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■2023年1月1日付
東京地婦連2022年度 第1回ブロック会議開催 地球温暖化対策を見学
鶏卵公正取引協議会と消費者団体との意見交換会
北方領土返還要求中央アピール行動
令和4年度 全国女性団体連絡協議会 関東ブロック会議
令和4年度第2回 住宅紛争処理支援業務 運営協議会
食の安全安心についての意見交換会
 テーマ 低温調理の今を聞く!『そのお肉料理、安全ですか?』


■東京地婦連2022年度
 第1回ブロック会議開催
 地球温暖化対策を見学
館員から説明を聞く参加者
 小春日和の11月10日、「木材・合板博物館」と「東京スイソミル」を訪れ、地球の温暖化対策を巡る研修を行いました。久しぶりの移動学習です。

木材・合板博物館

 最初の見学先は、リーフレットに「木を使って地球を救う!?」と明記された新木場の「木材・合板博物館」でした。
 館員のお話ではコロナ禍による輸送の滞りに加えて、ロシアのウクライナ侵攻が開始されてからは、制裁のためロシア産建材が入荷せず、わが国の住宅建材は品不足で、二重のウッドショック状態にあるそうです。
 温暖化対策の樹木の効用としては、管理された森では排出された炭素を固定することが期待され、切り出された材木のおよそ半分が炭素と推定できるそうです。成長の早いインドネシア材は、植林後5年で伐採できるまでに生育するとの話でした。私たちは色々な樹種の特徴を伺い重さや用途、色、手触りの違いなどを触って実感しました。
 また、ほのかに木の香が漂うなかで、合板の原料になる丸太を「大根のかつらむき」のように剥ぐ機械(ロータリーベニヤレース)の実演を見学し、それぞれ学びのひとときを過ごしました。
 合板には「薄いベニヤ板」のイメージがありましたが、今日ではスギ、ヒノキの間伐材や小径材、曲がり材などを無駄にしない、世界初の技術で「分厚いベニヤ(単板)」を製造できるようになり、木材利用は進化しています。
 丈夫で付加価値の高い「構造用の合板」、通称LVL(単板積層材)の角材などがすでに製品化され活用されています。昨今では技術的に広い間仕切り壁による間取りの住宅をはじめ、木造のビルを建設することも可能になったということでした。
 かつて合板のホルムアルデヒドなど、接着剤による化学物質過敏症が社会問題になりましたが、お尋ねすると「新たな接着剤ができており、合板の化学物質問題はほぼ解決できたと考えている」という嬉しいコメントが帰ってきました。
 来館者用工作スペース、木のおもちゃコーナーなどを一通り見学し、玄関に戻ると堀江謙一さんの若き日の太平洋横断ヨット、マーメード1号のレプリカがありました。改めて木製ヨットの強じんさと、若き日の堀江謙一さんに敬服するとともに、70歳を過ぎて再チャレンジし成功されたことにも思いを馳せて、博物館をあとにしました。

江戸時代の木場の風景
東京スイソミル

 お昼は深川不動尊近くで名物の深川めしをいただいて、東京都環境公社の「水素情報館・東京スイソミル」へと向かいました。わが国のエネルギー問題の解決に繋がると注目されている水素を知るための訪問です。
 最初に2階の講義室で、水素は長時間大規模に貯蔵できそこから電気や熱も取り出せること、わが国では2009年から家庭用のエネファームが実用化され、その後トヨタ車、都バス、ハルミフラッグ(晴海の集合住宅)へも水素の導入が進められつつあること、都知事が2019年に「2050ゼロエミッション東京」を宣言されたこと、水素発電の高いコスト問題など、水素導入をめぐる国や東京都の状況説明がありました。
 また水素が地球上で一番軽く無色無臭で、マイナス253度まで冷やすと液体になる(運搬できる)、様々な物質から取り出せて、特に再生可能エネルギーから取り出せる「グリーン水素」、その他にもメタン、天然ガス、原子力からも取り出せる魅力を伺いました。
 オープンライブラリーでは、「水素エネルギーを発電する際には二酸化炭素ではなく水を出す」という、自転車を使った水素発電の装置を見学しました。自転車をこぐと、水素が発生し豆ランプが灯り、ミニ扇風機が回りだして水が出てくる仕組みで、温暖化対策としてのCO2を排出しない水素の魅力が分かります。
 1階ではキャラクターとクイズを楽しみながら「水素エネルギーの可能性」、水素によるスマートハウスなど「水素社会の今」「水素社会と私たちの未来」などを学びました。
 屋外にはCO2を一切出さない、水素と酸素の化学反応で発電しモーターを動かす「燃料電池自動車」が展示され、非常時には車からの家庭用電源になる「外部給電器」も設置されていました。
 水素のパワーで大型車も走るそうですが、補助金は付いても普通車の価格は約800万円、スイソミルのお隣には水素スタンドがありましたが、全国で172カ所(都内23)というのが現状と伺い、燃料電池車の普及には歳月を要することが分かりました。
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■鶏卵公正取引協議会と消費者団体との意見交換会
養鶏をめぐる情勢について再認識

