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■2025年3月15日付
PFAS水質基準設定へ
二酸化窒素測定結果報告 環境汚染に対する状況に危惧
令和7年度北方領土返還要求全国大会
もしかして食物アレルギー?! 食の安全・安心についての意見交換会開催
コロナ・花粉症対応など 繊維製品のホットな話題
厚労省 輸入食品の安全性確保に関する意見交換会
女性のための防災対策検討委員会 より良い避難所環境を検討
体内のマイクロプラスチック 認知症との関連は


■PFAS水質基準設定へ
 環境省は有機フッ素化合物のPFASのうち、発ガン性があるとされるPFOSとPFOAを対象として、今までの暫定目標値の両方の合計、1リットル中50ナノグラムを水質基準とする方針を決め、諮問機関である内閣府の食品安全委員会に諮り、2026年4月から水道事業者に水道法に基づいて定期的な検査を義務化する予定ということです。
 一方消費者庁ではミネラルウォーターなどの飲料水でも、食品衛生法に基づき水道水と横並びの水質基準を定め、製造工程で殺菌・除菌の際に基準を満たした製品のみ販売を認める方針を決め、来年4月からの施行予定です。
 さらに浄水器協会では家庭用浄水器試験方法のJIS改正に向けて、作業が開始され、PFAS対応の試験方法の追加を審議することになりました。
 暮らしに欠かせない水のPFASに対する安全対策はようやく動き始めました。
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■二酸化窒素測定結果報告 環境汚染に対する状況に危惧
 2024年12月5日・6日の測定結果です。
 測定した各区とも0・02PPMであまり汚れていないという結果でした。世界の平均気温が過去最高を記録した昨夏も"あまり汚れていない"という数値だったと記憶しています。業界の企業努力もあると思いますが、世界の今の状況を見れば大気の環境が良くなっていくとは思えません。トランプ大統領は就任後直ちにパリ協定からの離脱を表明しています。ガザ地区、グリーンランドの所有等驚くような発言も続いています。紙ストロー廃止プラスチックストローへの回帰等、耳を疑うニュースの連続です。
 海岸に押し寄せる廃プラスチックのゴミの山に苦しむ海亀、野鳥、魚に胸を痛めることを止めない一人ひとりでありたいと思います。

二酸化窒素測定結果区市別一覧(2024年12月5日〜12月6日)
特定非営利活動法人 東京都地域婦人団体連盟
(単位:PPM)
測定場所 有 効
測定数
平均値 最高値 最低値 2021年
平均値
2022年
平均値
2023年
平均値
2024年
平均値
葛飾区
世田谷区
目黒区
北 区
練馬区
25
5

5
5
0.021
0.029

0.022
0.046
0.033
0.036

0.024
0.026
0.016
0.022

0.021
0.026
0.027
0.033
0.030
0.018
0.026
0.024
0.021
0.021
0.018
0.053
0.015
0.016
0.014
0.018
0.012
0.018

0.012
0.016
測定結果の判断基準
0.02PPM 以下=あまり汚れていない 0.021〜0.04PPM=少し汚れている
0.041〜0.06PPM=汚れている   0.061PPM 以上=大変汚れている

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■令和7年度北方領土返還要求全国大会
命尽きる前に墓参を

 1855年2月7日に調印した「日ロ通好条約」には、択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島の北方四島が日本の領土であることが明記されており、この歴史の事実を重んじ、政府は2月7日を「北方領土の日」と制定しました。令和7年のこの日、ニッショーホールで開催された全国大会の骨子です。
 大会行事に先立ち、実行委員会顧問の児玉康子さんの司会で、島々が占領された時から強制送還までの、元島民の経験談や亡くなった祖父母の話、領土問題の中高教育現場や卒論のテーマに選んだ学生の話など、若い世代を交えた「語り継ぐ故郷北方四島」の熱い討議があり、次に領土返還を訴える貴重な資料の説明をされました。
 続いて開幕した大会、檀上に櫻井全女会会長の姿もありました。挨拶では中園実行委員長が返還へのゆるぎない決意を表明され、外交日程の都合で、石破内閣総理大臣はビデオ出演になりましたが、元島民の思いをしっかり受け止めていることを表明しました。総理に同行された外務大臣も代理が出席されました。
 その後運動団体からは日本労働組合総連合会と自衛隊家族会、隣接地を代表して根室市長、そして元島民、最後に地元選出の伊東北方対策担当大臣が、それぞれ北方四島の返還を求める決意声明書を読み上げました。
 「故郷に戻りたい」と待ち続けた元島民の平均年齢は90歳を迎えようとしている今、大切な日本固有の国土が奪われることは、我が国周辺の安全に関わる深刻な問題です。
 令和7年は不法占拠から80年、大会アピールは以下の六項目で、大きな拍手で採択されました。

