婦人時報は年間購読料2100円(送料込み)です。購読希望の方メールで申込できます。
 
■2016年3月15日付
戦争する国にさせないために
 〜安倍政権にいかに抗うか〜
軽減税率をめぐる問題点(2)
本当に安全ですか?照射レバ刺しとフッ素で虫歯予防
プラスチック工業連盟と消費者団体の懇談会
家電業界の公正競争をめぐる懇談会
平成27年度葛飾区消費者大学連続講座
地域ニュース


■戦争する国にさせないために
 〜安倍政権にいかに抗うか〜
 東京地婦連もメンバーとして参加している、※9条フェスタ市民ネットが主催し、2月24日に「戦争する国にさせないために〜安倍政権にいかに抗うか」の緊急講演会を開催しました。会場の衆議院第1議員会館大会議室は、214人の参加者で熱気にあふれていました。
なぜ戦争をする国にしたいのか 危機感を持とう

講師の中野晃一上智大教授
 まず、司会の海部幸造弁護士は「戦後70年戦争をしない、銃火を交える場所に自衛隊を派遣しないと言ってきた日本を、軍事大国化を可能にさせる体制に変えようとしている。市民運動の力で声を上げ、なんとしても戦争する国にさせないために、この会を企画した」と話されました。
 講演は中野晃一上智大学国際教養学部教授です。「今の国民運動の広がりからは、皆が危機感を感じはじめ、社会は変わってきていると思う。集団的自衛権行使容認、9条を完全に空洞化してしまう。なぜこうなったのか、どうして戦争をする国にしたいのか」と。
 さらに「日本が攻撃されてもいないのに、自衛の名のもとに他国間の戦争に出ていく、自国を守るだけでなく、グローバルな経済秩序を守るために軍隊を派遣することで、それが集団的自衛権という。武器輸出を盛んにしている富と権力の支配が『ナショナリズム』を隠れみのにしていると思う」など、冷戦の安全保障政策の変化等、さまざまな視点から話されました。

若人の市民運動

 最後に、新しい市民運動の芽生えが紹介されました。若者や女性たちが2011年の福島の原発事故以降、尊厳と個性を守るための行動として広がり始めた市民運動です。
 一人でも始める勇気のある人がいて、一人立っていればもう一人も立ち易くなる。あるママの会では「誰の子どもも殺させない」「戦争をしないと、ママは決めた」という、若い母親のスローガンで講演会を結びました。

―――――――――――――――――――

 ※9条フェスタ市民ネット=「ストップ・ザ・汚職議員の会」と「憲法9条! 世界へ未来へ連絡会」で2012年に結成された。
 東京地婦連をはじめ、日本有権者同盟、基地のない平和な沖縄を実現する会、9条連絡会、個人も加盟している。
▲back
■軽減税率をめぐる問題点(2)
 政府は株価の低迷が続く中で、夏の参議院議員選挙を見据えて、来年4月に消費税率を上げるか否か思案中です。
 先行きは不透明ですが、1月号に続いて軽減税率をめぐる問題点についてお伝えします。
 軽減税率を導入している諸外国では事業者に商品ごとに税率・税額を記入した請求書(インボイス)を発行することを義務付けて、当局は納税額を正確に把握します。

インボイス制度導入は4年後に

 わが国も2021年度からこの「インボイス制度」を導入する予定ではありますが、2017年4月の軽減税率のスタートから4年後までは、国は中小事業者の事務が増大するのを緩和するために、言わばどんぶり勘定を容認する方針です。
 売上高に一定の割合を掛けるみなし課税や、今の請求書を活用した簡易方式の税額計算でも良いとしています。

日本は益税大国

 朝日新聞の報道によれば、中小事業者への納税の事務削減の特例で、消費者が支払った消費税の一部が事業者の手元に残り、そのまま利益になる「益税」は数千億円規模に上るとされ、政府税調の幹部が、「日本は益税大国になるよ」とつぶやいたとか。年間の売り上げが1000万円以下の業者は全800万事業者の内500万を超えると言われています。
 消費者不在のこのような制度は改められることなく生き延びています。
 かつての消費税導入時から「益税」の問題はありますが、税率が高くなればなるほど、増える見込みです。

消費税の不正還付も

 2月19日の日経は、2015年6月までの1年間に発覚した不正還付は726件に上り、2年連続で増加したことを報じています。
 架空の仕入れを申告して、消費税の払い過ぎを偽装し還付を受ける、悪質な消費税法の違反行為でこちらも税率が高くなれば増えてしまうことになります。
▲back
■本当に安全ですか?照射レバ刺しとフッ素で虫歯予防
 照射食品反対連絡会は、2月16日「照射レバ刺しとフッ素で虫歯予防」をテーマに学習会をプラザエフで開催し、国が実施中の「放射線照射レバ刺し研究」の間違いの指摘と「フッ素による虫歯予防はウソだった。フッ素で老人骨折の危険」という二つの興味深い話を、健康情報研究センターの公衆衛生学博士・里見宏さんから聴きました。照射レバ刺しの危険性は以前にも取り上げましたので、ここではフッ素問題のポイントをお伝えします。

