだけなので飽きてしまう。
 地方議会の場合はやじだけではなく、機能そのものが疲弊していると感じる。日本の議会の見直しの原点は税のあり方に象徴されるというのが、片山さんの結論でした。
 私たちももっと税を勉強し、賢い有権者でなくてはと痛感しました。

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■放射線食品照射を考える
 中国からの輸入食品が抱える危険性
 照射食品反対連絡会は、7月31日プラザエフで会合を開き今後の運動方針について協議を行いました。
 主なテーマは違法照射された大麦若葉問題をめぐり、製品回収の状況確認を継続すること、AERA(朝日新聞社)からメンバーが受けた取材記事(7月14日号)の報告と記事の問題点の指摘、そして中国で製造され日本のファストフード店、コンビニの店頭などで大量に販売された消費期限切れのチキンナゲット問題から垣間見える、「中国からの輸入食品が抱える危険性」などです。
 中国には放射線照射施設が100近くあるといわれ、今までにも食品衛生法違反の中国産ニンニク、トウガラシ、シャコなどの照射食品が摘発されていることから、今後品質低下をごまかす手段として、輸出食品への照射が行われることが予想されます。この問題についてアピールを行い、消費者へ警鐘を鳴らさなければなりません。
 そこで連絡会では、(1)中国製の食品を扱う事業者などへ8月中に、照射の有無についてチェックや検査を促す情報提供の文書を送ること(2)10月2日(木)午後1時30分からプラザエフで、「中国からの食品が抱える危険性−農薬から食品照射まで」と題する学習会を兼ねた集会を開催する予定です。詳細は次号でお知らせいたします。
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■私の想い
 塩田平の無言館
信濃デッサン館から、中央に無言館遠景=写真提供・北林淳子

 長野県上田市郊外の塩田平に、修道院のようにも見える清楚な外観でそれは建っていました。建物の名称は「無言館」。戦没画学生たちの作品を集めた美術館です。秋の一日、私はここを訪ねました。
 そこには太平洋戦争中、美術を志していた画学生たちが、国からの召集令状(いわゆる赤紙)で徴兵され、絵筆を銃に持ち替えて戦場に散っていった若者たちの力作がありました。
 残していく父母、新妻、恋人、姉妹たちを描いた作品、そして懐かしい故郷の山河もありました。「国のため命を捧げることが尊い」と教育されながらも、生きて絵を描き続けたかったであろう画学生たちの思いは、ほの暗い館内にかけられたたくさんの作品に溢れ、私の心に響き、悲しみが胸を突き上げます。赤紙1枚で若者の夢を奪った非情・残酷な国家の罪の重さを、あらためて思わずにはいられませんでした。
 この無言館は、館主の窪島誠一郎さんが戦後、日本各地の戦没画学生のご遺族を訪ね、誠意を尽くして作品を入手され、窪島さんの熱意によって建てられたことを知りました。大切な平和祈願への若者の遺言ではないでしょうか。
 8月15日、敗戦からやがて70年目を迎えます。武力の行使と、戦争の永久放棄を宣言し、平和国家と思ってきた69年のこれからが最近怪しい。
 戦争を体験したことのないこの国の首相や、国会議員が多いことも懸念を増幅させています。「積極的平和主義」などと、わけの分からない造語に惑わされず、明確に戦争放棄・平和への意思を新たにする夏でありたい、と、私は改めて思いました。

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■地域のニュース

牛乳パックではがき作り
わか草婦人会

 7月25日、梅雨明けとともにうだるような暑さの中、ウインメンズパルで小学生と保護者が牛乳パックを紙すきして、はがきやしおりを作りました。夏休みの親子教室です=写真。
 このイベントは夏休みリサイクル教室として開催され、年に1度指導しています。今回は私と黒崎さんが講師として招かれました。
 牛乳パックは、良質な紙で作られているのでそのままゴミにしてしまうのはもったいない。楽しみながら、世界にたった1枚のはがきやしおりを作り、しかもリサイクルに−。
 この教室は人気があって、今回は33組の親子が申し込まれましたが、会場の問題もあり、抽選で15組が参加できました。初めは緊張していましたが、だんだん笑顔が出て、親子で楽しんで作っていました。
 作業の流れは、牛乳パックの表裏のビニールをはがして、パルプだけにして細かくちぎったあと、水と一緒にミキサーで繊維状にし、固く絞る。その後、はがきやしおりに必要な分量(10グラム〜13グラム)の、粉末のりとよく混ぜて、木枠に入れてすいた後、アイロンをかけ乾かすもの。紙をすく際に、絵のようなすき紙を置き、独自の柄に仕上げて楽しんでいました。
 「今日作ったはがきで兵庫県に住んでいる祖母に、暑中見舞いを書きます」「夏休みの課題図書を読むときに使うしおりを作りに来ました。最初は難しいかなと思ったけど、やってみると簡単で面白かった。家でも作ってみたい」とそれぞれ楽しそうに話していました。
 アッという間に3時間がたっていました。

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