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■2023年4月15日付
東京地婦連第2回ブロック会議 日本のミルクの今を議題に
東京地婦連中央集会
第五福竜丸展示館 植樹桜のお花見 わか草婦人会
私たちの暮らしを支える 標準化セミナーを開催
有機フッ素化合物汚染 アメリカ政府の対応は
第74回結核予防全国大会 日本 2021年に低まん延国達成
葛飾区消費者大学連続講座 「最近の消費者被害の傾向」
知って安心!〜遺言・任意後見〜 わか草婦人会


■東京地婦連第2回ブロック会議
 日本のミルクの今を議題に
山崎将至さんの講演を聴く参加者
 コロナ禍による牛乳の消費低迷は長引き、その上ウクライナ戦争、円安も影響して、わが国の酪農を取り巻く状況は悪化しています。
 そこでこの問題を取り上げ3月20日の午前に、牛乳のサプライチェーンの酪農家・乳業メーカー、それに小売店など牛乳販売者から構成される、一般社団法人Jミルクより生産流通グループ部長の山崎将至さんを講師に招いて、学習会を開催しました。

山崎将至さんの講演
酪農はコロナ禍と経費増で経営難に


 山崎さんによれば生乳は国内で最も消費されている食品であるけれども、生乳を生み出すのは搾乳までに3年を要する乳牛であり、生きものゆえに需給調整が難しいことをはじめに話されました。
 さらに酪農家は飼料の大半を輸入に頼るため円安が経営を圧迫し、配合飼料を発酵させるためにはエネルギーを使うので、電気代の高騰が直撃する。牛舎には耐震基準があるため建築費もかさみ、高額な機械の導入費用も大きな負担になっているなど昨今の状況を説明されました。
 生乳の特徴は、まずは冷やさなければならない貯蔵性の低さと、牛乳・乳製品として多様な用途に姿を変えることです。コロナ禍で学校給食の占めていた牛乳の消費量(全体の1、2割)が減り、レストランや食堂など飲食業界の需要も減少し、その上物価高騰で生乳の約5割を占める市販の牛乳価格が上がり、私たちの消費量が低迷する、などの事態も起こっています。
 余剰分はバターや脱脂粉乳などに姿を変えているそうですが、お菓子などに以前よりもたくさん使用してもまだまだ需要よりは供給の方が多いため、在庫の大変さから国は乳牛の頭数削減策までいいだす始末です。
 経営が悪化して酪農を辞めるという報道が流れ、搾乳できる牛を減らすために、酪農家の中には老いた牛を早めに国産牛肉として出荷する傾向があるという話です。
 私たちの健康に欠かせない牛乳・乳製品です。生産者の苦悩を思い、生きものゆえに需給調整が難しいことを伺い、私たちの消費行動で事態を改善できる方法はないでしょうか。
 山崎さんの所属するJミルクでは、牛乳の消費拡大のために「給食のない土・日は、おうちで牛乳を飲もう」と呼びかけています。
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■東京地婦連中央集会
2022年度中央集会
 第二回ブロック会議に続き、午後は2022年度中央集会です。
 まず、昨年11月開催の第一回地球温暖化対策関係の移動学習について、須さんより報告がありました。その骨子です。
 最初に訪れた木材・合板博物館では日本で生まれた合板の技術、丸太を「大根のかつらむき」のように剥ぐ機械(ロータリーべニヤレース)により、間伐材や曲がり材からも分厚い合板が生産できるという説明等を伺いました。
 続いては東京スイソミルです。未来のエネルギーと期待される水素は、長時間大規模に貯蔵でき、様々な物質から取り出せて電気や熱エネルギーになります。脱炭素化の有力な手段ですが、本格導入には歳月が必要なことが分かりました。
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■第五福竜丸展示館
 植樹桜のお花見
 わか草婦人会
谷茂岡会長を囲んでお花見
 3月31日、わか草婦人会で、夢の島にある「第五福竜丸」展示館の庭に東京地婦連が植えた八重紅大島桜のお花見に行ってきました。
 23年前、第五福竜丸のエンジンが3年の時を経て船のそばにもどってきた記念にと植えたものです。4年前にはサトザクラも植樹しました。お花見を始めた当初は、4月8日頃にお花見を予定したのですが、4月に入っても寒くて、震えながらお花見をしたことを覚えています。
 当日は、車で到着後に、第五福竜丸館長の安田和也さんから桜の状態等を話していただきました。専門の方にみてもらったら、八重紅大島桜は大きく枝を広げて咲いていて、何の問題もなく育っているとのことです。
 サトザクラはこれから咲きますが、こちらも心配ないとのこと。虫にやられていないか心配もしていたのですが、安心しました。
 唯一の被爆国である日本、戦後にも原爆による症状で大勢亡くなった事実を忘れてはいけない、後に残る人たちに伝えていかなければという思いでいっぱいになりました。
 それにしても最初のお花見が22年前だということに時の流れを感じました。
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■私たちの暮らしを支える
 標準化セミナーを開催
標準化セミナーで講義する
阿部裕治さん
 経済産業省から委託された、一般財団法人日本規格協会が行う「標準化セミナー」は、消費者に対するJISの普及啓発活動で、全女会が受託しています。
 東京地婦連は2月10日に葛飾で、この標準化セミナーを開催しました。そのあらましです。

