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■2023年10月15日付
全国女性団体連絡協議会 関東ブロック会議を開催
「どう変わる?日本の未来!私の暮らし!」
旧統一教会に遅すぎた解散請求
2024年度 東京都予算に対する要望書を提出
照射ジャガイモに終止符
コロナとインフルエンザの同時流行 命に関わる医薬品不足
有機フッ素化合物(PFAS)の食品健康影響評価書作成へ
内閣府食品安全委員会
外苑再開発計画にイエローカード イコモスからも緊急要請
ビッグモーターの不正請求と損保


■全国女性団体連絡協議会
 関東ブロック会議を開催
 「どう変わる?日本の未来!私の暮らし!」
関東ブロック会議
谷茂岡会長 伝統文化の相撲甚句を披露

 関東ブロック会議が9月14日(木)、テクノプラザかつしかにて行われました。
 当日はまだ猛暑の残る中でしたが関東ブロック1都10県1市の会員の方々が参加されました。10時45分開会、まず全女会の歌を合唱した後、主催者挨拶を全国女性団体連絡協議会櫻井よう子会長の代理で副会長で山梨県会長の高村さんから挨拶があり、その後東京地婦連の山岡会長が挨拶しました。
 来賓挨拶では、東京都小池百合子知事からのビデオメッセージが放映されました。小池都知事はこの日、本会議中との事で、皆さまにお会いできないのはまことに残念ですとのお言葉でした。その後、伝統文化である相撲甚句の披露、甚句会会長の安西さんよりいろいろご説明を頂き、6人で甚句が披露され、みなさん聴き惚れていました。普段耳に出来ない相撲甚句は新鮮で心に染み渡りました。
 そしていよいよ、記念講演会となりました。東京地婦連では葛飾のご出身でもいらしゃる政治学者の福岡政行先生にお願いしました。

講演テーマは「どう変わる?日本の未来!私の暮らし!」

 福岡先生は白鴎大学やノースアジア大学などで教鞭をとられていますが、政治学を学ぶうえで、机上の研究よりもフィールドワークを重視され、何事にも現場を視察することが肝心というのがモットーと、全国各地から得た情報をもとに、実証的政治学を研究されています。
 また、ボランティア活動にも積極的に関わられ、これまでに阪神・淡路大震災をはじめ東日本大震災など沢山の災害、またカンボジアの子どもたちへの支援活動をゼミの学生と共に行っておられ、現在アシスト(ジャパン)の会事務局長も務められています。
 いろいろご活躍の先生からのお話しは、やはり最近の国内はコロナ禍によって経済の停滞や物価の高騰、非正規雇用の増加など決して明るい状態ではなく、国民の皆んなが大変な思いをしている。だからこそ机上の研究よりフィールドワークが必要なのだと、いろいろな事例を挙げながら、時には永田町の話しなどを織り込みながらお話しされ、あっという間に時間が過ぎました。
 関東ブロック会議の最後に私たち東京地婦連からお礼の挨拶をした後、次期開催県の群馬県の大竹会長より挨拶をいただき閉会しました。
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■旧統一教会に遅すぎた解散請求
 カルト教団旧統一教会(世界平和統一家庭連合)による霊感商法は、消費者を不安に陥れて商品に霊の力があるよう思わせ、「購入しなければ、大変なことになる」などと脅し、契約を迫る悪質な手口でした。
 消費者契約法には2018年、困惑類型として新たに「霊感商法」も追加されました。
 破産や家庭崩壊など日本の消費者の財産が狙われ、長年にわたり被害救済が進まない中で「広告塔の安倍元首相の襲撃事件」が発生したわけです。この教団と保守系政治家たちとのあきれた癒着、選挙応援、政策への影響問題も炙り出されました。
 消費者の莫大な被害救済はもとより、外国への不透明なお金の流れ、わが国の政治が歪められた可能性、今なお搾取される現会員、苦しむ会員二世の救済等々解決すべき問題は山積しています。
 1980年代から続いた法令違反の数々に対し、盛山文部科学大臣は2023年10月13日、ようやく宗教法人法に基づき東京地裁に遅すぎた解散命令を請求しました。
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■2024年度
 東京都予算に対する要望書を提出
東京都議会立憲民主党ヒアリング 都民ファーストの会東京都議団ヒアリング

 谷茂岡会長が代表委員を務める東京都消費者団体連絡センターでは、今年も小浦道子事務局長とともに、構成団体から数名が都庁・都議会を手分けして訪問し、来年度予算をめぐる小池知事宛の要望書を提出するとともに、消費者として求める施策を伝えています。9月5日は、東京都議会立憲民主党、都民ファーストの会東京都議団を訪れました。

