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■2018年4月15日付 | |||||||||||||
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■第2回 ブロック会議2017 | ||||
元気なうちに知ろう、考えよう「在宅介護・在宅医療のつながり」をテーマに、東京地婦連は2月16日、全国婦人会館と共催で第2回ブロック会議2017を開きました。介護の社会化をうたい2000年4月に施行された介護保険制度が発足して18年、制度改正が繰り返される中、今、国は医療費の削減もあって病床数を減らし「在宅介護」へシフトさせました。今回、医療現場の病院と制度設計を担当する東京都から、お話を聴きました。 | ||||
江戸川病院高砂分院 事務長 秋谷 滋さん まず在宅医療と病院との違いについて、病院では一つの建物の中で全ての医療と看護が提供されますが、在宅医療では地域の個々の医療機関に役割分担され「患者の自宅」という「病室」に提供されます。 その担い手は多岐にわたり、訪問診療または往診、訪問看護、訪問歯科診療と衛生指導、訪問リハビリステーション、訪問薬剤師の指導、訪問栄養指導など、多くの担い手のつながりで在宅医療は成り立っていることが分かりました。 病院から退院し、これらの訪問看護を利用する際は保険制度の違いにかかわらず、必ず主治医から訪問看護事業所宛ての「訪問看護指示書」を発行してもらう必要があります。 相談は「地域包括支援センター」へ これらの制度は日頃から知っておくことが大事で、何事も申告をしなければサービスを受けられないのが国の仕組みです。分からなければ住まいの近くの「地域包括支援センター」に相談すれば教えてくれるそうです。 介護する家族にとって容体の急変がいちばんの心配事ですが、その場合は随時訪問診療が行われます。日常介護で、患者が寝たきりの場合、最も多い疾患でつらいのが褥瘡(じょくそう)です。悪化させないためにたびたびの体位交換が必要と、家族へのアドバイスもありました。 大事なことは日頃から健康状態を把握している「かかりつけ医」を持つこと、在宅介護の家族はひとりで悩まない、無理をしないなど、見守る側の心得などの助言があり、講演を結ばれました。
東京都福祉保健局 久村信昌さん 2030(平成42)年には、都民の4人に1人が65歳以上の高齢者という、厳しい現実を踏まえてのお話でした。 その中で都民の意識調査では、「在宅医療は家族に負担をかけるから」と74・1%が答え、44・3%の人が「急に病状が変わったときの対応が不安だから」と答えています。都民の在宅医療に対する意識ですが、こうした厳しい現実を踏まえて東京都では、安心して療養生活が送れる態勢の実現が必要との認識に立って計画を進めています。 まず、地域包括ケアシステムを積極的に進めて、地域ぐるみで支援サービスを提供できる態勢づくりを行っています。その支援サービスの構想メニューはどれも専門的で難しいのですが、私が最も身近に思えたのは、次の目標です。 @予防、健康づくりに力を入れるAかかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師の普及B在宅療養生活の支援と看取りまでの支援です。都ではこの構想の推進に努め、地域医療を担う人材の確保と育成が必要と考えています。 しかし、例えば都の構想の一つである「在宅医療支援窓口設置」の現状をみると、まだ窓口が設置できていない所が東京23区、39の市町村で22カ所もあります(昨年7月現在)。市区町村の取り組みについても、医療関係者に対する研修の進捗状況が弱く、地域差も大きいようです。 私たち都民の役割は、自らの健康に自覚と責任を持ち介護予防に努める、かかりつけ医、歯科医、薬剤師を持ちつつ、さまざまな保健医療情報の収集と活用、適切に医療機関を受診するなど、最後まで自分らしく暮らし続けることが大切ということでした。皆さんも、まずかかりつけ医を持つようにしましょう。 | ||||
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■2017年度 東京地婦連中央集会 | ||||
3月15日、全国婦人会館で、2017年度東京都地域婦人団体連盟中央集会が開催されました。谷茂岡会長は「今年も第1回、第2回のブロック会議が皆さまのご協力で無事終了することができました。今日はその報告と集大成として『在宅介護・在宅医療、看取りについて』お話を聴きましょう」と、挨拶されました。 | ||||
