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■2021年6月15日付
2021年度 ピースアクション in TOKYO
2021年度 東京地婦連事業計画
北方領土の返還を求める 都民会議理事会・総会
国民不在の東京五輪 リスク評価せず開催か
住宅リフォーム・紛争処理支援センター 令和3年度第1回運営協議会
地域ニュース
この夏の電力は大丈夫か


■2021年度 ピースアクション in TOKYO
核兵器の廃絶と戦争のない平和な世界を目指して

 2021ピースアクションinTOKYOが5月23日に開催されました。今回で16回目です。

 昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で中止となり、今年はYouTubeでのオンライン配信という新しいかたちでの開催です。
 主催は、一般社団法人東友会(東京都原爆被害者協議会)、東京地婦連、東京都生協連、平和活動担当者連絡会。そして、日本生活協同組合連合会の協賛によるものです。
 パルシステム東京の戸谷彩さんの主催者あいさつに続き、広島市の松井一實市長、長崎市の田上富久市長より、ビデオメッセージをいただきました。両市長は、核兵器禁止条約について、条約がより実効性の高いものになることの重要性や、核兵器の問題は、その脅威にさらされている地球上のすべての人に関係があり、当事者意識が大切であるということ、そして、今後も核廃絶と恒久平和実現に向けて、ともに力を尽くし発信していくことを表明されました。
 次に、「核兵器禁止条約について知ろう」をテーマに、長崎大学核兵器廃絶研究センター准教授の中村桂子さんを講師に迎え、核兵器の現状や、条約発効の意味、今後の課題についてご講演をいただきました。
 続いて、休憩中に平和クイズを出題、その後、解答と平和の取り組みを、戸谷彩さん(パルシステム東京)、吉村真由美さん(コープみらい)、関有紀さん(東京都生協連)、飛田恵理子さん(東京地婦連)、木船文敬さん(日本生協連)、林真由さん・藤田紗弥さん(大学生協「東京薬科大学生協」)、東京保健生協(ビデオメッセージ)の8団体が紹介しました。
 最後に、核兵器禁止条約の署名・批准を強く求め、核兵器廃絶を訴え続けることを誓うアピールを、東京地婦連の山下陽枝より読み上げ、閉会となりました。
 今年も開催は難しいかなと思っていましたが、大成功に終わりましたことは、生協の方々、そして実行委員会の皆さまのご協力と平和への強い思いによるものと実感いたしました。

東京地婦連の
平和活動報告より


 リモートで開催された2年ぶりの集いでは、婦人時報4月号で紹介した、大石又七さんの生涯と核兵器廃絶への精力的な活動を、特に若い世代に向けたメッセージとして伝えました。
 まずはクイズの種あかしです。問「第5福竜丸は1954年にビキニ環礁で行われた水爆実験で被ばくしました。その時に積んでいた魚は、次のうちどちらでしょうか。@タイAマグロ」正解はAマグロです。
 被ばくした第5福竜丸は、次々と急性放射線障害を発症した乗組員たちとマグロを積んで、2週間後に焼津港に帰りましたが、政府は事実を把握していませんでした。スクープ記事が出て築地のセリは中断し、マグロを検査すると放射線量が高いことが分かりました。1954年に同じ海域で被ばくした船は856隻、日本中がパニックになり、この時に捨てられたマグロは457トンに上りました。後に大石又七さんが発起人になり、2000年4月にマグロ塚が建立され、第5福竜丸展示館広場に暫定的に置かれています。
 クイズに続いては私たちが想いを馳せたい大石さんの生涯です。
 マグロ漁船の第5福竜丸は70年近く前にビキニ環礁を航行中に被ばくしました。その乗組員だった大石さん、1983年からは、第5福竜丸展示館はじめ各地で700回を超える証言活動を行い、4冊の著書やTV番組「又七の海」、さらにノーベル賞作家大江健三郎さんとの「核をめぐる対話」などを通じて、核兵器や被ばくの問題を真摯に取り上げた証言者でもありました。
 第二次大戦後のアメリカとソ連の冷戦のさなか、太平洋のビキニ環礁では核実験が67回も行われました。「ビキニ環礁核実験場」はマーシャル諸島共和国のユネスコの世界遺産になっています。
 国際的な緊張が高まる昨今の世界情勢においては、パンデミックの中でも武力と核兵器に依存する傾向が窺えます。新たな核実験の可能性も否定できないのではないでしょうか。
 私たちは今困難な状況に直面していますが、如何なる時も核廃絶の歩みを進めましょう。

講演 核兵器禁止条約について知ろう

講師 長崎大学核兵器廃絶研究センター准教授 中村 桂子氏

「核兵器禁止条約」発効
――その意味は?