2024年度要望

4つの課題が柱です。
 T消費者行政の充実・強化について
 U食の安全・安心確保について
 V東京都こども基本条例の周知促進を
 W都民の安全・安心なくらしの確保と持続可能な社会づくりに向けて
◆ ◆ ◆
 概要は次のとおりです。
 T @東京都消費生活基本計画に基づき、学校との連携を強化して消費者教育を推進してくださいA特商法取引の契約書面等電子化施行後の悪質な事業者の取り締りを強化してくださいBオンラインで完結する借家契約の実態調査と悪質な事業者の指導をお願いしますC特商法関連の消費者被害の未然防止のために特商法改正を国に求めてくださいD見守りネットワークの実効性を高めてくださいE東京都消費者月間事業の充実・発展と、消費者団体との協働や活動支援を推進してください(NPOなど)F国による地方消費者行政への財政支援の継続を引き続き要請してください。
以上の7項目です。
 U @ゲノム編集技術応用食品であることが分かる表示を国に求めてくださいA持続可能な都市農業の確保をすすめてください。以上の2項目です。
 V 令和3年4月に施行されたこの条例については、子ども一人ひとりが権利の主体者であることを理解し行動できるように理解の促進を進めてください、などとしています。
 W 幅広い分野にわたります。@都民の健康を守る取り組みを進めて下さい(水道水のPFAS汚染問題)ATOKYO強靭化プロジェクトを都民に周知してください(風水害の激甚化、海面水位上昇への備えなど)B自然と調和した持続可能な都市を都民とともに進めてください(神宮外苑や葛西臨海公園の樹木伐採計画見直し)C脱炭素社会の実現に向けた取り組みを進めてください(EV車購入や住宅の断熱、太陽光パネルなどへの交付金拡充など)D東京にカジノを含む統合型リゾート(IR)を誘致するための調査は中止してくださいE東日本大震災の復興のため、被災地・被災者・福島支援の取り組みを引き続き進めてください。
 以上の6項目です。小浦さんからの要望概要の説明後に補足意見として、東京地婦連からは「B樹木伐採計画への疑問とCでは、太陽光パネルとともに既存の住宅やマンションにも使える運べる新素材を採用していただきたい」と伝えました。
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■照射ジャガイモに終止符
 東京地婦連も加盟する照射食品反対連絡会から、うれしいニュースが届きました。
 食品への放射線照射は食品衛生法で禁止されていますが、ジャガイモだけは許可されて、北海道士幌農協が製造してきました。この50年ほどのあいだに製造量は激減し、7月には士幌農協の食品照射施設は取り壊し中であることがわかりました。粘り強く続けた反対運動の大きな成果です。
 反対連絡会では、衆議院第一議員会館内で10月末にオンライン併用の集会を予定しており、「日本の照射ジャガイモを止めた活動50年とこれからの課題」をテーマに健康情報研究センター、公衆衛生学博士の里見宏氏の基調報告を伺うとともに、全国の加盟団体やメンバーから、今までの活動について苦労話や報告を行う予定です。
 1970年代からの反対運動を基礎に、2006年に結成された照射食品反対連絡会には、全国各地の54団体のほか個人が参加しています。
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■コロナとインフルエンザの同時流行
命に関わる医薬品不足
 新型コロナウイルス感染症は、ワクチン接種が進み致死率が若干低下して、インフルエンザと同等の扱いになりました。しかしウイルスは4年目の今なお変異しながら生き延びており、コロナ感染者は水面下では減少しておらず、自宅療養中に亡くなったり、後遺症に苦しむ人も増えている模様です。
 そこへ、時ならぬ季節性インフルエンザが同時に流行し、新たな医療危機といえる「医薬品不足問題」が生じました。街の薬局はもとより、医療機関でも院内・院外用に処方する咳どめ、たん切り、解熱鎮痛剤の調達がままならないのが昨今の状況です。医療現場でも大変困っていることが、最近実施された日本医師会の調査によって明らかになりました。
 原因は大手ジェネリック医薬品メーカーが数年前に品質不正問題を起こしたのをきっかけに医薬品不足が発生、流通にも波及し、未だに解消されない中で起きた事態だということです。
 生命に係わる深刻な問題であり、ジェネリック医薬品の社会的責任と品質管理の在り方に端を発した、重大な消費者問題でもあります。今後、私たちも常備薬について監視の目で臨みましょう。
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■有機フッ素化合物(PFAS)の食品健康影響評価書作成へ
内閣府食品安全委員会
 食品安全委員会は、海外の動向や国内の検出状況等に応じて規定された暫定目標値や法規制、さらに2022年度実施の食品安全確保総合調査を
 踏まえて、2023年1月にPFAS(3種)についての「食品健康影響評価」(リスク評価)を開始し、9月28日に評価書(案)が作成されています。その方向性を紹介しましょう。
◇ ◇ ◇
 調査対象としては、国際機関・各国の政府機関等におけるPFAS評価の科学的知見及び評価結果を吟味することを中心としています。これに国内の2022年度食品安全確保総合調査で収集された、主に3物質に関する文献調査を加えているものです。