第1回 ブロック会議報告 現地見学会について黒崎照子さんから東京ガス千住水素ステーションの見学と葛飾区の特別養護老人ホームスマイル西井堀の見学会の報告がありました。 東京ガス千住水素ステーションは、東京ガスの最先端のエネルギー技術を紹介する施設です。その中の一つ都市ガスから水素を製造して燃料電池を充填する車に試乗して、そのエンジンの静かさと加速のスムーズさに驚かれたそうです。 次に特別養護老人ホームスマイル西井堀の見学では、このホームはユニット型特養で入居者144人、入居者それぞれのの個性や生活リズムを尊重した個別ケアで、入居前と入居後の暮らしが継続できるように配慮し、自立的な日常生活を営むことを支援しています。ペットも一緒に暮らせるそうで、協力病院からは週1回の訪問医療も受けられるそうです。 第2回 ブロック会議報告 「在宅介護・在宅医療のつながり」「東京都の在宅医療の現状・看取りについて」の二つの講演会の報告が梨洋子さんからありました。 在宅介護は自宅で介護することですが、国の政策として病院での介護から在宅介護へ移行し、それをサポートする在宅医療が行われています。 在宅医療をスムーズに行うにはかかりつけ医を持つことが必要で、家庭だけで悩んだり抱え込まないようにすることです。東京地婦連が2015年に実施した、「あなたはかかりつけ医を持っていますか」のアンケート調査の結果と具体的事例を交えながらの報告でした。 在宅介護 在宅医療・看取り 江戸川病院高砂分院事務長 秋谷 滋さん 在宅医療は自宅療養を希望する患者に医療行為、医師の緊急性の診断や定期の訪問医療、訪問看護などを行います。胃瘻も自宅でケアできるそうです。病院から自宅が病室に変わり、医療提供が医療組織から地域に拡散・拡大しています。しかし、自宅での介護には限界があります。ひとりひとり違うので病院から在宅医療を提案されても、できないものはできないとはっきり伝えることで、家族が共倒れにならないようにすることが大切です。病院スタッフとよく話し合いをすることです。 看取りについては自宅でとの政策もありますが、終末期の医療場所は自宅での希望がやはり多く、約6割だそうです。東京都の場合は訪問医療が整っていることもあり、17%が自宅で看取られているとのことでした。看取れる環境を作ることが急務です。 秋谷さんのお話を聞いて、近い将来訪れる介護や看取りについて考えるよい機会になったと思います。 | ||||
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■第56回全国消費者大会 | ||||
全国消費者大会は、今年で56回目の開催となる消費者と消費者団体の集会です。今回も「世界消費者権利の日」に合わせて、3月16・17日に四谷の主婦会館プラザエフで開催されました。テーマは「地域から発信、全国で共同〜消費者の対話、選択、行動が未来を変える〜」です。東京地婦連からは第1日目の「食」と「環境」の分科会に参加しました。その報告です。 | ||||
環境分科会 持続可能な地球環境づくりの目標に向けて〜SDGsから考える〜 2015年の「国連持続可能な開発サミット」において採択された持続可能な開発目標SDGs(エスディージーエス)を柱とする、持続可能な開発のための2030国際的行動計画(アジェンダ)がテーマになりました。 環境省の担当課長補佐福井陽一さんによれば、 2030年の世界目標は、17ゴール、169のターゲットから構成され、すべての国に適用されて「誰一人取り残さない」ことを基本方針とするそうです。 17のゴールはそれぞれ、貧困をなくそう、飢餓をゼロに、すべての人に健康と福祉を、質の高い教育をみんなに、ジェンダー平等を実現しよう、安全な水とトイレを世界中に、エネルギーをみんなにそしてクリーンに、働きがいも経済成長も、産業と技術革新の基盤をつくろう、人や国の不平等をなくそう、住み続けられるまちづくりを、つくる責任使う責任、気候変動に具体的な対策を、海の豊かさを守ろう、陸の豊かさも守ろう、平和と公正をすべての人に、パートナーシップで目標を達成しよう、であり消費者問題も含まれる盛りだくさんな内容です。 福井さんによればこれに対する国の指針には、「省・再生エネルギー、気候変動対策、循環型社会」「生物多様性、森林、海洋等、環境の保全」が含まれ、地方自治体の役割が明記されているということでした。 環境分科会ではこのほか、チェーンストア「ユニー」百瀬則子さんの持続可能な社会を構築する企業努力の紹介と「食品リサイクルは命をつなぐ環」の講演、ゴミ処理問題と畜産経営の同時解決に取り組む、獣医師で日本フードエコロジーセンター社長の高橋巧一さんの講演、日本生活協同組合連合会板谷伸彦さんからは「協同組合の役割」の講演、出演者によるミニシンポジウムなどが行われました。 