 今年1月22日に核兵器禁止条約が発効されました。2017年7月7日に、122か国の賛成をもって採択されてから3年、やっと始まった核兵器禁止条約。ここから私たちがどう活かしていくことができるか、知恵と力が問われています。
 さまざまな可能性を秘めたこの条約を、私たち皆が責任を持って育てていかなければなりません。
 今日の世界では、核兵器こそ正義だ、核兵器こそ平和を守るといった幻想がまかり通っています。こういった世界のありように楔を打ち、あるべき世界に戻さなければいけないという思いが、核兵器禁止条約の成り立ちの大きな動機です。
 核兵器禁止条約は、核兵器を、初めて「国際法違反の非人道兵器」と位置付けた国際条約です。核兵器の開発・保有・使用・使用の威嚇などの活動を包括的に禁止するほか、被害に遭った人びとへの援助、汚染された環境を修復する義務も明記しています。そして、核兵器に対する世界の価値観を変えていこうという狙いも含まれています。
 核兵器とは、国際法で全面的に禁止されるほど非人道的であり、誰にとっても許されない、誰のことも幸せにしない、保有することも恥ずかしい、そんな兵器であるという見方をスタンダードにしていきましょう。

日本の私たちの課題は

 日本はこれまで、「唯一の戦争被爆国」としての顔と、「『核の傘』の下の国」としての顔の2つを世界に示してきました。核兵器禁止条約は日本に、どちらに向かうのか、と問いかけています。
 日本においては、核兵器禁止条約に批准するか否かが大きな論点ですが、それに加えこの条約をきっかけとして、「私たちの安全を本当に守るものは何か」、「私たちはどんな未来を望んでいるのか」を考えていく絶好の機会を与えてくれたのではないでしょうか。
 私たちは今、核兵器禁止条約という大きなツール(道具)を手に入れました。核を巡って世界が大きな転換点を迎えている中で、平和活動を続けていくことの意義や重要性は、ますます高まっています。
 私たちが核兵器禁止条約を使って育てていくことに繋がっていくと思います。
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■2021年度 東京地婦連事業計画
 今年度の東京地婦連の総会は、4月25日に出された「東京都における新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態措置」が2回にわたり延長され、6月20日までの予定になったため、日中も含めた不要不急の外出・移動の自粛要請によって、感染防止を図るために開催できませんでした。
 その代わりに詳細の審議は後日に行うこととして、2021年度事業計画は昨年度を踏襲することが決まりましたので、基本方針をお知らせします。

〈基本方針〉

 東京地婦連は、「世代を超えて地域の力」をテーマに、平和な明るい社会の構築を目指して心を結集し、地域に根ざした活動を続けております。
 新型コロナウイルス感染症拡大により、生活様式も変わってきましたが、自然災害に対する備え、原発に依存しない新エネルギー開発、平和活動、少子高齢社会における地域の連携、その他防災対策等、安心・安全などへの取り組みについても、深く考え引き続き活動を進めていきます。
 地域の活性化を図っていくと共に、暮らしの安全・安心の見地から、地産地消や食品ロスの削減、食育の普及などに取り組んでいくことも重要だと思います。
 厳しい社会情勢の中、この困難を乗り越えるには、知恵を出し合い、みんなで一丸となってまい進しなければなりません。実りある活動を行うには、行政、事業者、消費者の三者が協働して、今まで以上に地域の絆を強くし、より良い地域活動を推進していきましょう。
 2021年度は以上の方針のもとで、中央集会ならびにブロック別協議会、指導者研修会等を開催する予定です。
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■北方領土の返還を求める
都民会議理事会・総会
 6月1日、北方領土の返還を求める都民会議の理事会、総会が開かれました。初めてのオンライン会議となり、会長の谷茂岡のみ都庁会議室にて司会者として参加しました=写真。
 議事は、事業報告、決算報告、監査報告、令和3年度の事業計画(案)、予算(案)、都民会議規約改正(案)についてです。
 昨年度の事業については、理事会と総会が書面開催となったこと、令和3年2月に予定していた北方領土の返還を求める都民大会を中止としたことの報告。また、東京都庁をはじめとした6か所で北方領土の啓発パネル展の開催、北方領土問題啓発用DVDの作成をしたことも報告しました。
 今年度の事業に関しては、第39回の北方領土の返還を求める都民大会を、令和4年2月1日に開催する予定となりました。また、昨年に引き続き啓発・宣伝活動等を実施すること、関係団体と連携を図り、返還要求を推進し、北方領土問題への理解を深めるよう努めることを事業計画(案)として確認しました。
 改正の概要については、規約に総会及び理事会にかかわる書面開催について明文化されていなかったため、5条に総会開催が困難である場合の特例、6条に理事会開催が困難である場合の特例の条文を新設しました。
 以上審議事項について、承認されました。
 画面もハッキリと、声もよく聞こえて、明るく充実したオンライン会議となりホッとしました。
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■国民不在の東京五輪
リスク評価せず開催か
ワクチン行政の立ち遅れ