フッ素は虫歯を予防するか

 里見さんは明海大学歯学部筧光夫さんの研究報告(2006年)を紹介し「歯のハイドロキシアパタイトにフッ素が反応し、フルオロアパタイトになり虫歯を予防するとされてきたが、フッ素の置換は認められずフロール化は起こっていない」
 「1939年、フロール化が起きるのではないかと推測した報告が出された。当時は結晶構造の変化を直接分析できる高性能な装置はなく試料中のフッ素量増加を基に、推測したに過ぎなかったが、そのまま通説とされ今日に至っている」と報告されており、筧さんによってフッ素による虫歯予防の根拠は崩されていることを指摘しました。

フッ素の危険性

 里見さんは、それに加えフッ素の危険性について、骨肉腫、骨粗しょう症、ガン、アレルギー、フッ素歯T症(歯の色が極端に白くなり、表面がザラザラになる症状)などを挙げ、子どもへの健康被害や成人女性、特に歯磨き剤と老人の骨折については緊急に疫学調査が必要、と説いています。
 里見さんは、昨年フッ素と女性の骨折問題を調べる目的でモンゴルを訪れています。放牧に従事している女性の骨折が多いことに注目し、調査したところ「タン茶」を煮出して日常的に飲んでいたことが分かったそうです。このお茶は醗酵茶で、成分にはフッ素が多かったということでした。
▲back
■プラスチック工業連盟と消費者団体の懇談会
 3月3日、日本プラスチック工業連盟の会議室でプラスチックに関する消費者団体との懇談会が開かれ、消費者8団体の代表16人が参加しました。
出前授業の実演
 プラスチック工業連盟の水野理事から、海洋ゴミとプラスチックについて説明があり、海にゴミが流れ込まないようにと実施した「荒川クリーンエイド2015」の報告がありました。
 荒川水系の埼玉県秩父市から東京湾まで、過去最高の159会場で1万147人が参加しました。その結果ゴミの77%が容器包装類で占められていました。今年は2月と3月12日にも実施されるとのことでした。

マイクロビーズ使用禁止の方向へ

 次に海に漂う“見えないゴミ”マイクロプラスチックの脅威についてお話しがありました。洗顔剤や歯磨き粉などに使用されているマイクロビーズをブランドオーナーが段階的な使用停止を約束したり欧米諸国では、マイクロビーズの使用を禁止する法律が成立しています。日本でも歯磨きや洗顔剤のメーカーが使用中止の動きを見せています。
 次にヨーロッパのプラスチックレポートということで、ヨーロッパのプラスチック需要について触れました。ドイツが1番でイタリア、フランス、イギリス、スペインと続きヨーロッパの3分の2を占めているそうです。またゴミ処理については2015年までに、リサイクル可能なプラスチックを含む埋め立てをやめることによって、経済面や環境面で利益をもたらす取り組みをしています。

プラスチックの知識を教育現場でも

 消費者団体との意見交換会では、「マイバッグが使用されているが、レジ袋はどのくらい減ったのか」に関しては、輸入品が多いのではっきり把握できない、ポリ袋などは燃やすと燃料となるので無駄はないそうです。その他、食品包装用の輸入プラスチック製品の安全性に関する質問などが出されました。
 プラスチック工業連盟では、分かりやすい出前授業も行っていてその一部を見せていただきましたが、学校教育の場でも、プラスチックの良い点悪い点、ゴミの問題などを提起してほしいと要望する団体もありました。
▲back
■家電業界の公正競争をめぐる懇談会
 家電メーカー・販売店の公正な競争を促し、消費者が安心して商品を選択できる環境を目指して開催される、全国家庭電気製品公正取引協議会主催の消費者懇談会は21回目になります。
 2月18日霞が関ビルの会場には、主催者の家電製造業者・小売業者のほか消費者庁はじめ関連行政・消費者団体・消費者モニターなどおよそ50人が参集し、東京地婦連からは谷茂岡会長と飛田が出席しました。
 事業概要の報告後まず製造業部会の取り組みについて、公正競争規約ではカタログなどで(1)品質・性能の表示を行う場合は、公的基準による測定・評価結果に基づくことを原則とする(2)公的基準以外を用いる場合には、高い客観性と再現性を基本とする(3)測定方法・評価結果等を表示する、ことなどに留意するとの説明があり、ほかに高齢者にやさしい製品本体への「デカ文字表示と音声ナビ」の炊飯器のカタログが紹介されました。
 地婦連からは「依然としてカタログには機能を誇張するダイナミックな図やグラフが目立つこと」を伝えました。