食分科会 食べることから見えるエシカル〜カフェで語ろう〜 消費者教育支援センター柿野成美さんの講演と報告が2つありました。 講演は「エシカル」とは英語で、倫理的な道徳上のという意味で、「エシカル消費」とは消費者庁倫理的消費調査研究会のよりよい社会に向けて、人や社会環境に配慮した消費行動・消費者それぞれにとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うことをいい、また今注目されている「エシカルコンシューマー」とは、人・社会・地域の今と未来の幸せのために、思いやりと責任を持って行動できる消費者のことです。 そして、何が問題なのかというと@生産と消費の現場が離れていて、どのように生産されているのか見えないA消費者が買おうとする商品がどのように作られているか情報がなく、正しく選べないB問題解決のための消費者の役割を理解している人が限られている、ことです。 報告は@吉澤真満子さんの「パプアのカカオの取り組み」A松本英明さんの「エシカル消費に対応する商品の取り組みについて」ありました。 休憩後、エシカルなチョコレートとお茶を楽しみながらグループワークを通して、ひとりひとりができることを考えました。 | ||||
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■第69回結核予防全国大会 せとうち広島から 結核のない世界をめざして | ||||
2月13・14日、リーガロイヤルホテル広島で結核予防全国大会が開催されました。 | ||||
初日の研鑽集会は「結核の低まん延化を踏まえて、すすめよう、広げよう早期発見と支援の輪」をテーマに、基調講演やシンポジウムがありました。 基調講演は「『結核療養所』から地域医療連携へ―結核低まん延化の中で」と題して、東広島医療センター元感染症診療部長の重藤えり子さんが、「結核医療は治療の終了まで支援が必要であり、地域との連携を密にし、患者の状況に応じた服薬支援が大切です。地域医療連携強化の必要があります」と話されました。 シンポジウムでは、広島県感染症・疾病管理センター長の桑原正雄さんと公益財団法人結核予防会結核研究所副所長の慶長直人さんを座長に、5人の発表者のお話がありました。 @広島県における結核診療の現状=宮崎こずえ東広島医療センター呼吸器内科医長は、広島県の結核罹患率は全国平均より低値であり70歳以上の高齢者が多く、合併症があるので連携が必要 A高齢結核患者に対する退院支援=柿上裕二吉島病院地域医療連携室医療ソーシャルワーカーは、高齢で認知症の独居の場合は社会的支援が必要 B広島県における外国出生結核患者への取り組みについて=坂本慰子広島県西部東保健所保健課長は、外国出生結核患者と意思疎通を図り、結核の治療、服薬の支援をする。外国語の説明書の用意をする C産業医と結核の関わり=檜谷義美社会医療法人社団沼南会会長は、健康教育、康診断を行う。課題として、外国人の低収入と劣悪な生活環境と高齢者の問題 D第18回中国・四国地区結核予防婦人団体幹部研修会報告=野田法子一般財団法人香川県婦人団体連絡協議会長は、平成29年12月に「いのちを育む瀬戸内から〜予防ファーストで健康長寿」を開催した。「ワクチンで子どもを守ろう―BCG接種」「複十字シール運動」、健康長寿を目指して活動中 2日目 2日目は、結核予防会総裁秋篠宮妃殿下のメッセージに続き、秩父宮妃記念結核予防功労賞受賞者表彰がありました。 特別講演は、「広島の酒造りの歴史と国産ウイスキーの誕生」。NHK連続テレビ小説「マッサン」でおなじみの竹鶴酒造相談役竹鶴壽夫さんの楽しいお話がありました。 帰路はしまなみ海道を渡り四国へ。道後温泉で一泊して子規記念博物館や「坊ちゃん列車」を楽しみました。 | ||||
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■葛飾区消費者大学 考えよう、みんなで解決北方領土 | ||||
2月22日に葛飾区ウィメンズパルで第5回葛飾区消費者大学が開催されました。テーマは「考えよう、みんなで解決北方領土」、講師は北方領土の返還を求める都民会議の蓮池攻事務局長です。 日頃あまり接点のない問題なので、この機会に北方領土のイロハを教わりました。 | ||||
