婦人時報は年間購読料1800円(送料込み)です。購読希望の方メールで申込できます。

■2024年7月15日付
機能性表示食品サプリメントは製造管理義務化へ
医薬品不足は今も続く
環境省PFASの全国調査を開始
消費者の日特別講演会 「まむし流!100年時代・愛される年寄りになる極意とは?」
消費者被害防止駅前キャンペーン 詐欺被害防止グッズを配布
輸入食品の安全性は
食品ロス発生量目標達成


■機能性表示食品サプリメントは製造管理義務化へ
 小林製薬の紅麹サプリ事故による重大な健康被害への対応策として、政府は機能性表示食品に対し、健康被害情報を受けた場合、製造・品質管理事業者に速やかに消費者庁や保健所などに報告をさせるとともに、GMP(適正製造規範)の認証に基づく製造管理を義務付ける方針を出しました。GMPは、原料の仕入れから製造、製品の出荷までの製造管理や品質管理の基準で、医薬品並に機能性表示食品にも拡大する方針です。事故後の対策とはいえ、消費者には再発を防ぐためにこの措置が待たれます。

小林製薬の2工場から青カビが

 日本腎臓学会が行った事故製品のサプリメントを摂取した人についての調査では、腎臓の機能が低下するファンコニー症候群が多数の人に見られ、厚労省の今までのラットの実験では、サプリ原料のサンプルから検出されたプべルル酸を投与したところ、尿細管の壊死が確認されているそうです。
 プべルル酸は青カビが作り出した化合物で、不衛生だった小林製薬の、大阪市と和歌山県の工場から検出されました。

健康被害通報と行政への報告

 氾濫する機能性表示食品には消費者の健康や生命へ影響を及ぼす危険性が潜み、この紅麹サプリの事例では、事業者は医師から通報を受けても、行政への報告が2カ月も遅れたために、継続利用者から多数の死者を出す深刻な事態を招きました。
 事業者には医師からの情報はもとより、消費者からの健康被害の問い合わせ情報についても行政へ報告をする、真摯な受け止め方が求められています。健康被害確認や、原因究明に時間を浪費して製造・出荷の停止・製品回収が遅れることの無いように、機能性表示食品の事業者には、GMP認証導入とともに問題発生時には報告を行い、消費者被害の拡大防止のためにCMを中止し、製造物責任を果たす実行力が問われています。

問われる食品安全行政

 食品安全行政には先ずは事後策のGMP認証義務化の実行とともに、10年前食品安全委員会が「ヨーロッパの厳しい紅麹サプリ対応」情報を知りホームページに掲載したにもかかわらず、活かせなかった「致命的なミス」の検証と、テレビCMなどサプリメントの不当表示規制が喫緊の課題でしょう。
▲back
■医薬品不足は今も続く
 新型コロナウイルス感染症は、昨年からインフルエンザ並の扱いになりましたが、変異ウイルスは5年目の今も生き延びて、コロナ専用病床がない中で感染者が自宅療養で亡くなったり、長期間後遺症に苦しむ事例も増えている模様です。昨今ではあらたに劇症型溶連菌などの感染症も発生しています。
 昨秋、コロナとともにインフルエンザが流行して、新たな医療危機といえる「医薬品不足問題」が起こりました。街の薬局はもとより、医療機関が処方する咳どめ・たん切り・解熱鎮痛剤などの調達がままならず大変困っている事態が明らかになり、生命に係わる問題として、これが重大な消費者問題であることを、私たちは本紙で指摘し解決を待ちました。
 そもそも大手ジェネリック医薬品メーカーが数年前に品質不正問題を起こしたのをきっかけとして、医薬品不足が生じたと言われますが、医薬品業界の社会的責任と品質管理の在り方に起因する問題は昨年から長引いていて、未だに解消されていないことが判明しました。