大会アピール

 @両国間の関係改善と平和条約締結に向けた交渉の再開、A北方墓参の一刻も早い再開、B北方四島の交流事業の再開、Cより一層の署名活動の推進、D北方領土に残存する日本の施設などの保存、Eあらゆる機会を通じ北方四島の返還こそ両国の真の友好関係を築き、ひいては世界平和に寄与することを訴える。
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■もしかして食物アレルギー?!
 食の安全・安心についての意見交換会開催
 1月31日、葛飾区青砥地区センターにおいて葛飾区保健所・生活衛生課・食品衛生係による食の安全・安心についての意見交換会が開催されました。葛飾区消費者団体からも出席し話を聞きました。保健所生活衛生課長の開会挨拶、続いて1948年設立の葛飾食品衛生協会会長の挨拶がありました。

講演
食物アレルギー こどもから大人まで〜果物とナッツ

昭和大学小児科学助教 本多愛子先生

意見交換会に参加された皆さん

 講演は「食物アレルギーこどもから大人まで〜果物とナッツ」について。講師は昭和大学小児科学助教の本多愛子先生です。

 食物アレルギーは、正しい免疫の役割をしているときは体を守るが、免疫が働きすぎると体に害のないものまで攻撃してしまい起こるとのこと、食物アレルギーは増加しているそうです。
 食物アレルギーの即時型は乳幼児期に多く、アナフラキシーショックの危険も高く、原因食物として鶏卵や牛乳が多いとのことです。木の実類も増えてきているそうです。赤ちゃんの時に症状が出て、その後不要な除去につながっている場合は、正しい診断が必要とのこと。検査には食物経口負荷試験があり、この検査は食べて体とアレルゲンが反応するかどうかをみるもので血液検査や皮膚テストと違い食べられるかどうかがわかるそうです。食物アレルギーの特徴は、年齢とともに食べられるようになることが多いそうです。鶏卵、牛乳、小麦は入学までに70〜80%は治るそうです。
 アナフラキシーは食物、薬物、ハチ毒などが原因で起こる即時型アレルギー反応のひとつで、エピペン携行の児童・生徒が増えているそうです。エピペンの効果は10分程度で切れてしまうので、使用後にすぐに救急車を呼ぶこと、使ったエピペンは破棄し、新しい処方が必要になるとのことです。
 また、最近10年でナッツ類アレルギーの割合が2・8%から13・5%に増えているそうです。なかでもショック発生率の高いのはカシューナッツで、1位とのこと。対応としては食品表示をしっかり確認し、厳重に除去すること、外食の際の誤食にも注意が必要とのことです。
 果物でも桃やキウイ、バナナなどがアレルギーの原因になることがあり、ジャムやジュースにすることで加熱や消化酵素でアレルギー物質が分解され摂取できることがあるそうです。
 病院における管理栄養士のアレルギー対応は、集団給食では完全除去を基本とし、食物アレルギー対応食はトレーの色を変えて提供しているそうです。
 保健所の生活衛生担当の方の話では、食品表示には品質事項と衛生事項が書かれていて、食べる前に食品に含まれるアレルギー物質等を確認できるので見てくださいとのことでした。
 アレルギー表示は必ず表示しなければならない特定原材料8品目、特定原材料とは異なり義務表示ではないが可能な限り表示することが推奨されている20品目があり、そのうちマツタケは取り消されマカデミアンナッツが追加されたそうです。
 毎日の食事、食物アレルギーが無くても大切なことが表示されているので確認しようと思いました。
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■コロナ・花粉症対応など 繊維製品のホットな話題
@新抗ウイルス性試験方法