位置 北海道の北東オホーツク海に隣接する根室半島と知床岬の間の前方広域に点在する歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島の四島で、根室の納沙布岬から群島の貝殻島まで3.7キロメートル、奥尻島や焼尻島よりずっと近い距離です。 根室の隣の別海町の海岸には、故郷に向かって叫ぶ島民の姿が彫られた”叫びの像”があります。択捉島には江戸幕府によって建立されたと思われる「大日本恵登呂府」の標柱などがあり、この北方四島が未だかつて一度も外国の領土になったことはなく、日本固有の領土であることがうかがえます。 気候と自然 6月から9月以外は海が荒れているので、ビザなし渡航はこの時季に行います。夏は水蒸気が発生して霧が多く、国後島の古釜布市は根室市とほぼ同じ気温です。 1940年頃の水産業の水揚高は北海道中の3割近くを四島が占め、捨て難い”資源”であったことが分かります。現在も色丹島は豊かな漁場ですが、生活排水垂れ流しで、衛生状態は劣悪だといわれています。 面積と人口 四島合わせて5003平方キロメートルで福岡県とほぼ同じ、人口は1945年当時1万7291人、今はロシア人が占有し、当時生まれた子どもも成人して定住しています。ロシアでは若い時から僻地に住むと年金がもらえる制度があり、移住が促進されたと思います。そもそも北方四島は1945年に日本が降伏、終戦したにもかかわらずソ連軍が一方的に攻撃し、島を不法占拠したもので、日本軍は抵抗せず、占領は無血で行われたといいます。 元島民のお話では家を没収され、毎日ソ連軍の恐怖の監視に耐えられず、死を覚悟で島を脱出した人、サハリン(樺太)の収容所に送られた人もいました。死と隣り合わせの日々をどうにか乗り越えて今日ある元島民の皆さんが、日本の帰属が確認され、故郷での生活が一日でも早く実現できるよう、さらに「世論」を高めなければと思います。 他の受講生も「北方領土の話を初めて聞き、よい勉強になった」と話していました。”知ること”が返還への第1歩です。これからもこのような機会を重ねていくべきだと痛感しました。 | ||||
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■地域ニュース | ||||
わか草婦人会 普段から女性の立場、特に避難所運営のあり方などに男性社会の中で疑問を持っていた私たち。 2月1日に葛飾区の第1回「女性のための防災対策」検討委員会が開かれ、指名された12人が区の本庁舎会議室に集いました。 この会議の目的については、「避難所運営マニュアルを見直し、新しく計画している防災ブックについて議論する。都の『東京くらし防災(女性版)』とは違い、名刺サイズのハンディなものを目指したい」との説明でした。 多様性の視点から避難所運営について、それぞれの立場から次のような意見が出されました。@保育支援を通じた早期復興対策の視点A多世代が集まる地域の防災活動をB少女を含めた女性を取りまく課題と人権、ジェンダーの視点からみる必要C地域の人材を生かした避難所運営のあり方D地域の意見をどう行政に伝えるか――などです。 これだけ多様な視点を持ったメンバーがいるのに、地域の防災会議で女性たちがなぜ発言できないのか、現在の課題でもあります。だれもが発言しやすい防災会議、女性を取り巻く現状を把握し、どう絞って会議を進めていくか、次回が楽しみです。 中央銀座会 3月17日に中央区役所大会議室で、楽しく学びたい人のための防災セミナーが開催されました。講師は国際防災コンサルタントの高橋聖子さんです=写真。 中央区は、30年以内にマグニチュード7程度の地震が70%の確率で発生するといわれています。参加者が5、6人のグループを作り、テーマごとに話し合いました。 グラッときたら、4つのポイントがあります。 @防災眼鏡をかけるA グラグラ中は室内の安全対策B直後は火の対策、救助、避難C避難生活は「日常」の確保、です。 東日本大震災では高齢者が多く亡くなり、避難行動では女性は数名でまとまって避難していました。日頃から避難訓練に参加し、近所づきあいが大切です。 次は「トイレについて考えてみよう」です。日本のトイレ事情は世界トップクラスですが、災害用トイレの備蓄は80%がしていません。被災時には停電や断水、下水処理施設の破損などがあり、ライフラインの復旧には数日かかります。 いろいろなトイレの見本が用意され、体験しました。段ボールで作られたものは、体重100キロにも耐えられるそうです。わが家にも防災訓練で配られたトイレが4組あるだけです。 防災会議には女性委員を増やし、女性の視点での発言が必要です。常に地域の防災訓練に参加し、さまざまな体験をすることも大切な備えです。 | ||||
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