医薬品行政の在り方は

 国は医療費の削減を狙い、セルフメディケーションを推奨していますが、まずは国民の健康不安に付け入る、医薬品まがいのサプリメント事業者への監視に力を注ぐ必要があります。それとともに「一日も早く医薬品不足問題を、根本的に解決する国の指導力」が、問われているのではないでしょうか。
▲back
■環境省PFASの全国調査を開始
 各地で有機フッ素化合物PFASによる汚染問題が発生している状況の中で、このほど環境省は、全国の自治体や水道事業者に、「令和2年以降の水道水の水質検査実施の有無、PFASが検出された場合は最大濃度、検査をしていない場合はその理由・実施予定など」の報告を求め、PFAS検出状況や検査実績の把握を行うことを公表しました。上水道のほか簡易水道などを含む約1万2000事業者を対象とする初めての全国調査です。
 今までPFASの水質検査は自治体などによって任意で実施されていたため、環境省は全国の汚染状況を掌握していませんでした。
 全国調査のきっかけとなった背景には、昨年WHO(世界保健機関)のガン研究機関(IARK)が、化学物質PFASの中でも製造・輸入が禁止されているPFOAについて、発ガン性を2段階引き上げ、4段階評価のうち最も高い「発ガン性がある」としたほか、PFOSは上から3番目の、「発ガン性の可能性がある」と評価し、PFOAについてはヒトに対しての研究で、ガン発生のメカニズムが確認されたと公表した、IARKのガン研究と評価もありそうです。
 わが国では暫定的に有機フッ素化合物PFASのうちPFOSとPFORについて、ヒトが1日に飲む水の量を2L、平均体重を50キログラムとして、生涯摂取したとしても健康に影響がない値として、水道水の暫定目標値を1Lあたり50ナノグラムと設定しています。これから開始される全国調査によっては、この水道水の暫定目標値が見直される可能性が出てきました。私たちの健康と直結する問題ですので、注目しましょう。
▲back
■消費者の日特別講演会
 「まむし流!100年時代・愛される年寄りになる極意とは?」
毒蝮三太夫さんの愛ある"毒舌"に魅せられて
ポスター

