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■2016年5月15日付
ちふれ 〜生まれも育ちも地婦連〜
生団連 人口減少・超高齢社会対策委員会
災害時のエネルギー対応 熊本は2度も激震に
葛飾区のフードドライブ事業 区環境課と協働で5月3日に実施
熊本地震の建物倒壊 問われる耐震基準
地域ニュース


■ちふれ 〜生まれも育ちも地婦連〜
 100円化粧品(当初)「ちふれ」は、地婦連会員の「値段の高い物ほど品質がいいの?」という化粧品神話への素朴な疑問から消費者運動の一環として生まれた商品です。日本がGNP大国を実現し、消費は美徳と浮かれていた頃の1968年、消費者の手による商品づくりが始まり、紆余曲折を経て、地婦連の全国組織の力で今日までに普及発展させたのです。そして、この開発事業を共に担ったのが当時の東京実業、現在の株式会社ちふれ化粧品です。
ちふれ化粧品の意識調査から

 同社がこのほど「化粧品の全成分表示に関する意識調査」を実施しました。その背景は、同社が日本記念日協会に、4月20日は「肌には知る権利がある記念日」です、を登録したのに合わせ、ネットアンケートで20代から60代の各世代計1000人に行った調査です(調査時期は2016年3月9日〜10日)。
 同社では「化粧品業界で全成分・分量公開を先駆けて導入し、お客さまの『知る、選択する』の権利をいち早く尊重し(後略)」と記す通り、1968年の事業発足と同時に、成分と分量構成を公表したのです。

誕生時に全成分・分量を公開

 ちふれ化粧品はあくまでも消費者運動の一環で、消費者の切実な要求に応えるためのさまざまな配慮が払われ、その一つが成分表示と分量構成の公表でした。
 化粧品メーカーが最高の企業秘密として成分表示を拒否し続けていた商品情報を、あえて公表した背景は、高級化粧品も原料は同じで、違いがあるとすれば香料くらい。高いのは中身とは関係ない容器やレッテル、宣伝費、マージンに経費をかけ、大量販売で利潤を確保しているため、と原価の公表で高級化粧品との比較を明らかにしたのです。

成分表示75%が見る

 「ちふれ化粧品」誕生から約50年の今、女性は成分表示にどんな関心を寄せているのか。同社の調査結果(概要)です。化粧品の全成分表示を「読んだことがある」は全体の75%。年代別では、60代の84%が最多で、反対に「読んだことがない」は20代が36%で最多。
 また、化粧品で肌のトラブル経験がある人の中では「買う前に肌に合わない成分を避けるために読む」が40%。敏感肌の人の82%が読んだり、参考にしたことがあると答えています。
 最後に、薬事法は2001年4月に医薬部外品を除く全ての化粧品の全成分の表示が義務化され、消費者の選択情報として社会に浸透していると同社は総括しています。「高いものが良い」の神話を崩した「ちふれ化粧品」の1歩はその後、化粧品の再販制度廃止運動へと発展させていきました。
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■生団連 人口減少・超高齢社会対策委員会
 4月22日、東海大学校友会館で生団連(国民生活産業・消費者団体連合会)の第6回人口減少・超高齢社会対策委員会が開催されました。
 はじめに、NPO法人ローカル・グランドデザイン理事坂本誠さんの「人口減少・高齢化にどう立ち向かうか」の講演がありました。
 その骨子は(1)わが国の高齢人口の推移を調べると、農山村の高齢人口の増加は、ピークを過ぎようとしている。むしろ今後急激に増加するのは、都市・都市近郊と考えられる。それに対応するには、医療・介護体制の整備など従来の努力に加えて、支える側(行政・若者)と、支えられる側(高齢者)による都市コミュニティーの育成に、真剣に取り組むべき時期だと思う(2)若者たちの東京への集中加速に対しては、若者たちへの田園回帰対策の必要性を強く感じる(3)地方における車を運転できない交通弱者・買い物難民に対して、流通業・メーカーに何らかの対応を検討してほしいなど、さまざまな取り組みについて実際の成功例も交えて提言されました。
 次に委員会討議に入って、新年度の活動計画を検討しました。
 28年度の活動計画は、(1)買エルマンキャンペーンのウェブサイトによる周知啓発・意識醸成・行動喚起。フェイスブックによる発信および連携も新たに行う(2)ちょいカジマニュアルの制作と配布。コンセプトは「○人のママが選びました。パパがやるとママが喜ぶ家事ベスト10」。消費者団体によるワンポイントアドバイス「先輩の知恵」を掲載。いい夫婦の日(11月22日)に配布予定(3)アクティブライフ意見交換会を年4回実施‐‐、で活動を進めることとなりました。
 人口減少と超高齢社会への対応という大変な取り組みに対して、きめ細かく、ねばり強く立ち向かっていく姿勢を、今年もしっかり持ち続けたいと思っています。
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■災害時のエネルギー対応
 熊本は2度も激震に
 熊本・大分では4月14・16日以降、5月になっても未だに大きな余震に脅かされています。かつてない厳しい内陸地震に、被災された皆さまには、心よりお見舞い申し上げます。
 地震で亡くなった方、家屋倒壊による避難先からの生活再建、介護施設の引っ越し、大規模な土砂崩れ災害の復旧工事、深刻な農業被害など、課題が山積している今後の復旧への道のりを重く受け止めています。
災害時のエネルギー対応は公助の仕組みで