 講師は日本規格協会の阿部裕治さん、1945年に創立された協会は日本産業規格(JIS)・国際規格(ISOなど)の開発と、標準化の普及事業を行っています。
 JISの開発については、経済産業省・業界団体・消費者団体・試験機関や大学などの中立組織とのバランスを取りながら、協会が実施しており、東京地婦連も長年にわたり参画しています。

標準化と規格とは

 阿部さんは私たちの身の回りには家電品、文具、日用品など約1万の標準化されたモノがあることを紹介され、お米の計り方を例に、「標準化とは地域や人により升のサイズが異なる無秩序な状態から、合意形成により、秩序ある取り決めが確立する過程を指し、その取り決めを文書にしたものが規格になる」と、標準化と規格について説明されました。
 関係者の協働によりJIS規格を制定し、全国的に統一、または単純化することで@互換性を確保、生産効率の向上を図るA品質を確保するB安心・安全の確保や、消費者保護を図るC環境を保護する、またDアクセシブル(だれにも簡単に使える)デザイン化E注意を促す案内標識等の普及まで、標準化と規格の意義は大きいものです。
 消費者安全のためのJISには、「子供用衣料に付属するひもの安全性」「隙間・開口部の身体挟込み試験」などがあり、消費者の暮らしの声を反映しています。