頑張って!街の電気屋さん

 谷茂岡会長からの「高齢者が安心して頼めるのは、身近な街の電気屋さんなので、ぜひ頑張ってほしい」とのエールに次いで、地婦連として「他店より1円でも高ければ申し出てくださいという売り方は問題、省エネ達成率の表示年度の古さが気になる、インターネット販売で代金着払いの手数料を取るのは問題、家電品JISの省エネ化、高齢者が使い易いシンプルな製品開発を」等の意見を述べました。
▲back
■平成27年度葛飾区消費者大学連続講座
「アブナイカモ」を披露する講師の阿南さん
 平成27年度の掉尾を飾る葛飾区消費者大学連続講座が、2月16日に葛飾区のウィメンズパルで開かれました。講師に元消費者庁長官の阿南久さんをお招きし、テーマは「消費者リーダーのあり方」。阿南さんは一昨年の消費者の日の特別講演会にも来ていただいたので、2度目の来訪でした。

 退任後も阿南さんは全国を精力的に回り、消費者被害の防止に尽力されています。2014年度の消費者白書によれば犯罪にも波があるようで2004年度にピークだった架空請求が今年は半減し、その半面インターネット通販のトラブルが激増しています。

加害者にもなる危険性

 これらの被害者は主に若者ですが、同時に若者は容易に加害者にもなり得るという危険も含まれているため、大学生協が「騙されないチカラ養成HandBook」を発行したことを紹介されました。
 サイトでの出会い系トラブル防止には、若者に人気のAKBメンバーをポスターに起用するなど、視覚に訴える手法でPRしているそうです。

改正特商法(訪問購入)の施行

 相変わらず減らないのは高齢者の被害、なかでも認知症の人の被害が突出しています。トップが新聞勧誘、家電修理、リフォーム、浄水器、ふとんと続いています。悪質な業者に対し、より強力なクーリングオフを可能にする措置として、改正特商法(訪問購入)の施行を実現しました。

廃棄食品を少なく

 食品ロスの問題では、食べられる食品の廃棄を促す3分の1ルール(食品業界の商慣習で、製造日から賞味期限までの期間を3等分して納品期限や販売期限を設定するというもの)の見直しを進めていますが、消費者も賞味期限の意味を理解し、期日が来たからすぐ廃棄ではなく、主婦の経験と五感を駆使して確かめ、微量でも廃棄食品を少なくしようと訴えられました。同時にフードバンクの運動も推し進めたいとのことでした。

近江商人に学ぶ

 消費者教育の手本として近江商人の「売り手よし、買い手よし、世間よし」の三方よしに、世界全体の環境よし、未来の人びとや社会よしの2つを加えて五方よしの売買のあり方を紹介され、よく理解できました。

電力の自由化

 今「選ぶ」ことが消費者の「重要な役割」となっています。なぜなら消費者がどんな電力やサービスを希望するかが電力会社への強力なメッセージとなるから。電気は使う時は一見クリーンなエネルギーに見えても、作る時(発電所)にはいろいろなごみがでて、必ずしも環境にやさしいエネルギーではありません。
 ヨーロッパなどでは自然エネルギーが40%前後、80%に迫ろうという国もあるなか日本はわずか12%で、環境にやさしい自然エネルギーの電気を使いたいというメッセージを電力会社にしっかり伝えるには、今がそのチャンスであることを学んで、環境にやさしい電気を、のメッセージが届くようにしたいと思いました。
 最後に「子どもを事故から守るプロジェクト」のテーマソング「おしえてね アブナイカモ」を歌って踊って披露されました。私たちもボタン電池や洗剤など、大人だけだとつい見逃している家の中の危険なものに注意をはらいこどもたちを守っていかなければと思いました。

▲back
■地域ニュース
保健所と意見交換会 わか草婦人会

 食の安全と安心のための保健所との交流会が、2月19日に葛飾区の健康プラザかつしかで開かれました。
 「ノロウイルスの食中毒予防 その盲点は?」「餅つきでの食中毒について」のDVDを見てから、ノロウイルスの特徴や予防、ノロウイルスの食中毒事例について説明がありました。
 ノロウイルスはヒトの腸管内で増殖し、冬場に多発。おう吐、下痢、腹痛、発熱を起こします。カキや二枚貝の内臓に蓄積して、生食や加熱不十分だと感染します。便やおう吐物を処理する時、空気中に浮いているウイルスを吸い込んだり、手や服に着くことで広まります。
 予防のポイントは十分な加熱と手洗いです。調理器具やおう吐物などの消毒は次亜塩素酸ナトリウムを使用することです。おう吐物がどの程度飛び散るのかを見たときはびっくりしました。6畳間ほど飛び散り、靴の裏まで汚染されていました。
 あらためて正しい手洗いを学びました。普段結構丁寧に洗っていると思っていたのですが、手首までしっかりと30秒を2回洗わないといけないそうです。「菌をつけない、菌を増やさない、菌を殺す」が大事と帰宅したら、孫がノロウイルスに感染したと聞き、手洗いの大切さを痛感しました。
▲back