 新型コロナウイルスは私たちの生活や社会に大きな影響を与えました。繊維製品においても抗ウイルス性が求められています。市販品には抗ウイルス性を標榜した製品が多く出回っていますが、果たして繊維上に付着した新型コロナウイルスなどにも適用できるかを含め、抗ウイルス性の表示が曖昧なままでした。
 2021年コロナ禍の中で、「繊維評価技術協議会」(繊技協)では、新型コロナにも対応できる繊維の基準の試験方法を開発するため、現行のJISL1922の見直しを開始し、消費者も加わって2024年10月、新たに抗ウイルス加工マークの区分と認証基準の改訂を行いました。
 新「抗ウイルス加工」SEKマークは今後、加工された繊維上の抗ウイルス活性値により「十分な効果あり」と「効果あり」の二段階に分けて運用されます。ラベルの表示は繊維上の特定ウイルスを「99・9パーセント減少させる」黄色地に黒十字のマークと、繊維上の特定ウイルスを「99%減少させる」黄緑色の地に黒十字のマークによって、繊維上のウイルス減少度を二段階に分けて%表示することが決まりました。
 JISの改正と並行して繊技協は、日本主導で国際規格(ISO18184)「繊維製品の抗ウイルス性試験方法」の改正提案の検討を開始し、ISO規格の改正についても、まもなく承認される見通しです。

A繊維上の特定タンパク質低減加工マーク4月に開始

 ヒトに対するアレルギー反応物質の主なものとして、スギ花粉、ダニやフンが指摘されますが、国際規格(ISO4333)には「繊維製品上の花粉・ダニ由来タンパク質等の減少度測定方法」があります。
 そこで、繊技協はこのISO4333を用いて、特定タンパク質低減性試験をスギ花粉・コナヒョウダニを対象に実施し、70%以上低減化した繊維製品に「特定タンパク質低減加工」SEKマークを認証することにより、これらのアレルギーに苦しむ消費者の商品選択の一助にしたい、としています。
 スギ花粉については、外出から戻ったら家に入る前に衣類の埃を払う、ダニの場合は寝具・カーペットを清潔に保つことが推奨されますが、繊維製品そのものに対し、特定タンパク質の低減化を図る加工を認証するとしています。
 まもなく4月からスタートする特定アレルギー対応のSEKマークは、オリーブグリーンの地に斑点入りの茶色十字が目印ということです。
 ※SEKは繊維の清潔(S)衛生(E)快適(K)の略
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■厚労省 輸入食品の安全性確保に関する意見交換会
 カロリーべースでおよそ62%を輸入品に依存している私たちの食卓ですが、国は食品衛生法に基づいて輸入食品の水際チェック等を行っており、本紙においても折に触れて放射線照射、残留農薬、カビ毒など食品衛生法・規格基準の違反情報をお伝えしてきました。
 2月3日、東京では厚生労働省の主催で、次年度の輸入食品の監視指導計画(案)をめぐって情報提供と講演、意見交換会が開催されました。参加者は約130名、ほぼ7割が事業者でした。
 計画案の骨子です。
 輸入安全対策室長の福島さんの説明によると、令和5年度の輸入届出件数は235万件・輸入重量は2987万トンあり、年々増えてきた輸入件数に対し(コロナ禍で僅かに減りましたが)、食品衛生法違反件数は10年余り増加しておらず、平成25年以前と比べ違反状況は改善されてきています。令和5年度の輸入件数235万件のうち違反は763件(0・03%)でした。

安全のための監視体制は

 例年、輸入時に全品の届出書類内容を確認、その後違反の疑いがある品のみを抜き取り、検査命令・指導検査を行います。水際の検疫所で、違反品については市場に出回らないよう積み戻すか、あるいは保管し、注意喚起のために全国へロットごとの検査命令を出し、公表しています。
 次年度の国内対策としては加えて、計画案に基づき約10万件の残留農薬、添加物などのモニタリング検査を実施し、また輸入者の輸入前相談に応じて、効果的な違反防止に努めたいということでした。