 令和4年12月6日、馬事畜産会館において、鶏卵公正取引協議会と消費者団体との意見交換会が行われました。出席者は鶏卵公正取引協議会から会長をはじめ10名の方々、消費団体からは主婦連合会、消費科学センター、東京地婦連の3団体が出席しました。
 鶏卵公正取引協議会会長のあいさつの後、鶏卵公正取引協議会について、@一般消費者の自主的・合理的選択A事業者間の公正な競争を確保するために鶏卵表示の適正化を図るのが目的で、公正取引委員会より認定された「鶏卵の表示に関する公正競争規約」に基づき平成21年に設立された事業者等の団体であることをはじめ、協議会設立の背景、協議会の行う事業、規約・施行規則の構成などについても説明がありました。
 規約・施行規則の構成の中で表示に関係する法律・規則との関係性については、@食品表示法・表示基準はJAS法(品質)、食品衛生法(安全)、健康増進法(健康)に定められています。Aパック詰の規格についても容器包装詰め加工食品、鶏卵など生鮮食品、添加物が対象です。鶏卵規格取引要綱、パック詰鶏卵規格、種類(SS〜LL)、卵重区分基準(40〜76g)、等級基準、箱詰など、格付け責任者より詳しい説明がありました。
 鶏卵を巡る情勢については96%の自給率があるそうで、残りは卵粉で輸入しているそうです。また、殻つき鶏卵が香港へ輸出されているとのことでした。鶏卵の価格問題、肥料価格高騰対策、鳥インフルエンザの問題などの基礎知識について、知ってるつもりでも改めて伺い再認識しました。
 その後質問、意見交換が行われました。その中で鳥インフルエンザについて、発生して殺処分した生産者はその後どうなるのでしょうかの質問に対し、国から補償があり一羽あたりの金額が決まっていたり、保険もあるそうです。
 アニマルウェルフェアについても質問がありましたが、まだ検討中とのことです。私たちにとってとても身近な食品だけに、トレーサビリティー他たくさんの意見が出されました。時間を超過しての意見交換となりました。
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■北方領土返還要求中央アピール行動
北方領土返還要求中央アピール行動
3年ぶりの開催―集会と行進

