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■2015年2月15日付
北方領土の返還を求める都民大会
食の先端技術を切り開く研究施設
 日清食品グループのWAVE訪問
弁当販売等について
 東京都の規制とは(3)
生団連 人口減少・超高齢社会対策委員会開く
日本冷凍食品協会と消費者の意見交換会


■北方領土の返還を求める都民大会
 1月27日にアジュール竹芝で、北方領土の返還を求める都民大会が開催されました。議長の谷茂岡正子東京地婦連会長は、「都民会議も昭和58年の設立以来日本とロシアの交渉を見守りながら活動してきましたが、未だにこの問題は解決していません。一日も早く四島が返還され、ロシアと信頼関係をもってお付き合いできる日を信じて、私たちはこの運動を進めていかなくてはならないと、改めて感じています」と、挨拶しました。参加者2人の報告です。

挨拶する谷茂岡正子会長
 会場中央には「四島(しま)返還ひとりの力が大きな力に」「語り合おうみんなの問題北方領土」の垂れ幕が下がり、標語の応募優秀作品であると紹介がありました。
 主催者代表の谷茂岡会長、都知事代理、都議会、内閣府、外務省などの挨拶のあと、北方領土の早期返還実現への決議表明が読み上げられました。心一つになって全員拍手で採決され、運動にはずみがつきました。
 休憩をはさみ、講師にNHK解説委員の石川一洋さんを迎え「日ロ関係と2月7日の歴史的意義、安倍政権の対ロ外交」の講演がありました。2月7日はなぜ北方領土の日と定められたのかから始まり、ロシアの歴史、帝政ロシア、ニコライ一世、アレクサンダー二世の外交方針について、ロシアは領土を拡大することによって日本との友好関係を失い、ロシア不信の根を深めたとスターリンの過ちが話され、「歴史をひも解くことで現在を読んでもらえれば」と、結ばれました。
 会場は熱心な早期返還実現を願う人で埋まりましたが、残念なことに若い人の姿はごくわずかでした。終戦直後ロシアの不法占拠によって追われた島民は1万7000人、すでに約半分の人は亡くなり、残っている人たちも80歳を超え、北方領土問題の解決が急がれます。この現状をどのようにして若い世代につなげるかが、私たちの課題です。(福本悦子)
 石川一洋さんの講演は、ウクライナ危機と日ロ関係から入りました。私は「どうしてウクライナと北方領土が関係するのかな」と、耳を傾けました。
 1855年、日露通商条約が交わされニコライ一世の指示で日本と帝政ロシアの国境を択捉とウルップ島間とし、この条約を交わしたのが2月7日で、この日が北方領土の日になりました。
 その後日露戦争で南樺太と千島列島は日本の領土になりましたが、終戦直前のヤルタ会談でアメリカがソビエトに対日参戦を求め、その代償として千島列島、樺太、満州の権益、西部ウクライナ、バルト三国をソビエト領としたことが後にソビエト連邦崩壊の一因となったそうです。
 ここで私は、ウクライナと北方領土を一緒に考えなければならないことに気づきました。終戦で北方領土はソビエト領になりましたが、もともとは日本の領土ですから日本に返還されなければなりません。四島の主権確認が平和条約の前提にあるので、プーチン大統領が来日し、一日も早い日ロ平和条約の締結を望みます。
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■食の先端技術を切り開く研究施設
 日清食品グループのWAVE訪問
 1月21日、東京地婦連の会員13人は、昨年3月八王子市にオープンした日清食品グループの新研究所WAVEを見学しました。グループのイノベーションと食の安全の世界発信拠点訪問は、食の安全をめぐるリスクコミュニケーションの機会になりました。
安藤CEOと共に試食
研究室の見学
 国民生活・消費者団体連合会(生団連)の紹介で、自然豊かな八王子郊外に個性豊かにたたずむWAVEを訪れた私たちは、最初に日清食品ホールディングス(株)安藤宏基取締役社長・CEOから、日清食品の生い立ちから今日に至るさまざまな取り組みなどについて、うかがいました。
 「初代(故安藤百福氏)が戦後の日本人の食生活への熱い思いから、世界初の即席麺を誕生させ、カップ入りインスタント麺も開発した。今日では無重力の宇宙で食べられるカップ麺をはじめ、味覚センサーを使って国内各地のみならず、世界各地の人々の口にあった製品を提供している」
 「グローバル食品安全研究所は昨年3月にスタートした。世界に1000億食以上の即席麺を提供しているので、徹底して安全であることを求め、独自の試験法の開発を行い分析・調査を実施、WINER(世界ラーメン協会)からの受託分析にも応じている」
 「東京地婦連ともっと早くに意見交換すべきだったと思う。危害物質については過去20年ぐらいで、10〜20項目の問題点を解決してきたけれども、先般エクアドルから輸入したブロッコリーに虫が付着してきたことによる初歩的なトラブルで、冷凍食品の異物混入事故を起こしてしまい、申し訳ない。即刻11月の製品を回収し静岡工場のチェックを行った」
 「研究所は世界の食卓に上るラーメンについて、WINER19カ国51工場の技術サポートも行っている。カロリー問題・減塩についても協会で取り上げ、当社では高血圧対策として減塩に取り組んできたが今後5年間で15%下げたいと思う。国の対策としても下げてもらいたい。将来食塩量を5グラム以下にしたいと思う」と安藤CEOは今後の目標について語り、エネルギッシュに話を締めくくりました。
 次いで研究所の山田敏広所長から、食品安全のために(1)残留農薬、動物用医薬品、発がん物質、食物アレルギー、食中毒菌、カビ毒、重金属、放射性物質、食品への放射線照射、遺伝子組み換えなどを分析・検査している(2)研究所は医薬品開発事業を行っていたので資材部門からは独立(3)毎月各工場の製品を検査して品質管理を行い、各工場の技術レベルを維持している(4)中国からの輸入食材の安全性を確保するため、同社の上海食品安全研究所と連携している、ことなどを説明され「2万件のうち3分の1位から残留農薬が検出される。カビ毒、食品添加物、発がん物質などもリスク管理で防衛する」「TPPについては、もし貨物を48時間以内に通関させることになると、微生物培地を使う検査が間に合わないケースが1割位出るかもしれない」と危惧されていました。

