東京地域における男女平等参画実態調査
 一.調査の目的
 これまで、東京地婦連では、二〇〇一年に制定された「東京都男女平等参画基本条例」の基本理念、(1)男女が性別により差別されることなく、その人権が尊重される社会(2)男女一人一人が、自立した個人としてその能力を十分に発揮し、多様な生き方を選択できる社会(3)男女が家庭活動および社会活動に対等な立場で参画し、責任を分かち合う社会‐‐実現のために、啓蒙活動や調査活動を行ってきました。
 都の基本条例を受けて区市町村でも条例作りが進み、行動計画もできつつあります。その中、地域における実態を把握することを目的にこの調査を実施します。
 これは、町会や自治会、老人会、学校PTA等における役員の男女比や役職による性別傾向を知ることにより、地域社会での男女平等参画の進捗状況を把握することを目的としております。また、同趣旨の調査を私どもの参加団体女性都民クラブが一〇年前に実施しており、その調査結果との比較も大きな目的の一つです。

 二.調査責任団体
特定非営利活動法人東京都地域婦人団体連盟

 三.調査実施期間
二〇〇三年九月

 四.調査対象
東京都内の町会・自治会組織五〇組織、東京都内の老人会五〇組織、東京都内の公立小中学校各五〇組織
担い手は女性の側に〜意識は確実に変わっている〜
 東京地婦連が実施したこの調査は、約一〇年前に女性都民クラブ(当時は婦人都民クラブ)が実施した町会・自治会調査の、その後の変化を把握するためのものです。この一〇年間に、法律や条例が完備されましたが、地域の実態はどう変化したでしょうか。
 大きく表現すれば、町会・自治会の実際的な運営の担い手は男性中心から男女同数、または女性中心へ変化しました。しかし、会長の男女比だけをみると相変わらず八九・一%が男性で、男性中心社会のままです。
 ただ、「いつも会長は男性と決めている」団体が一〇年前には九一・五%だったのが、今回は五五・三%と大幅に減りました。団体としての意識は確実に変わってきています。
 併せて実施した、老人会の調査も大体同じような傾向でしたが、会の支え手は多きく女性に傾いています。
 公立小・中学校のPTAや保護者組織の調査では、意外な結果となりました。副会長以下の各役職はほとんどを女性が占めているのに、会長だけは小学校で八四・四%、中学校で七三・三%が男性でした。
 男女平等の意識がより高くなっていると予想していた世代の保守性にはがっかりさせられました。今後も男女平等の意識を高めるための運動を、より積極的に展開していく必要を痛感した調査結果となりました。
 その後は、懇談の場となった中央集会では調査結果を受けて、PTAの会長経験者から、「日ごろから学校に近い存在である母親よりも、少し遠い存在の父親の方がすんなり会長の職を受けやすい」という本音も出ました。また、「会の活動を支えているのだから女性会長をという動きがあっても、受け手がいなければまた男性に戻ってしまう。積極的に取り組んでいこうと」の意見もでました。山口みつ子さん(助言者)からは、「女性はひたひたと力をつけてきている。しかしトップを選ぶ段階になると、なぜか現時点での社会的地位が持ち込まれてくる。会社での役職などのない女性が会長職に選ばれにくい要因になっているのでは」と指摘がありました。