JISはサービス分野へ

 容器包装の環境配慮設計は軽量化に寄与しています。容器包装リサイクル材を用いた再生樹脂の荷台などもJIS化されました。
 阿部さんによれば「これからのJISはモノからサービスへ広がり、マネジメント分野やデータ分野の標準化も充実していく方向」です。案内ロボットや介護ロボットなどを運用する業者に対して安全性の確保を求めた規格がサービス分野のJIS第一号だそうで、レンタルされやすい車椅子、介護用ベッド、床ずれ防止用具、手すり、歩行器、歩行補助杖など介護に必要な、貸出福祉用具のメンテナンス工程の管理も規格化済みだそうです。
 まだまだ拡大するJIS、講義の結びとして、私たちの暮らしを支えているJISには消費者の声が必要、と強調されました。
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■有機フッ素化合物汚染
 アメリカ政府の対応は
 昨年沖縄や神奈川の米軍基地周辺の川、地下水などで、国の暫定目標値を超える有機フッ素化合物の汚染が明らかになり、確認したところ、PFOS(ピーフォス)、PFOA(ピーフォア)と呼ばれる有害物質でした。「二種の合計が1リットル当たり50ナノグラム」というわが国の暫定目標値を超えていました。
 これらは有害な化学物質を国際的に規制する「ストックホルム条約」で、ピーフォスは2019年に一部を除いて使用出来なくなり、ピーフォアは製造、使用、輸出入が原則禁止されています。なお有機フッ素化合物は、総称でPFAS(ピーファス)とも呼ばれているそうです。
 日本の環境省は1月30日「PFASに対する総合戦略検討専門家会議」を立ち上げ、厚生労働省と連携して、水質の目標値等の検討を始めました。一方報道によれば、アメリカ環境保護庁(EPA)の新たな規制案では、「ピーフォスとピーフォアは1リットル当たり各4ナノグラム」とされており、現在の日本の暫定目標値と比べ、かなり厳しい規制案です。今後の動向を見守りたいものです。
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■第74回結核予防全国大会
 日本 2021年に低まん延国達成
災害医療の現状と展望について
講演する笠岡俊志教授
 2月14〜15日、第74回結核予防全国大会が、熊本県のホテル日航熊本で、結核予防会総裁秋篠宮妃紀子殿下のご臨席を賜り盛大に開催されました。テーマは『結核対策の「今」〜災禍を乗り越えて〜』です。
 新型コロナウイルス感染症の影響が続いていることもあり、各支部2人を参加人数の上限としての開催でした。
 第1日目は、結核予防会全国支部長会議から始まり、昼食後に「結核低まん延:地域で取り組む対策」をテーマとして研鑽集会を行いました。基調講演は、熊本大学病院災害医療教育研究センターの笠岡俊志教授を講師に、「感染症(新型コロナ等)を含めた災禍時の医療」についてでした。
 第2日目は功労賞受賞者写真撮影、大会式典等が行われました。
 総裁のお言葉にもあった通り、2021年にやっと「低まん延国」の達成となりましたが、これからも依然として重要な感染症のひとつであることに変わりはありません。取り組みを続けていきたいと思っています。
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■葛飾区消費者大学連続講座
 「最近の消費者被害の傾向」
 3月8日、葛飾ウィメンズパルにて今年度3回目の葛飾区消費者大学連続講座が開催されました。
 講師は東京経済大学現代法学部教授で弁護士の村千鶴子さんです。
 「最近の消費者被害の傾向”高齢者被害を中心に”」のテーマで話を聴きました。
 東京都、国民生活センターに寄せられた、最近増えている消費者被害の手口が紹介されました。
 高齢者の被害は2022年度も若者被害に次いで増加傾向にあるそうです。なかでも認知症の方の被害は潜在化が疑われ、実際の被害件数はもっと多い可能性があるとのことです。
 訪問勧誘、電話勧誘の被害も多く、被害金額が高額になる傾向にあり、年金・判断力の低下等が要因で狙われるようです。最近では「暮らしのレスキュー」タイプの詐欺被害が多発しているとのこと。トイレの詰まり、鍵の紛失、害虫の発生等。トイレや水回りの故障は急を要するためスマホ等で検索し、格安の業者に依頼、すぐに来て対応してくれるが、ホームページの表示とは違い高額請求されるケース。ホームページの表示はおとり広告の可能性があり、作業の前に見積をとって納得の上で契約をすることが大事で、トラブル防止になる。そのほかにも訪問による屋根や外壁の点検商法により、不必要な工事を高額でさせられるケース、また、最近の新手の被害は、テレビの通販番組で購入の電話をすると別の商品を勧誘され、契約、購入してしまうケース。
 現行法では「通信販売」として処理され、不意打ち的な取引としての規制が及ばないが、2023年6月からは「別の契約の勧誘」行為は「電話勧誘販売」として規制されることになり、8日間のクーリングオフ制度の対象となるそうです。消費者にとってうれしい改正です。
 高齢者の被害を防ぐためには、家族やヘルパーが日ごろから気にかけ、見守りが重要とのこと。被害が発生してからでは遅いので、消費者安全法に基づいて設置した、地域安全確保協議会(見守りネットワーク)等により、未然防止に繋がればと思います。
 見守りのためにも自分自身のためにも、常に変化し続けている悪質商法の「最近のトレンド」を知ることが被害を防ぐのに大事なことだと思いました。
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■知って安心!〜遺言・任意後見〜
 わか草婦人会
 2月21日、葛飾区消費生活センターで、テーマ「知って安心!〜遺言・任意後見〜」を、講師の葛飾公証役場公証人の白石葉子さんからお話しいただきました。
 これからの日々を安全で安心に過ごしていくためにと、わか草婦人会も参加しました。
 まず、「遺言」は遺言者の有する不動産、預貯金、動産と一切の財産を、残された者が困らないように家族関係や状況を考えて、ふさわしい形で継承させることです。
 遺言は法律で定める方式で、遺言が効力を発揮するのは遺言者の死後になります。民法の遺言は原則として、自筆証書と公正証書の2つの方法があり、最も簡単なのが自筆証書で、いつでもどこでも書けるメリットがあるが、方式違反で無効になってしまうデメリットもあるようです。また、公正証書は遺言能力などの法的問題がメリットで、デメリットは費用面とのことです。
 「遺言がない」と、民法が定めた相続割合によって分割しなければならない。公平に分けてもらえれば良いが、話し合いをもつこと自体が大変で、分割協議で解決しなければ預貯金の払い戻しや、相続税にも影響がでる。最後は家庭裁判所で審判、調停をすることになるとのこと。「任意後見」とは、生きている間に財産を守り、自分が安全安心に過ごすためのもので、判断力を失う前に、任意後見人を自分で選び、財産管理で身上監護の事務を定めておく。法律上成人であれば子や兄弟、友人も可であり、見守りができる方であることが必要。本人の判断能力が不十分になったあと、任意後見人が事務等を本人に代わって行うこと。
 話を聞きながら亡くなった友人を思い出しました。友人のお父さんは早くに亡くなり、お母さんが独り暮らしで2年前に亡くなり、友人が聞いたことも見たこともない兄の存在が突然発覚。遺産問題で調停協議、解決もなく、友人は疲れたのでしょう、心臓麻痺で急逝してしまいました。やはり、しっかり考えて子どもたちのためにもこれからの日々を安心に過ごしていくには遺言は大事であることを熟思しました。
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