工場見学
 大きな空間を無菌状態で管理されていた。製造工程が一目で分かるように整然と配置されていて、それぞれの機器に2、3人が作業をしたり、検査の目を凝らしていた。
 このラインは材料を入れると、次の工程へ流れていくという素晴らしい機器でした。
 日清系の全会社から朝一で送られてきた品を検査し、安全を確認するシステム。異物混入や違反などの発見も素早くでき、対応処理できるのではと思う、これは素晴らしいと感じました。研究室も数多くあり、研究員の希望にかなった機器と材料で研究を深めていた。特注の製造機器も自社で作っているという。
 試食会は、一種の物を加工工程での比較ができて大変参考になりました。日本そばで、冷凍、半生、乾麺、ソフト麺つゆ付きなどの食べ比べが出来ました。
 また、新しい製品も多く紹介され、市場の様子も理解できました。

意見交換
 多くの食材を海外からの輸入に求めていると思うがより吟味してほしいです。特に、学校の給食には、なるべく国産の品物を使うように。スープ味は自然のもの(昆布、鰹節、煮干しなど)を使う。今後は自然の味“オキカエ”の味作りを努力している。国の基準を重視し15%の減塩を目指す。環境問題として自然の中での二酸化炭素も考えていく。意欲的な社長さんの心に引き込まれた見学会でした。
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■弁当販売等について
 東京都の規制とは(3

昼食難民のために

 昨年、東京都食品安全審議会から出た答申では(1)行商用弁当の製造施設について「施設の規模に見合った製造量、弁当の放冷、運搬時の温度管理などの衛生管理の徹底を指導し、製造段階の衛生管理水準を向上すべき」(2)弁当行商人については、「路上等の屋外販売は屋内販売に比べリスクが高く、衛生上望ましくない販売形態である」として、「屋内(ビル等)や自動車での販売へ、都と区市が連携して積極的に誘導する」「やむなく屋外で人力により移動して販売する場合には、弁当の衛生確保のために、温度と時間の管理や責任の所在を確認できる制度が重要」として、保冷容器・保冷剤・温度計・運搬用具等の審査、弁当の流通過程の確認、食品衛生責任者の資格など人的要件を挙げています。
 2月4日の東京都の公表によれば、1月下旬八王子市・相模原市など2カ所の大学構内で、同一業者が営業許可のない自宅台所で仕込みをして、2台のキッチンカー(営業許可あり)で調理・販売した弁当により、合わせて47人のノロウイルス中毒患者が発生しています。仕込みをした一人からノロウイルスが検出されました。
 路上ではなく自動車での弁当販売でしたが、やはり製造段階(仕込み)の衛生管理水準に問題があったようです。
 コンビニエンスストアや食堂が少ないオフィス街、学食が混雑する場合など、「昼食難民」にとって手頃な弁当の販売は助かります。責任の所在を明らかにして、食材の仕入れ・仕込み・製造から流通に至るまで、食の安全第一で消費者の熱い期待に応えてほしいものです。