 新型コロナの研究機関として名高い、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学では、「開催国の70%以上の人がワクチンを打ってから五輪は始めるべきだ」と提言しており、横浜市大の奥田研爾名誉教授(ワクチン研究)は「私も同感で医学的な観点から五輪は中止すべきであると思います」と提言しています。
 国内の感染症専門医たちも、異口同音にワクチン接種によって、国民に抗体ができるのは冬頃になる。接種開始が大幅に遅れたために、オリンピックには間に合わないと明言しています。
 全国各地で職域・年齢など、対象を拡大して輸入ワクチンの接種が懸命に進められているものの、「もし五輪開催を強行すれば、感染力が強いデルタ株(インドなどの変異株)による感染が拡大する可能性が高いのではないか」という私たちの「命の不安」は日増しに大きくなっています。東京五輪開催をめぐる世論調査では国民の意見は分かれていますが、反対意見が4〜5割を占めており、もし政治的に強行するならば国民不在の開催です。

東京都の東京五輪のリスク評価は

 厚労省の専門家会合に新たに提出された京大・国立感染症研究所などの患者数の試算でも、「五輪を観客ありで開催した場合、7月23日の開会から8月下旬までの都内の新規感染者数が、無観客と比べ最大1万人増える可能性があり、変異株の広がりによっては、さらに悪化することもある」と指摘されています。
 全国的な感染拡大により、100以上の自治体では、住民の生命を守るために東京五輪の聖火リレー、ホストタウンとしての事前合宿や交流事業の中止を余儀なくされる異常事態になっています。ボランティアの辞退も一万人に上りました。
 しかし小池知事は「人流を少なく」を繰り返すのみで未だに開催地としての開催の有無、開催の場合その方法、感染拡大リスクの評価などを都民に説明していません。パブリックビューイングの中止表明が都内や近隣自治体から相次ぐ中でも、都民・国民への差し迫った東京五輪への自らの政策説明はありません。

国のリスク評価は
安心・安全の常套句のみ


 一方国会の党首討論で五輪開催のリスク評価を聞かれた菅総理は、重要な質問に答えず、1964年の東京オリンピックについて自ら体験した感動話で時間稼ぎをして、安心・安全を唱えたに過ぎませんでした。
 国内は新型コロナ患者の病床逼迫、隔離ホテルから病院へ入院出来なかった方々、病院にもホテルにも入れずに亡くなった患者が多数おり、まさに日本の非常事態です。
 政府の分科会尾身会長が「今の状況で(オリンピックを)やるのは普通ない」と述べたとおりではないでしょうか。
 パンデミックの中で各国から来日するおよそ10万人とも言われる選手と関係者が、PCR検査やワクチン接種を受けているか、検査に引っかからず無症状の人、マスク、手洗いなど公衆衛生に対する彼等の価値観も百人百様でしょう。大会選手や関係者個々の行動まで把握できるのでしょうか。いわゆるバブル方式で選手・関係者を外部と遮断する方法を検討しているそうですが、選手村以外の予約済ホテルをはじめ、主催者は国民の安全に資するリスク評価の説明義務があります。
 普通の暮らしを求める国民には、今以上のコロナ感染リスクを外から持ち込まれては迷惑であり、お客様は平常時に大切に歓迎したいのが本心です。
 国民不在の「開催ありき」となる前に、今こそ過剰な商業主義に対する反省、SDGsの視点からも、オリンピックの原点への回帰が求められているのではないでしょうか。
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■住宅リフォーム・紛争処理支援センター
令和3年度第1回運営協議会
 令和3年度の第1回運営協議会が6月3日オンラインで開催されました。議題は@令和2年度助成金使途報告書の審査について、A令和2年度住宅紛争処理支援センター事業報告及び収支決算について、B住宅紛争処理支援センター支援等業務規程及び令和3年度事業計画の変更認可申請についてでした。
 報告事項その他、国土交通省より、住宅品質確保法及び住宅瑕疵担保履行法の施行状況等について、国土交通省の担当官より説明がありました。その後議題に入りそれぞれの担当職員から説明を受けました。
 建築関係の難しい言葉もあり、聞き逃さないようにするのも慣れないリモートでは大変です。センターも新型コロナウイルス感染症の影響を受け、思ったように事が運ばないところもあって、なかなか運営が厳しいようですが、職員の方々も頑張っていらっしゃる様子でした。
 私はこの運営協議会のメンバーになって三年余りになりますが、参加するまではこのような協議会があることを知りませんでした。消費者として、大きな購入となる住宅やリフォーム工事に問題が生じた時、電話出来る「スマイルダイヤル」のあること、そして弁護士の方々もメンバーとして参加し、相談を受け付けています。
 私もメンバーの一員として、もっと多くの人々に住宅リフォーム・紛争処理支援センターの存在お知らせする事が大事な役目だと思いました。
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■地域ニュース
記念講演 消費者の日
わか草婦人会