 北方領土隣接地域振興対策根室管内市町連絡協議会(北隣協)から12月1日(北方領土返還要求の原点の日)に、3年ぶりとなる集会と「アピール行進」への参加依頼がありました。
 北方領土の返還を求める都民会議(会長・谷茂岡正子)からは地婦連2名を含む16名が参加、全国各県から約500名が集合しました。
 日比谷公園野外音楽堂集会の後、鍛冶橋交差点まで約1・6キロメートルを“国後島をかえせ”“択捉島をかえせ”“色丹島をかえせ”“歯舞群島をかえせ”と声を張り上げながらアピール行進をしました。
 我が国固有の領土である北方四島の早期返還実現を目指したいと思います。
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■令和4年度 全国女性団体連絡協議会 関東ブロック会議
瀬地山角氏の講演
 令和4年度全女会関東ブロック会議が、11月30日、埼玉県さいたま市中央区新都心のホテルブリランテ武蔵野にて、「男女共同参画で持続可能な社会の実現へ」をテーマに開催されました。主催は、全国女性団体連絡協議会、埼玉県地域婦人会連合会です。
 持続可能な社会が求められるなか、コロナ禍にあって、ウクライナにロシア軍が侵攻してはや半年以上となり、世界は非常に不安な状況に陥っています。我が国日本においても、少子高齢社会のなかでAIが生活に便利さをもたらした半面、地域の連携は薄くなっています。一方、依然として北方領土はロシアによって不法占拠されたままです。我が国に多大な影響を及ぼす台湾をめぐる状況は、中国・ロシアとの関係もあり、緊張が高まっています。食料その他物品の値上げ・品薄も顕在化して、複雑多岐に渡る課題が山積みです。
 このような歴史の転換点に立つ「今」を乗り切り、持続可能な社会を次世代にバトンタッチするためには、何といっても男女共同参画が不可欠です。日本の中心地である関東ブロック婦人会、女性会のメンバーがここ埼玉に集い、今後の活動についての認識を共有することは重要な節目といえましょう。SDGsの理念と地域特性を活かし、それぞれの地域の未来を築いていくことを開催の趣旨としています。
 オープニングは、澤田智恵さんのヴァイオリン、ユーリー・コ・ジェバトクさんのピアノ、五十嵐健太さんのサクソフォンによるウクライナ支援ミニコンサート、開会行事、全地婦連の歌。主催者あいさつは全女会高村里子副会長、埼玉県地婦連柿沼トミ子会長、来賓祝辞は埼玉県の高柳三郎副知事、県議会・中屋敷慎一議長、教育委員会・高田直芳教育長です。
 記念講演は瀬地山角氏による「皆で明るく考えよう!家庭のこと、地域のこと、未来のこと」。
 10年間2人の子どもの保育園の送迎を一手に担い、今でも毎日の夕食作りを担当する、ジェンダー論の研究者。子連れで渡米し、父子家庭も経験、NPO法人の理事として保育所の運営にも参加している方でした。
 その後閉会行事、次期開催地の東京地婦連よりあいさつがあり、続いて全女会櫻井よう子会長のあいさつで閉会となりました。
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■令和4年度第2回
 住宅紛争処理支援業務 運営協議会
 住宅リフォーム・紛争処理支援センター主催の「令和4年度第2回住宅紛争処理支援業務運営協議会」が11月8日に開催されました。そのあらましです。
(1)議事
 @令和4年度期中助成金の請求について
 A改正法全部施行前2号保険付き住宅に係る期中助成金の請求への対応について
 B令和5年度助成金使途計画書等の作成・提出について
(2)報告事項その他
・改正法全部施行への対応状況について
・令和4年度事務職員研修及び紛争処理委員実務研修の実施結果について
・令和4年新任委員研修の計画について
・紛争処理委員用情報サイトの利用状況等について
・インボイス制度への対応について
・令和4年度全国住宅紛争処理機関連絡会議の開催について
 今回は19名の委員と主催の職員の出席で開催されました。それぞれの項目について担当の職員から説明を受けた後に質疑応答がありました。約2時間にわたり会議は続けられ、全員の賛成で議案は可決されました。
 公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターという財団については多く人たちに馴染みが薄いと思われますが、住宅購入やリフォームに関してトラブルや不安をかかえる消費者等が技術的な問題から法律的な問題まで幅広く相談できる組織です。住宅の困った事を相談できる「住まいるダイヤル」を開設しています。そして専門分野の方々の、住まいの困ったことに対応してくれる国土交通大臣指定の相談窓口があります。
 協議会は年度内に数回開かれ、専門家の方々と共に消費者として参加させていただいています。専門家の意見だけでなく消費者の要望や意見を届けています。多くの人たちに、この財団を知り必要に応じて活用していただければと思います。
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■食の安全安心についての意見交換会
 テーマ
 低温調理の今を聞く!『そのお肉料理、安全ですか?』
 葛飾区保健所とわか草婦人会の年に一度の意見交換会が、11月25日に葛飾区ウィメンズパルで開催されました。
 講演テーマは「低温調理の今を聞く!『そのお肉料理、安全ですか?』」。講師は麻布大学獣医学科公衆衛生学第二研究室教授の森田幸雄先生です。
 事業者の取り組みについては「食肉の栄養について」をテーマに、東京慈恵会医科大学葛飾医療センター栄養部係長の福士朝子氏です。
 谷茂岡会長のあいさつに続き、早速森田先生の講演です。
 低温調理は一般的に食品(食肉)を袋に密封し、摂氏60度前後の比較的低温で湯せんする調理で、やわらかくてジューシーな料理ができるが、カンピロバクター食中毒などのリスクが伴う。低温調理は摂氏10度〜65度では菌が増殖、見た目で火が通っているようでも、加熱時間をしっかりと十分過ぎるくらいの加熱が必要。そのためには食肉の厚さを薄くすることや、食肉の表面を内部に巻き込まないこと。また、サルモネラ菌は食品で増殖し、鶏や豚の腸管内をすみかにしているそうです。そのため賞味期限が過ぎた卵は生のままで絶対に食べないこと。卵黄には多くの菌が増殖しているので、しっかり加熱するように。
 森田先生は、「科学的な根拠を背景とした生活を!つけない、ふやさない、やっつける(加熱)を実践し、食中毒予防が大切です」と結びました。
 私は小学校5年生の時に、父親が持ち帰った宴会の折詰を食べて食中毒を起こし、3日間で治りましたが、祖母は亡くなってしまいました。それから家族は食べ物に敏感になり、調理には気をつけているつもりですが、今回のお話を聞いてこれからも手を抜かず、加熱には十分注意しようと思いました。
 福士先生の「食肉の栄養について」ですが、肉を適量に食べること、3食のうち2食は肉や魚をメインにするといい、肉は赤肉(牛、豚、羊)タンパク質やビタミンB、鉄、亜鉛が豊富で健康維持にとって有用な成分がたくさん含まれている。肉などの摂取が少なすぎると脳卒中のリスクを高めてしまうそうです。加工肉は脂肪や塩分、添加物に注意が必要であるとのこと。そしておいしく、楽しく、健康にとお話ししてくださいました。
 我が家の冷凍庫にはインスタント食品が入っています。これからは手間を惜しまずしっかりと手料理を、と思いました。
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