 5月25日、葛飾ウイメンズパル多目的ホールにて消費者の日特別講演会が、葛飾区と葛飾区消費者団体連合会の共催で行われました。会場は手話通訳、要約筆記、難聴の人には磁気ループがある席が用意されていました。
 「まむし流!人生100年時代・愛される年寄りになる極意とは?」毒蝮三太夫さんの講演です。今回の講演では応募者多数で抽選が行われ残念ながら落選となった方が大分いたそうです。
 司会者の進行によりセレモニーが始まり、始めに主催者の葛飾区長青木克徳氏の挨拶がありました。今年元旦に起きた能登半島地震の事に触れての話でした。家屋の倒壊や通電火災が多くあったそうです。葛飾区は木造住宅が多く,その上密集しているため多くの被害が出るのではないかと推察されるとのこと。葛飾区では木造住宅の耐震化促進事業を行っているので都から補助があります。皆さん耐震診断を受けて下さいとのことでした。
 続いて区議会議長の伊東よしのり氏の挨拶、そして講師の毒蝮三太夫さんが音楽に合わせて入場です。
 毒蝮三太夫さんは俳優でありタレント・ラジオパーソナリティ、まむしプロダクションを設立し社長でもあります。芸名は日本テレビの笑点で座布団運びをしている時、立川談志さんの助言により今の毒蝮三太夫に変更したそうです。2・26事件があった年に生まれて現在88歳になり、お年寄りをジジイ・ババアと呼ぶ毒舌トークで有名な方です。
 毒蝮さんは「私は今思っていることを話すだけです」と最近思っていることや感じていることを話されました。コロナによってマスク生活になり、ヒトの表情がよく分からない、笑顔が欲しい。嫌味のない人が世の中にいっぱいいて欲しい。男性に言いたい。正々堂々と生きろ。稼いだ金は自分で使え。ジイさんに頑張って欲しい。女性は長生きする。しゃべる。食べる。出かける。料理をする。男性も女性がやっていることをやった方が元気でいられると話されました。年を重ねると外出も減ってテレビを見て家にこもることが多くなるので、女性を見習って出かけて会話をすることで、元気でいて欲しいと男の人への希望を話されました。
 新国劇の島田省吾さんの一人芝居の話をされ九割が男のファンだったそうで、毒蝮さんは島田省吾さんの生き方や芝居に魅了されたそうです。
 またお母さんの話もされて、一升ビンには1・5升は入らない。伸び縮みの袋にすればたくさん入る。包容力のことを言われたのか、車椅子や白杖の人にはやさしくする、その人が痛みを背負ってくれているのだからと言われたそうです。気の強いお母さんだったようですが、お母さんからいろいろ教わったそうです。
 最後に老人ホームに行くことになったら、介護する方もされる方も平等である、何事も公平でなくてはならない、笑顔で楽しく、清潔感・正義感を忘れずに、何かやってもらったら「すまないね」「ありがとう」と、口が利けなくても目で思いを伝えることができる。素直にありがとうと言ってください、と結ばれました。
 歯に衣着せぬ毒蝮さんジジイ・ババアと呼ぶ毒舌も笑いながら楽しく聞くことができました。「愛される年寄りになる極意」素直が大事であると思いました。
▲back
■消費者被害防止駅前キャンペーン
 詐欺被害防止グッズを配布
キャンペーンに参加した皆さん
 5月28日、京成堀切菖蒲園駅前で「消費者被害防止駅前キャンペーン」が行われました。消費者庁が定めている「5月の消費者月間」に合わせて、消費者被害防止に関する取り組みとして区民に悪質商法に対する危機意識を持ってもらうために葛飾区と消費者団体が共催で2016年から行っているものです。新型コロナウイルス感染症のため3年間開催を見送りましたので今年は6回目です。
 商店街連合会長、産業経済課長、堀切菖蒲園駅駅長にお忙しい中ご参加頂きご挨拶も頂きました。消団連谷茂岡会長が病気療養中の所去る4月24日に99歳でご逝去されたため、黒崎消団連会長代行からは「今日は、葛飾区消費者センターと共催で駅前キャンペーン活動をさせて頂きます。ご近所の方にも声を掛け合って悪質商法の被害に合わないように致しましょう。啓発用ポケットティッシュとチラシを区民の皆様にお配りし少しでも被害防止につなげて頂きたいと思います」と挨拶されました。
 前夜からの大雨予報と顔にかかる霧雨のせいか、人通りも少なく声をかけても皆足早にすり抜けるように通り過ぎ、チラシを受け取ってくれません。
 定番のオレオレ詐欺、還付金詐欺に加え新手のカード狙いの詐欺、サポート詐欺が増えています。突然やってきたリフォーム業者に無料点検を頼んだら高額な工事が必要といわれ契約をしてしまった等、手口も年々悪質化し被害額も多額になってきているのが特徴です。
 そんな被害に合わないよう受け取って読んでほしいのですが、ファイルが嵩張るのか受け取ってもらえません。少しでも被害防止の役にたてばと思い諦めず呼びかけをしながら一人また一人と配布を続けました。
 午後1時開始で200枚のファイルを無事配布し終えることができました。
▲back
■輸入食品の安全性は
 私たちの食卓は、自給率がカロリーべースでおよそ6割を輸入品に依存しています。そのため厚生労働省は輸入食品の安全性を確保する目的で、残留農薬、カビ毒、放射線照射などを水際の検疫所で監視し、違反品については市場に出回らないよう積戻しかあるいは保管したり、注意喚起のために全国へロットごとの検査命令を出し、公表しています。
 2024年前半の公表内容を見ますと、2月にはスリランカ産うるち米とインド産そば粉から、発ガン性のあるカビ毒のアフラトキシンが検出されたため、全量保管されています。
 4月にはインド産おくらとその加工品から、残留農薬の殺虫剤クロルホルピスと殺菌剤テブコナゾールを検出、また中国産菜の花とその加工品から殺菌剤テブコナゾールが検出されていますが、一部は市場へ出た模様です。
 6月分ではインド産カレーリーフとその加工品から殺虫剤のプロフェノホスが検出されましたが、一部は市場へ出ました。
▲back
■食品ロス発生量目標達成
 2015年に出された国連のSDGs(持続可能な開発目標)の一つが、2030年までに小売・消費の一人当たりの食品廃棄物を半減させることでした。
 このほど2022年度の食品ロス推計値が政府(消費者庁・農水省・環境省)から発表され、目安とした2000年度のおよそ980万トンの半数以下で、472万トンだったことがわかりました。政府目標は2030年度までに489万トンまで削減することであったので、8年前倒しで目標を達成しました。
 しかし2022年度の食品ロスによる経済損失は換算すると4兆円にのぼり、国民一人当たりでは年間に3万2000円余りに相当する食品を廃棄していることになるそうです。
 ロスの内訳では、商品の売れ残り、外食での食べ残しなど「事業系」ゴミが、前年度から43万トン(約15・4%)減り236万トンでした。
 消費者庁は、減った理由として@新型コロナの影響で外食が減っていたことA原材料価格の高騰で余剰生産が抑えられたことB企業が保存容器の改良などによって賞味期間を延長したことCコンビニなどで、消費期限切れが近い手前の商品から購入するように呼びかける「手前取り」といった売れ残りを減らす取り組みが進んだこと、などを挙げています。一方、「家庭系」ゴミは前年度から8万トン(約3・3%)の減少に留まり、事業系と同様、236万トンでした。家での食事(内食)が増加したからでしょうか。削減は余り進みませんでした。
 消費者庁は関係省庁などと連携して、家庭での食べ残しの削減やフードバンクへの寄付の促進など一層の取組を進めるとしています。
 以前から野菜・果物の皮部分や作り過ぎのおかずなど、家庭から出る食品ゴミの削減に「もったいない」精神で取り組んでいた私たちは、今後も自然体で食品ロス削減に、取り組みたいものです。
▲back