 東京地婦連では地震や自然災害に対し、自ら備え、災害時にはお互いに助け合うこと、特にエネルギー関係では、学習会や会議などを通じて、暮らしのインフラを守るためにも、電気、都市ガス、LPガス、ガソリンなどの供給途絶を招かないよう、国に対しては災害時の相互協定の推進など、「公助」の仕組みづくりを折にふれて提言してきました。

電気

 今回の地震で電気については、九州電力と電力9社が交わした被災時の全国的な相互応援の協定を基に迅速に復旧工事が行われています。電力の自由化の関係で2015年4月に発足した広域機関も新たに連携し、情報を共有するなどして4月20日夜には応急の通電が開始され、停電は解消されました(送電線は27日に復旧)。

都市ガス

 都市ガスは、4月19日に西部ガスが一部の病院への移動式ガス発生装置による臨時供給を開始、その後4月30日までに契約者への供給が可能になりました。こちらも全国のガス事業者の復旧応援隊も共に活躍しました。

ガソリン

 ガソリンは先頃緊急車両に優先的に給油を行う災害時中核サービスステーション制度がスタートし、元売り各社とガソリンスタンドとの連携で早くも4月19日には熊本県内34カ所の中核すべてで給油が可能になりました。28日には県内のガソリンスタンド全体の92%が営業しています。自らも被災しながら献身的にエネルギー供給が進められてきたもようです。
 東日本大震災の教訓から、エネルギー分野の供給体制が見直され、生かされたことは、復旧にわずかでもプラスになるのではないでしょうか。
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■葛飾区のフードドライブ事業
 区環境課と協働で5月3日に実施
 最近食品ロスの減量問題を、私たちは抱えています。昨年からフードドライブ事業の活動を葛飾区環境課と一緒に始めました。
 フードドライブとは家庭で余っている未利用の食品を持ち寄り、広く福祉団体や施設等に寄付する活動です。まだ食べられるのに廃棄されてしまう食品(食品ロス)の発生抑制と未利用食品の有効利用を目的として、家庭で余っている未開封の食品(賞味期間内)を広く区民から集め、フードバンク団体(セカンドハーベストジャパン)を通じて社会福祉団体等へ寄付をすることです。
受け付けには厳しいチェック

20人で120点ほど集めました=5月3日
 口に入るものなので条件が厳しく、賞味期限まで1カ月以上ある未開封食品、受付食品カウントリストで、缶詰、インスタント食品、調味料、嗜好(しこう)品、乾物、飲料、乳幼児用食品、健康食品、その他などと分類をして受付チェック、最後に分類したものを集計もします。
 今回は約20人で120点ほど集まりました。食品を扱うので、ビンものは破損のおそれがあるので除きます。とにかく安全・安心第一に、持参したものはよく表示を見ながらチェックして、受け取りました。