輸出国への衛生

 対策は計画ではわが国の食品衛生規制の周知を図るための情報提供、二国間協議や現地調査の実施、輸出国の監視体制強化に向けた技術協力などを行うとしています。
 説明資料について尋ねますと、昨年1月の米国との協議例では「牛肉等の対日輸出認定施設の、対日輸出プログラム遵守を確認した」ということでした。
 実はBSE問題発生当時、米国は肉骨粉等の飼料規制、耳標による牛の管理が殆どされておらず、牛肉のトレーサビリティが立ち遅れていたため、(10数年前に他団体とともに)国に輸出国の衛生管理を求めた経緯があります。
 「監視を継続中」との回答には納得しましたが、(米国産牛肉の問題点である)すでに欧州諸国などで禁止されている牛へのホルモン剤投与の禁止が必要と発言した次第です。
 このほか、韓国の対日輸出農産物の安全管理制度、ベトナムの水産食品安全管理体制など調査事例の説明がありました。
 厚労省では今後、計画案についてパブリックコメントを実施し、計画を策定するそうです。
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■女性のための防災対策検討委員会
 より良い避難所環境を検討
 2月5日、第5回女性のための防災対策検討委員会が区内の勤労福祉会館で行われました。この委員会設置の目的は、災害時に女性が抱えてしまう様々な問題に対しての解決に向けた検討を行うというものです。具体的な内容としては(1)避難所での女性への配慮、(2)妊産婦、乳幼児への対応、(3)女性防災リーダーの養成、(4)その他女性に関する課題の解決等です。
 葛飾区も人口47万人となり、いざ発災となればその稼働は容易ではありません。本日の検討事項は災害要配慮者に対する避難行動対策と、災害用備蓄品についてです。前回の委員会の折、妊産婦及び乳幼児の避難所は医療避難所で対応するとなっていましたが、昨年1年かけて書面等で課題を吸い上げ検討を行い、その結果として、医療避難所とは別に妊産婦乳幼児避難所が立ち上がることになりました。
 同じ立場に置かれた人たちが情報を交換し、助け合えるのは何よりの励みになると思います。この避難所は家族別が望ましいと思いますが、状況によってはよりストレスのかからない別の地域への避難も容易になるルート作りも必要だと思いました。
 災害用備蓄品の検討では、ベッドは必需品ですが、段ボールベッドが意外と使い勝手が悪いことが、北国での厳冬期演習リポートで見えてきました。スチール製は重さは段ボールの半分、容積も3分の1、値段も7割程度組み立てる時間も10分の1以下で30秒程度だそうです。寒さを防ぐアルミのブランケットも音がうるさくて大勢が身を寄せる避難所には不向きで、静音性に優れたブランケットが必要とのこと、葛飾区ではすでに静音性に優れたものに交換している、とのことでした。
 他の備蓄品の中では女性の生理用品は必要ないとの意見があり、それよりも大人用の尿パットの方がより使い勝手が良いとのことで私も同感です。葛飾区の学校備蓄品標準一覧表の中にこの項目がなく、さっそく取り入れるとのことでした。いつ発災するか分からない災害に備えるのは大変ですが、地震大国イタリアのリスク対策は素晴らしいと聞きます。葛飾区も回を重ねながらより良い避難所環境になるよう勉強したいと思います。
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■体内のマイクロプラスチック 認知症との関連は
 ごみとしてプラスチック製品が海に流れ込み、波や紫外線などの影響で壊れて直径5ミリ以下になったものがマイクロプラスチック、さらに小さいナノプラスチックもあります。これらは魚などの体内に取り込まれ、食物連鎖で人体にも取り込まれることはすでに知られていました。
 最近、人体に取り込まれたプラスチックの微粒子は脳内に多く蓄積されることが新たに分かり、脳から排出しにくいことから、研究者たちは、「因果関係は不明だが認知症と関連する可能性は否定出来ない」と脳内蓄積の警鐘を鳴らしています。
 環境省では、海洋プラスチックごみの中でも、5ミリ未満のマイクロプラスチックの排出・流失を抑制するために、例えば合成繊維の衣料品などから出る繊維くずをなるべく出さない工夫として、生地を傷めないように、洗濯表示に従った洗濯とともに洗濯ネットの使用をすすめています。また、洗濯機のフィルター掃除を行うことにより、繊維くずをこまめにゴミ箱に捨てることで、マイクロプラスチックの原因となる繊維くずの流失を防ぐだけでなく、ぬめりやカビの防止にもつながるとしています。
 人工芝の利用については、人工芝からマイクロプラスチックを出さないために、こまめに掃除機や粘着クリーナーで芝の破片を回収します、屋内用の人工芝は紫外線に弱いので屋外では使用を控え、芝が折れ始めたら、交換のサインですので、早めの交換を推奨しています。
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