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■2020年8月15日付
感染拡大の責任はどこに
二酸化窒素測定中止
地域ニュース
石炭火力発電は削減へ再エネ導入加速化か
東京消防庁より 『新しい日常』における熱中症予防


■感染拡大の責任はどこに
 政府が東京を除外してスタートさせた観光支援事業「GoToトラベル」は、当初は新型コロナが収まってからとされていたにも拘らず、7月22日に前倒しされ、人の移動とともに各地にクラスターが発生、感染の全国的拡大を招いています。
 東京都知事はじめ、大阪府、山形県、埼玉県、新潟県、佐賀県、むつ市など自治体の長の中に反対意見が少なからずあり、医療分野でも日本医師会中川会長はじめ大勢が前倒しに慎重さを求め、政府の「新型コロナウイルス感染症対策分科会」尾身会長も時期尚早と異議を唱えました。
 ところが官邸、中でも観光振興の旗振り役の官房長官は、早すぎる観光支援への数多の延期論や反対を退け、記者会見では「東京問題」と東京の感染拡大の批判を行い、PCR検査体制もお粗末なままで経済優先のGo Toトラベルを推進しました。
 案の定、お盆休み前から、すでに全国各地へと感染は拡大し、観光地沖縄では病院崩壊の危機に直面しています。経済復興ありきの施策による「人災」です。
 小池都知事は7月以降、ホストクラブやキャバクラなど「夜の街対策」の必要性を指摘したものの、対応の甘さなどから感染者の急増を許し、軽症者用療養ホテルのベッド数も契約期限切れで、不足する事態となりました。自宅待機者が増加し、高齢者や子供など家族への感染も目立つようになりました。8月に入り、医療現場では、中等症患者の入院調整に苦慮する逼迫状況を呈し、重症者も増えています。
 感染のエピセンター(震源地)として、新宿の歌舞伎町は批判の的になったため、東京都ではこの地区の検査を強化し、東京都全域の飲食店などを対象に「感染防止徹底宣言ステッカー」の貼付制度を設け、夜10時以降の営業の自粛を呼び掛けています。しかしこれも遅きに失し、「お盆休みの各地への移動を控えるように」との掛け声も空しく、コロナ感染拡大に歯止めが掛かっていません。背景には、休業命令の出せない「改正新型インフルエンザ等対策特別措置法」(特措法)の強制力の無さもあるとされています。
 都知事は、米国のような「疾病対策予防センター創設」構想を述べ、医療機関への支援策とともに、将来はPCR検査を1日1万人(件)行うと目標を掲げていますが、詳しい説明はありませんでした。
 一方、都内で最も人口が多く、感染者数2位の「世田谷区」では、保坂区長が保健所の行政検査に加えて、区独自の検査体制を確立するとした、新たな方針を公表しました。
 地元医師会、東大先端研と連携し、児玉龍彦名誉教授の指導のもと、先ずは医療・介護・教育に従事し、日々人と接するエッセンシャルワーカーのPCR検査を徹底し、さらに地域外来・医療センターと、地域採取センターを立ち上げて、将来はPCR検査を「いつでもどこでも何度でも」受けやすくしたいという計画です。
 「病院、介護施設、学校からクラスター発生を防ぐ」取り組みから始めるとしており、実現が期待されています。

「観光立国調査会」議員への政治献金問題が浮上

 ところで「Go Toトラベル」をめぐる裏話として週刊文春の文春オンラインが報じたところでは、この観光需要の喚起策は最大与党の議員で構成する「観光立国調査会」が提案したものということです。その上、調査会の役職者37名の2011年から2018年の政治資金を精査すると、今回のキャンペーンの受託者「ツーリズム産業共同提案体」傘下の団体や業界からの献金が約4200万円に上ることがわかったという報道でした。この記事は調査会の族議員には、キャンペーンを急ぐ「利益誘導型」で業界依存の「献金疑惑」議員が多数含まれることを、暗示しているのではないでしょうか。
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■二酸化窒素測定中止
 2020年上期の大気汚染測定カプセル調査は、東京地婦連では中止といたしました。コロナ禍により、カプセルの扱いや集計業務時での“密”の懸念等があるためです。気候変動の元凶である地球温暖化の“今”を大気汚染の状況から知るうえでも重要な調査であり、6月の中止は残念です。
 ウェザーニュースによると新型コロナウイルスの世界的流行で、経済活動を縮小せざるを得なかった温室効果ガス排出国の空が、期せずして澄んでいるようです。地球に住む私たちが地球を労わることを自覚すべき機会と捉えたいと思います。
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■地域ニュース
3密を避けてリサイクル事業再開
わか草婦人会


