選ぼう 私たちのエネルギー アンケート調査の結果報告
 今年春に実施した調査結果がまとまりましたので、そのあらましを報告いたします。ご協力誠にありがとうございました。
調査の目的

 私たちは東日本大震災にともなう原子力発電所の事故を受けて、エネルギー問題に強い関心を持つようになりました。
 安全で安心な「環境によいエネルギーとは何か」、生活者の私たちはどのように考え推進していくべきかとの思いから、昨年11月には東京で「選ぼう、わたしたちのエネルギー」と題する、全地婦連と共催のシンポジウムを開催しました。
 このアンケート調査はさらに、消費者の日頃の節電行動やこれからのエネルギーの考え方への理解を深め、東京地婦連のエネルギー問題への取り組みに活かすことを目的に実施したものです。
  • 調査期間 2013年3月1日〜31日
  • 調査方法 アンケート用紙500枚を配布、留め置き、内440枚回収
    ・回収率 88・0%
  • 回答者の内訳 性別=女性299人(68・0%)/男性99人(22・5%)/無回答 42人(9・5%) 合計440人(100%)
     年代グループ別構成
    ▽20〜30代 77人(17・5%)
    ▽40〜50代 141人(32・1%)
    ▽60歳以上 221人(50・2%)
    ▽無回答 1人(0・2%)
     合計440人(100%)
日頃取り組んでいる節電対策

問1 次の節電対策のうち、日頃から取り組んでいることがありますか。

《全 体》
 1位は「照明をこまめに消す」。2位「エアコン・冷蔵庫・床暖房などの設定温度を控えめにする」。3位「炊飯器・ポットなどの保温を控える」。3位までは過半数の消費者が、日常的に手軽に行う節電です。回答総数から一人で平均すると4つの対策に取り組んでいることになります。

《年代別》
 未来を見据える「創エネ」に関心
 「太陽光発電を行う」に着目すると、全体では10位でまだ少数派です。
 回答者の内訳を年代別に見ると40〜50代が46・7%で1位、多額の設備投資を要しますが、未来を見据える働き世代の「創エネ」への関心が高いのが特徴です。

問2‐(1) 従来の白熱灯から、消費電力が低くて省エネかつ長寿命という「LED照明」への交換が奨励されています。そこでLED照明への交換についてうかがいます。お宅では?


《全 体》
 1位は「交換していない」の43・2%でした。2位「一部の部屋のみ交換」38・4%。3位「交換可能な部屋は交換済み」18・4%。
 2・3位を合わせると56・8%になり、半数以上の家庭では、LED照明への交換が徐々に進んでいると見ることができます。

《年代別》
 3位の「交換可能な部屋は交換済み」の回答者の内訳を年代別に見ると、40、50代が39・5%で1位、一方「交換していない」消極派の1位は60歳以上で53・1%でした。

問2‐(2) (1)で「一部の部屋のみ交換」または「交換していない」に○をつけた方にお尋ねします。今後あなたは?


《全 体》
 1位は「エコポイント制度による値引きが復活するなど、価格が安値になれば交換したい」の67・7%でした。2位「LEDの性能や選び方がよく分かれば交換したい」14・5%、「無回答」9・2%、「その他」8・6%と続きます。
 交換に伴う消費者の経済的な負担、LEDの高値が問題点として明らかになりました。
 2位の「よく分かれば交換したい」は、市場にお目見えしてから日の浅いLEDだけに、選択の目安となる情報、表示などが未だ十分とはいえないことを示しています。
 「部屋の照明に適しているのはどれか」「今の器具とランプが適合するのか」「トラブルは起きないか」など分からない点が多いために、交換に踏み切れない消費者です。

《年代別》
 2位の回答者の内訳では60歳以上が53・8%を占めました。特に高齢者への分かりやすい説明が必要といえる結果です。

問3 あなたが家庭で節電に取り組むに当たり、あれば良いと思う機能、情報はありますか。(複数回答)


《全 体》
 1位は「電気の消費状況や毎日の消費電力が見えるスマートメーターがあると良い」で63・2%でした。わが家の電気使用量がリアルタイムで表示されることは、省エネの実践に役立ちます。「スマートメーターによる見える化」に熱い期待が寄せられました。
 2位は「夜間に貯めた電力をピーク時に家で活用できる家庭用蓄電池の普及」53・2%、計画停電の苦い経験のせいか災害時の備えに「蓄電」したい消費者は多く、品質の良い手頃な「家庭用蓄電池」の普及が求められています。
 3位は「自分が節電した結果、電力の余裕度にどれくらい貢献しているのかが見えると良い」38・4%、真剣に節電に取り組む消費者の姿勢がうかがえます。
 4位は「各家庭の電力消費に応じて、家電製品を自動的に制御してくれる機能」35・9%。電力不足が心配な時に、自動的に省エネモードに切り替えてコントロールできるという、スマート社会への思いでもあります。
 5位「ブレーカーが落ちる前に、音声で電気の使用量を控えるように知らせる機能」33・4%、6位は「テレビ・ラジオや携帯電話などで、節電を促すその日の電気予報が分かると良い」25・5%でした。

《年代別》
 年代別回答率*に着目すると1位「スマートメーター」では40〜50代の75・2%、2位「家庭用蓄電池」では20〜30代の65・0%という高さが際立ちました。
 5位の「ブレーカーが落ちる前に音声で知らせる機能」は回答者の51・7%を60歳以上が占めています。高齢者の家庭内事故防止につながる機能といえるでしょう。
*年代別回答率 回答数を年代グループ別人数で割ったもの。