 5月29日、葛飾区ウィメンズパルにて消費者の日特別講演会が開催されました。講師はタレントの毒蝮三太夫さんです=写真。
 緊急事態宣言下での開催ということで、区消費者センターと谷茂岡会長との連日の協議の末、開催にこぎつけました。
 青木区長より、「消費者として賢い生き方を学んでいってほしい。区の感染状況も少しずつ落ち着き、高齢者のワクチン接種も12・6%と、他区より進んでいる。さらに加速させていく」と報告がありました。
 谷茂岡会長からは、「感染拡大防止ガイドラインに沿い、検温、消毒、ディスタンスを守り、収容率も50%以下を遵守しての開催に至った。毎年著名な講師を招いた特別講演会では、葛飾区で先駆け、持続して取り上げているテーマ、『まむし流騙されない賢い生き方』を参考にしていきましょう」と挨拶しました。
 毒蝮三太夫さんは85歳。とてもお年には見えません。昭和44年から続いているラジオのパーソナリティとしてご活躍され、今年で52年目に突入というから驚きです。「いつもはジジイ、ババアが佃煮みたいに詰まっている所で話しているが、今回は少し雰囲気がえらいお通夜みたいだ」などとお馴染みの毒舌トークでスタートです。
 「今はコロナ禍でマスクに帽子、顔が見えない。意思の疎通がとりにくく、無用な諍いが増えた気がする。人生100年時代というが、“年寄り”に長寿が楽しいかと聞くと、答えに詰まる人が多い。歳をとっても楽しいという時代にしなければと思う。今の“年寄り”は子供たちに気を使って生きている。“年寄り”に親切な世の中にと思う。“年寄り”も自分のことは自分でやる。よく喋ることが大事。女性は身近に自分より10歳以上年上の見本になる人を見つけ、見習うこと。今は男性の行く所が無く、引きこもりが増えている。せめて夫婦は仲良く互いに感謝の気持ちを言葉で示すことが大事。言わぬが花は昔のこと。私も奥さんにはマメに感謝の言葉を伝え、時には手紙をポストに投函したりもしている」と話しました。毒舌の裏にきめ細かい心遣いも忘れない方の様です。最後は「正直者が馬鹿をみない世の中をつくろう」と結ばれました。
 気軽なトークで、笑いあり、感心したりとコロナ禍で塞ぎがちな皆さんも、楽しいひとときを過ごされたことと思います。
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■この夏の電力は大丈夫か
 大規模停電などの深刻な問題を防ぐには、電力供給の「予備率」としては最低限でも3%は欲しいといわれています。
 電力広域的運営推進機関(通称広域機関)の見通しでは、この夏の供給力はかろうじて確保できるが、北海道と沖縄を除くエリアでは「予備率」が7月は3・7%、8月は3・8%で、ここ数年で最も厳しいとしています。
 電力システム改革の途上で発生する供給力不足の背景としては、自由化が進み従来の大手の需要が減少したことや、卸市場価格が低迷したため、経年劣化した火力発電所の維持が難しくなったことなどが、挙げられています。
 経済産業省では広域機関による「予備率」の見通しを受けて、この夏のみならず冬の対策などについて、電力供給の安定化を目指しさまざまな角度から検討を開始する模様です。
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