PFASの定義や範囲

 様々な見解があるそうですが、評価対象3物質のPFOS、PFORおよびPFHxSについて、体内動態、毒性(特に発がん性、肝毒性、免疫毒性、生殖発生毒性)、ばく露量、疫学調査等の文献、並びに関連する重要文献をもとに、専門委員が分担して行うそうです。

環境省も来年度からPFASの調査・研究に

 全国各地でPFASによる汚染問題が発生している状況の中で、環境省は2023年度の補正予算に急遽事業費を盛り込みました。
 発がん性などが指摘されるPFASに神経や代謝、生殖、免疫などの健康への影響ついての調査、河川などにどれくらい含まれているかの監視、基準値の見直しが必要であるかの検討などを前倒しして行う模様です。
 環境省は発がん性などの知見を踏まえた有害性評価や疫学研究を進めるとしています。
 食品安全委員会のリスク評価では国内外の文献調査が主流の様ですが、環境省では国内外には十分な科学的な知見がそろっていないとして動物実験などによるデータも集める計画です。
 消費者の立場からは、PFASの多摩地域の水道水汚染は住民の血液検査にも現れていることから、国の関連行政がそれぞれの専門分野を活かしてしっかり取り組むことを望みますが、東京都など各自治体も、水質の分析結果などをきめ細かく住民に伝えることが大切です。健康に直結する問題だけにスピード感と情報開示の姿勢、PFASの管理強化、被害の未然防止対策が求められています。
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■外苑再開発計画にイエローカード
イコモスからも緊急要請
 樹木伐採への優柔不断な東京都の対応に対し、先頃小池都知事あてに提出した東京都消費者団体連絡センターの「2024年度予算要望」では、都民が憩いを感じている貴重な樹木が伐採されようとしていることに対し、樹木は一度失ったら二度と取り戻すことはできないので、SDGsを推進する観点からも計画を見直すよう、東京都へ申し入れました。
 明治神宮外苑の再開発計画をめぐっては、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の諮問機関であるイコモスから緊急要請が出されており、三井不動産などに計画の撤回を、東京都には環境影響評価の再審議を求めるとともに、都市計画決定の見直しを要求しました。
 イコモスの国際文化的景観委員会のエリザベス委員長は、「将来の世代のため、事業をただちに中止することを呼びかけたい」「民主主義の原則を尊重し、神宮外苑の将来についての情報を広く国民に提供し、対話の場を設けてほしい」と述べています。
 再開発に反対した音楽家、坂本龍一さんの遺志を継いだ桑田佳祐さんの新曲も生まれました。
 かつて「街に緑を(緑の銀行実行運動―1973〜2000年)」を実施し2万4500本余りの植樹を行った東京地婦連からは、外苑再開発計画による樹木の伐採にはイエローカードを高くかかげます。世代を超えて人々の心に刻まれた100年の木立は、未来に残す遺産です。
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■ビッグモーターの不正請求と損保
 中古車販売を全国的に展開し、業界の大手と言われていたビッグモーターは、実は企業倫理に欠ける企業であったことがわかり、関係省庁の立ち入り検査や、行政処分の対象になっています。今までに各地の消費者が受けた損害、被害総額は計り知れません。
 言語道断の悪質な行為例としては、消費者から修理を依頼された車の車体に、社員が故意に傷をつけて損害保険会社に修理代を水増し請求したこと、不正車検、中古車取引で消費者には身に覚えのない水没を理由に、買い取り価格を引き下げたことをはじめ、各地の店舗前の街路樹や植栽に除草剤を散布して枯らす行為、社員に過酷なノルマを課すこと、下請け業者に対し優越的地位を乱用し、下請け代金を減額し、不当な利益の提供を強要することなど、私たち消費者が受けた被害のほかにも環境破壊や下請法違反の事例が続々と明らかになっています。
 ビッグモーターは保険代理店でもあり、損保ジャパンなどの損害保険会社から、契約者(消費者)の車の修理を紹介してもらい、損害保険会社はその見返りとして、ビッグモーターから新たな自賠責契約を獲得する仕組みで、相互依存関係が成立していました。
 川下の消費者利益を損なう悪質なビッグモーターの不正請求を、損害保険会社が黙認し、それに加担したかどうかが問われています。先頃、金融庁は損保ジャパン立ち入り検査に入りました。
 別件ですが損害保険大手4社については、企業向け保険の価格カルテル疑惑も浮上しており、こちらも消費者の信頼に背く不祥事です。
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