問4 今、さまざまな種類の「再生可能エネルギー」の普及が図られています。次の中であなたが期待したいと思うものに○をつけてください。(複数回答)


《全 体》
 1位「太陽光発電」70・7%。2位「風力発電」53・9%。3位「太陽熱利用」38・4%。4位「地熱発電」38・0%。5位に「海洋エネルギー」35・7%。以下「水力発電」29・8%。「バイオマス発電」20・5%。「その他」は2・5%です。
 回答総数を見ると一人平均3つのエネルギーを挙げており、再生可能エネルギーに対する消費者の期待の大きさがうかがえました。
 固定価格買取制度導入後、「太陽光」など特に普及への歩みが加速されています。

《年代別》
 顕著な特徴はなし。

問5 太陽光発電を普及させる手法の一つとして、「屋根貸しビジネス」があります。東京都では、屋根の借り手と貸し主を結びつける仲立ちを行っています。発電事業者は賃料を払う一方で、売電し収益を得る、建物所有者は屋根を貸して、地球温暖化に貢献しながら賃料収入になる、というメリットがあります。

 5‐(1) もしあなたがこの事業の対象になり、条件が合えば、太陽光発電事業者に「屋根貸し」をしてもいいと思いますか。


《全 体》
 1位の同意派「はい」は37・0%でしたが、2位の「いいえ」32・7%も3割を超えており、意見は分かれました。3位は「集合住宅で無理」20・2%、4位「建物所有者ではない」8・2%という結果です。「集合住宅」の屋上設置対策も急がれます。

《年代別》
 60歳以上に着目すると、全体では2位の「いいえ」が「はい」を上回り、「いいえ」と答えた人の59・7%を占めています。慎重派といえます。

5‐(2) (1)の「屋根貸し」で「いいえ」に○をつけた方、その理由を。(複数回答)


《全 体》
 1位は「設置工事・契約後の保守点検などに不安がある」の58・3%、2位「太陽光発電システム・機器の品質に不安がある」29・9%、これに3位の「煩わしい」17・4%、4位「その他」18・1%が続きます。
 この屋根貸し制度を検討する以前に、消費者にとっては「そもそも太陽光発電の仕組み、システムとはどんなものか」「機器の品質保証はされるのか」「設置工事の専門家はいるのか」「設置後に雨漏りしないか」「点検はしてくれるのか」「安全性は大丈夫か」など、分からない点が多々あります。
 太陽光発電は「地産地消の再生可能エネルギー」として最も期待される一方で、重要な情報が不足しており、不安感を抱く消費者の姿が明らかになりました。
 「その他」の理由として、「家が古い」など、家の強度や屋根への影響を挙げる消費者が目立ちました。

問6 あなたは、東京都が「再生可能エネルギー」を積極的に導入するために、仮称「東京都再生可能エネルギー導入推進条例」を定めた方がいいと思いますか。


《全 体》
 1位は「はい」の60・7%、東京での条例化を求める声です。2位「どちらともいえない」は33・9%。3位「いいえ」は3・4%と少数派でした。

《年代別》
 全体1位の「はい」の回答率では、40〜50代が70・9%と高いのが特徴です。「どちらともいえない」理由としては「内容がよく分からない」(多数意見)「中身次第」「生活が苦しい上に生計に負担がかかる」などがありました。
 再生可能エネルギーの電気料金への上乗せを懸念する声も含まれます。

問7 電力の自由化は家庭など小口以外では徐々に進み、例えば発電事業を始めた新電力会社と契約する、自家発電を行っている工場が余った分を自治体に売るなど、全国的な広がりを見せています。
 しかし、家庭用では自由に電力会社を「選べない」のが現状です。あなたは「選べる」ようにすることに賛成ですか。



《全 体》
 1位は「はい」の69・3%、電力の自由化を選択した消費者は7割近くいました。2位「どちらともいえない」は26・8%。3位「いいえ」は2・7%とわずかでした。
 電力の自由化を図る、電力システム改革のためには電気事業法の改正が必要であり、国民の負託に応えるためには、国会での審議が急務です。

《年代別》
 1位の「はい」の回答率は、20〜30代が75・3%、40〜50代では76・6%とさらに高くなります。
 未来を担う世代、中堅世代の小口の電力自由化を求める声です。

電力自由化を図るシステムの改革を
消費者の自由意見


(抜粋)
◇節電・省エネ
□東日本大震災で数日停電を経験し、電気の大切さを知った。今後も少しずつ節約・節電を心がけ、住みやすい街に、日本にしていきたい。
□節電に取り組んできたが、最近の夜の街のにぎやかさを疑問に思う。
□節電はもう十分しているので、行政が明確な指標を示す時期だと思う。

◇LEDの普及
□LED電球を、無料で配ったらどうか。

◇再生可能エネルギー
□便利さの発想のもとで原発事故が起きたと思う。再生可能エネルギーについても同様で大量生産を目指すと、環境問題などが起きると思う。
□屋根貸しは国・自治体自身から始めたらどうか。
□集合住宅でも利用できる、発電システムがあればよい。

◇電力の自由化、その他
□限られた資源、家族単位でなく国全体で共有を考えるようになればよい。
□電力会社が選べたら、原子力のためにお金を使う会社は選ばない。
□家庭用の蓄電池がほしい。

 調査のあらましは、以上です。