 7月11日、葛飾区ウィメンズパルでリサイクル事業を再開しました。
 リサイクル事業は、平成元年から葛飾区の委託でわか草婦人会が行ってきたものです。
 月1回、月・火・水曜日の3日間で商品の受付と清算をし、土曜日に販売しています。手数料は一切取っていません。
 新品同様の衣類、食器、バッグや靴、雑貨など毎回170人余りの出品者がいます。出品は1人10点までの受付で、出品者が値段を決めて値付けしていきます。
 新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、2月から6月まで長期に渡っての休止でした。開催を希望するお客さんの声が多く、谷茂岡会長といろいろと話し合い、密を避けるため会場の見直し、整理券を配布して入場を15人ずつ15分間と決めました。マスクのチェック、検温、もしもの時に備え、氏名、電話番号の記帳、手にはしっかり消毒を、不要な会話は禁止などの対策をとることにしました。
 当日は9時に集合、今までは一緒だったリサイクルとフリーマーケットの会場を2つの会場に分け、安全を考えてのマスクやフェイスシールド、ビニール手袋の装着にメンバーは大忙しです。
 9時45分、検温や氏名の記帳、前髪を垂らしている人の検温は時々エラーが出てしまい、慌ててスイッチを押し直したりしました。およそ150人の来場がありましたが苦情もなく、スムーズに再開できました。会長をはじめ、ホッと一息です。一日も早く新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収束することを願うばかりです。
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■石炭火力発電は削減へ再エネ導入加速化か
 梶山経済産業大臣は7月3日、「旧式の非効率な石炭火力発電所を2030年までに休廃止する」と表明、エネルギー政策の転換方針を明らかにしました。
 温暖化により自然災害が過酷化する中で、世界的に気候変動対策が急がれています。多くの先進国が脱石炭エネルギーに向かって舵を切る昨今、わが国では温暖化ガスの発生源とされる石炭火力を維持し、さらに発電技術を輸出してきたために、国際環境団体からは不名誉な「化石賞」を度々受賞しています。
 日本の石炭火力が全発電量に占める割合は32%、内非効率型が16%を占めているといわれます。休廃止対象となり段階的にゼロに、とされる旧型にはほかにも自家用の3%分があります。残すのは高効率型という国の方針ですが、残すのが問題と言う環境団体もあります。
 梶山大臣は、もう一つの方針として「再生可能エネルギーの導入を加速化し、主力電源化を目指したい」としています。
 既存の非効率な石炭火力電源を抑制しながら早期に退出させ、再生可能エネルギー導入を図る、そのために送電線の利用ルールの見直しなどを、地域の実態を踏まえつつ検討を進めていきたい、という主旨でした。
 東京地婦連は、東日本大震災後の2013年には「再生可能エネルギーを主力電源に」と願い、エネルギーについての消費者の意識調査を行いました。私たちは思いも新たに、国の新たなエネルギー政策のゆくえに注目していきましょう。
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■東京消防庁より
『新しい日常』における熱中症予防
 今夏は、これまでとは異なる生活環境下で過ごすこととなりますが、一方で、例年以上に熱中症にも気をつけなければなりません。十分な感染症予防を行いながら、特に熱中症予防にも心掛けるようにしましょう。

「新しい日常」における熱中症予防行動のポイント

○ マスクを着用している場合には、強い負荷の作業や運動は避け、のどが渇いていなくてもこまめに水分補給を心掛けるようにしましょう。また、周囲の人との距離を十分にとれる場所で、適宜、マスクをはずして休憩することも必要です。
○ 新型コロナウイルス感染症を予防するためには、冷房時でも換気扇や窓開放によって換気を確保する必要があります。この場合、室内温度が高くなるので、熱中症予防のためにエアコンの温度設定をこまめに調整しましょう。
○ 日頃の体温測定、健康チェックは、新型コロナウイルス感染症だけでなく、熱中症を予防する上でも有効です。体調が悪いと感じた時は、無理せず自宅で静養するようにしましょう。
○ 3密(密集、密接、密閉)を避けつつも、熱中症になりやすい高齢者、子ども、障害者への目配り、声掛けをするようにしましょう。

気温が高くなくても湿度が高いと、熱中症になることがあります

◇ 水分補給を計画的、かつ、こまめにしましょう。
◇ 窓を開け風通しを良くし、エアコンや扇風機等を活用して、室内温度を調整するなど、熱気を溜めないようにしましょう。
◇ マスクをしていると、汗の蒸発が妨げられるなど体温調節ができず、脱水症等を起こしやすくなります。現在、マスクの着用は必要ですが、体調の変化に十分注意して下さい。
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