だれにもやさしくつかいやすい公共機関についてのアンケート調査結果
 この調査は、だれにとっても利用しやすいことを目指した、ユニバーサルデザインの視点から、(1)経費があまりかからない(2)比較的すぐ対処できる(3)最優先に対処してほしい事柄にしぼり、要望も含めて行ったアンケート調査です。調査結果は利用者の生の声として、公共交通機関に反映されることを目的にしています。実施時期は昨年十一月。東京を走る鉄道事業者一二社局に調査票を郵送し、回答していただきました。


質問1  エスカレーターとエレベーターへの案内表示は、(1)駅のすべての入り口(2)駅のすべての改札口(3)ホームの要所要所に絵表示入りで掲示してください。
 「既に表示している」のが五社で、そのうちの二社が、表示している代表例の駅名を挙げています。上野駅・渋谷駅(JR)、国際展示場正門駅(ゆりかもめ)です。(1)の改札口と(3)のホームへの表示は、多摩都市モノレールが昨年三月までに完了、東京都交通局と京成電鉄はおおむね全駅で実施済みとの回答でした。
 「難しい」が2社ですが、駅構内のスペースが狭いという問題や、また各社で統一されるような指針が出れば別として、現段階では、自社の判断で必要に応じて表示しているとの回答。
 「その他」の回答の5社のうち、西武からは東京都福祉の街づくり条例・移動円滑化整備ガイドラインに基づいて整備していくという回答でした。
質問2  券売機周辺への要望。(1)券売機の文字が光線の具合により反射して見えにくい(2)料金掲示板の文字が小さいのと、光線のあたり具合で見えにくい駅がある。以上を、視力の弱い人を想定して見やすさの総点検をしてください。
 券売機には反射防止シールを付ける=営団地下鉄。券売機の上に照明を付けている=ゆりかもめ。より見やすく、バリアフリー対応の新型券売機を順次導入していく=京王、JR、小田急、東武など、さまざまな回答をいただきました。
 料金掲示板では、文字を従来の一・五倍に拡大したり、電飾化するなど視認化を図りつつある=京王。料金掲示板を見なくても、券売機の五十音順駅名検索ができる新型機種を導入=交通局。全駅に点字運賃表を表示=ゆりかもめ、小田急。掲示板を拡大し、見やすく傾斜させたり照明の明るさを工夫=東武など、各社の工夫の中身もさまざまでした。
質問3  駅および電車内のアナウンスが非常に聞き取りにくい。アナウンサーに明瞭な発音ができるよう教育してください。
 九社が、「何らかの機会をとらえてアナウンス研修を行う」、残り三社も「常に注意するよう配慮していく」と回答しています。また、「自動放送化に努めている」が四社ありました。
 通常時には自動放送が聞きやすくてよいと思いますが、緊急時には生の声のアナウンスで対応するしかありません。その場合を想定した、明瞭でゆっくりした聞き取りやすい発音の放送を心がけてほしいものです。
質問4 鉄道カードは前払い制にもかかわらず、割引がないのはなぜでしょう。
 「導入は難しい」と答えたのが六社。「その他」を選んだ各社も、「パスネットやイオカードは直接自動改札機に利用できることが最大のサービスと考えている」との回答がほとんどでした。割引に関しては「回数券や定期券、企画乗車券などで割引をしているので、そちらを利用してほしい」との回答でした。
質問5  最近、ホームで見かける駅員が少ないようです。駅員の不在は、すいている時間帯でも乗客の安全上必要な人員配置は欠かせないと思います。貴社では駅員の配置をどのように考え、実施しておられるでしょうか。
 終日駅員を配置しているところはごく少なく、多くは駅員に代わる各種の装置で監視しているのが実態でした。視認性の悪い曲線ホームや、乗客数が多いターミナル駅などの場合は、閑散時でも少人数は配置しているところもありましたが。また、駅員に代わり案内誘導の委託業者が適宜ホームを巡回している(ゆりかもめ)ところもありました。各社が挙げるマンパワーに代わる安全対策は、次のようなことでした。

 (1)ホームの非常通報ボタン
 (2)ホーム下の退避スペース確保
 (3)列車接近電光掲示板
 (4)列車接近放送装置
 (5)列車進入警報装置
 (6)点字ブロック
 (7)転落検知マット
 (8)可動式ホーム柵(通報インターホン付きもあり)
 (9)列車非常停止装置
 (10)監視カメラ(テレビ)・監視モニター
 (11)列車非常通報装置
 (12)車両間転落防止用外幌