アンケート調査も

 食品ロスの現状や、フードドライブについて広く区民へ周知することや、今後のフードドライブ事業の参考にするためにも、来場者に呼びかけ、アンケート調査も行いました。
 初めてこの言葉を知った人、もっと広くやってほしいという希望など、多くの声を聞きながら、朝9時から午後3時まで250枚のアンケート調査も終わりました。
 集まった商品をケースに入れ分類してあると、通りがかりの人や子どもたちが、おいしそうなのが見えるのでしょうか、寄って来て、売ってくれるのかと聞く人も多く、売り物でないとフードドライブ事業を説明しPRしました。
 5月3日は憲法記念日で祝日でしたが、担当職員は出勤、共に私たちも立ちっぱなしで楽しく有意義に過ごせ、疲れの中にも喜びを感じた一日でした。
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■熊本地震の建物倒壊
 問われる耐震基準
 熊本の活断層には、大分の別府湾から熊本・大分の県境まで延びる別府‐万年山(はねやま)断層帯のほか阿蘇外輪山から島原湾に延びる布田川断層帯、熊本から八代海に至る日奈久断層帯などがあり、今回の地震は複数の断層が益城町から連鎖して複雑なずれを引き起こしたもようです。
 くり返された激震により、昭和56年に定められた、現行の建築基準法の耐震基準で建てられた家を含めて多数倒壊し、命を守るはずの住まいが、生命を奪うことになった次第です。
 4月14日の1回目(前震)で、住宅の外に避難した人が多かったために、16日の本震では家の下敷きにならずに済んだ、という被災者の声もあります。
 建築基準法の耐震基準には「建築物の存在期間中に、1度は遭遇することを考慮すべき、極めて稀に発生する地震動に対して、倒壊・崩壊するおそれのないこと」とあります。「1度は」「大規模の地震動で倒壊・崩壊しない」とはいっていますが、現行法では熊本地震のようなくり返す激震は想定されていないわけです。
 至るところに活断層がある地震列島日本、これを契機に防災対策の要となる耐震基準そのものを見直す必要があるのではないでしょうか。
 国は「建築物の耐震改修の促進に関する法律」に基づいて今の基準による耐震工事をこのまま続行するするだけでは、国民の生命を守れないでしょう。
 私たち消費者も被災者に寄り添い、これからの地震災害による建物倒壊を未然に防止するためにも、積極的に関係各方面に暮らしの声を届けたいものです。
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■地域ニュース
介護保険の勉強会 わか草婦人会

 人生最期の格差とも言われている介護問題。葛飾区として今年改正された介護保険制度の事業について消団連(谷茂岡正子会長)は4月28日に勉強会を開き、ウィメンズパルで佐藤智洋福祉部予防担当課長のお話を聴きました。
 現在葛飾区で65歳以上の人は11万人、そのうち要介護の人は2万5000人で、区で投入している税金は300億円です。今年の4月1日から介護事業の1部が区に移行され、訪問型サービスに区独自のシステムを組み込んで多様化を図ったというお話でした。
 具体例を挙げると、家事援助等従来の月ごとの利用を1回ごとの料金に改め、時間も1時間から45分に短縮、1回当たりの利用料を割安にしたという。しかしこれはもろ刃の剣で事業者や介護職の人にとっては収入減となり、経営難と介護離職の連鎖にならないかと不安がよぎりました。
 この他、介護認定に時間がかかるという意見も出ました。申請暫定で3カ月から24カ月の間で保険が使える、いわゆるみなし認定≠ノついて、要介護5でみなし運用され実際の認定が3になった場合、差額をとられるデメリットがあるので注意が必要とのこと。また、介護保険料を滞納していると保険の利用が制限されたり全額自己負担になるので、不安のある人は早めに相談を、と話していました。
 葛飾区では今年の4月から、介護予防日常生活支援総合事業も始まっています。要介護の認定を受けていない人が「いきいき元気チェック」の健診を受け、事業対象者(利用者)と判定されると「自立支援住宅改修費助成」のサービスも受けられます。これは未認定の人でも受けられる東京都だけの特典だそうです。
 見守り通報システムでは、トイレのドアにセンサーを付けて24時間開閉がないと15分未満で係員がかけつける、という優れものもありました。そのほか多くの予防事業が用意されています。知らなかったで損をしないように、日頃からしっかりチェックし、区側にも、伝える努力を怠らないようお願いをしました。
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