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■生団連 人口減少・超高齢社会対策委員会開く
 1月26日、東海大学校友会館で国民生活産業・消費者団体連合会(生団連)第3回人口減少・超高齢社会対策委員会が開催され、東京地婦連から谷茂岡会長と端山が参加しました。
 はじめに、日本総合研究所主任研究員の池本美香さんが「子育てを取り巻く日本の社会構造について」話されました。少子化の背景と子ども・子育て支援の課題について、日本の少子化と子育ての現状、特に女性の仕事と育児の両立の難しさ、子どもの保育に関する国内外の取り組みなどです。
 次に「子育て世代の女性へのグループインタビュー調査結果について」の発表がありました。この調査は、子育て女性応援に活かせる八項目にわたる買物行動調査で、大変興味深く有意義な結果を得ることができました。
 特に普段の生活実態調査の結果は、家族による家事協力の必要性が明らかになっていました。ぜひ子育て中の女性に役立つよう生かしてとらえてほしいと思います。
 最後に、これからの生団連活動実践案の検討として、子育て世代の女性への応援策として、男性にも家事負担を増やしてもらう目的で考えた「これなら出来る4つの案」から、一番に実施したい案を決めるための意見交換を行いました。
 (1)案は、男性向けの家事マニュアルを作成し、普及啓発活動や料理・洗濯・掃除に関して知見の協力をする(2)案は、仕事帰りに何か買う物があるか聞いてもらう。買物経験値がアップする(3)案は、フェイスブックコミュニケーションページを設置し、男性の家事・育児を応援する情報発信・収集に役立ててもらう(4)案は、男性に月1回の料理から始める家事参加として、得意料理を覚えてもらい、興味を持ち喜びに変えてもらう。
 以上4つの案について話し合った結果、(1)(2)案を進めることになりました。
 活動実施案アクティブライフ意見交換会を60代後半から70歳代の男女を対象に、生活・暮らしについて意見を出してもらう会を3月に実施します。
 以上盛り沢山な1日でしたが、子育て世代の女性をサポートすること、高齢者の身近な生活に関する意見を聞くこと、いずれも大切なことで、しっかり取り組んでいきたいと思います。
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■日本冷凍食品協会と消費者の意見交換会
 1月26日に四谷の主婦会館プラザエフで、日本冷凍食品協会と消費者の意見交換会が開催されました。
 協会は築地の場外にあり、会員は516社で冷凍食品メーカー、冷凍機器メーカー、冷凍食品卸売業者などで構成されています。
 1969年設立、当初生産量は少量でしたが、98年頃には、250万トンになり今日に至ります。製品は、コロッケ、うどん、ハンバーグなどですが、2013年にうどんが1位になったそうです。
 冷凍野菜の輸入国は中国、アメリカ、タイです。主に冷凍食品は、自宅の夕食、料理の素材として使う、自宅の昼食、お弁当など利用されています。購入場所はスーパーマーケットや宅配(生協)、ドラッグストア、コンビニです。冷凍食品は品質(風味、色、栄養、衛生状態など)もそのまま、長く保存することが利点ではと思われます。
 冷凍食品認定制度があり、厳しい基準に合致した工場は「冷凍食品製造認定工場」とされ、ここで製造される冷凍食品は「認定証」マークが付けられます。
 新たな取り組みとして、「食品防御(フードディフェンス)のガイドライン」について報告がありました。認定工場で食品に異物や薬物が混入され、消費者の健康被害など事故の未然防止が目的です。さまざまな事故を想定して取り組まれ、来年3月にガイドラインを作成して会員に広めていくと説明がありました。
 続いて、消費者の意見交換会に移りました。素材に国産の野菜を取り入れる、介護食は柔らかく消化の良いものを、電子レンジの利用について注意を示す、栄養表示・塩分を控える(5年間に少量化する)、スーパーによる冷凍食品が半額になるが適正価格での販売を希望する、袋が破けているなど意見が多数で、関心の深さが感じられました。
 会合に参加するにあたり友人、知人に冷凍食品について聞いてみると小分けで使い易い、自然解凍が良い、半額セールを利用する、おいしいとの声もありました。消費者も袋の表示を良く読み利用することが大切です。
 高齢者になり私も一部冷凍野菜を利用しますが、食事は手作りが基本と考えていましたが、これを機会においしい冷凍食品を少し利用したいです。
 日本冷凍食品協会には、冷凍食品の安心、安全のため新たに「食品防御」(フードディフェンス)を取り入れることに期待します。
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