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■2012年8月15日付
平成24年度結核予防複十字シール運動
都知事を表敬訪問
北方四島ビザなし交流
固有の領土を、平和的に取り戻してほしい
パブリックコメントを提出
私たちは「原発ゼロシナリオ」を選択します
むなしさが残る 東電値上げ8.47%
「省エネ・創エネ機器の選び方」学習会
私の想い 8月平和を願う
地域のニュース

■平成24年度結核予防複十字シール運動
 都知事を表敬訪問
 8月1日から12月31日まで、平成24年度複十字シール運動が始まりました。8月3日、運動開始にあたり、東京都知事へ初の表敬訪問をしました。

前田秀雄技監に複十字シールを託す谷茂岡会長=8月3日、都庁
都も結核予防に努力

 東京都結核予防会の石館敬三理事長と東京地婦連谷茂岡正子会長、端山純子副会長らが東京都福祉保健局前田秀雄技監と面会し、結核の現状報告と運動開始にあたって協力のお願いをしました。前田技監は、「東京都としても、結核予防の普及啓発に努力していきます」と話しました。
 複十字シール募金は、複十字シールを媒体とした募金活動で、その目的は結核まん延国に対する国際協力や結核、肺がんCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器疾患をなくして、健康で明るい社会を実現するものです。
 結核予防会では1952年から複十字シールを作成し、募金された方にシールを配り、そのシールがさらに多くの人にこの運動の輪が広がるようにと、活動を続けています。
 結核は日本では今も、毎年2万3000人の患者が発生して、2000人以上の人が亡くなっているわが国の主要な感染症です。

途上国への援助も

 世界では総人口の3分の1が結核に感染しているといわれています。国内だけでなく、世界中から結核をなくすことを目指し、結核がまん延している途上国への援助も募金の大きな目的です。
 このシール運動に加え、9月24日から30日までは結核予防週間です。全国各地で結核の正しい知識と、感染症に関する情報の提供を行っています。東京地婦連も募金に協力しています。 皆さまのご協力をお願いします。


複十字シール運動は、どなたでも参加できます。ご協力ください
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■北方四島ビザなし交流
 固有の領土を、平和的に取り戻してほしい
 (独)北方領土問題対策協会が実施する平成24年度北方四島交流訪問事業に、全地婦連の推薦で6月28日から7月2日の日程で参加しました。参加者は返還運動関係者、国会議員、元島民、報道関係者、医師、政府同行者ら63人、団長は佐賀県婦連の三苫紀美子会長でした。ロシアは2007年から15年の社会経済発展計画で、多額の予算を投入して開発を進め、実効支配を強化しようとしています。北方領土返還運動を継続していくことが、ますます重要になります。
 6月28日、事前学習会を終えた夕方、今年竣工した「えとぴりか(1124トン)」で根室港を出発、見送りの人たちに手を振り気持ちも引き締まる思いでした。
 船中では、同室者の元島民(主婦)のお話を聞くことができました。彼女はご主人と一緒に、今回初めて島に渡るそうです。
 生れた島は志発島、当時4歳であまり記憶はないそうですが、8歳の姉の話からソ連軍が島に侵攻しはじめた時、父親が島から船で闇夜にまぎれて根室まで何往復もして、近所の人たちを逃がした話や、カレーライスの中にエビや貝など、手づかみでとれた具がたくさん入っていて、とてもおいしかったなどと聞き、当時の漁獲の豊富さが想像できました。

生きているうちに故郷に帰りたい


オホーツク海岸のゴミ拾い
 また国後島の紗那に住んでいた当時10歳と14歳の姉妹は、ロシア人との2年間の共同生活の後に強制送還された、当時の苦しかった話をし、「私が生きているうちに故郷に帰り、今は亡き両親に報告したい」と涙ながらに述べました。
 29日に国後島に上陸、2班に分かれて私は、オホーツク海岸で漂流物調査に参加しました。島の子どもたちと流れ着いたゴミを回収、自然と環境問題の調査に取り組みました。とても友好的で、明るい子どもたちでした。私たち大人は、この領土問題をあいまいにしたまま子どもたちの次の世代に送ってはいけないと強く思いました。
 島にはダーチャ(家庭菜園)別荘があり、週末になるとジャガイモなど野菜を作っています。ソ連崩壊後、物資が滞った時期に原野を開墾して、野菜を作り始めたそうです。町から離れたダーチャには電気、水道はないので、雨水を貯めています。
 一方、次の訪問先のメンデレエフ空港では道路の舗装工事も進んで、立派な空港ができてました。モスクワ間の定期便など年間1万2000人の利用があるそうです。古釜布の町も行政府を中心に道路も整備され、新しい家も建ち並び、友好の家(俗にいうムネオハウス)も小さく見えました。

着物ショーと茶道


和服の着付けショーは大好評

和服でホームビジット。右端が筆者
 次の日の朝、9時間かかって択捉島に着きました。今回のメインイベントの文化交流、「着物ショー」と「茶道」を紹介しました。持参した着物を母親や子どもたちに着せて披露して喜ばれました。4島側からは、ロシアの民族衣装が披露されました。ロシア人約60人が参加し、会場は熱気に包まれ文化交流は大盛況でした。
 7月1日、択捉島最後の日は紗那の日本人墓地の清掃と墓参に行き、静かに合掌しました。
 紗那には大企業ギドロストロイ社の冷凍加工コンビナートが建設され、冬場はカラフトマス、夏はスケソウダラなどの操業、冬場は択捉島に2カ所、色丹島に1カ所の水産コンビナートがフル回転すると聞き、相当の量を乱獲しているのではないかと感じました。

意図的な実効支配へ危機感

 今回ビザなし交流に参加して感じたことは、急速に進む開発に見られる、ロシアの意図的な実効支配への危機感です。
 6月18日のメキシコ会談でロシアのプーチン大統領は「領土問題を再活性させる」と言って期待を持たせ、他方メドベーチェフ首相は7月3日に国後島を訪問して、「われわれ古来の土地、一寸たりとも渡さない」と語って、ロシアの実効支配を誇示しています。
 結団式で根室の副市長が語った、まさにアクセルとブレーキを一緒にする対応で、彼らのしたたかさを感じます。日本固有の領土を平和的に取り戻してほしいと願いつつ、日本政府はもっときっぱりとした外交手腕を示してほしいと望みます。
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■パブリックコメントを提出
 私たちは「原発ゼロシナリオ」を選択します
 政府は、東日本大震災と原発事故を受けて、エネルギー・環境政策を白紙から見直すことを決めました。政府に設置された3つの審議会での議論を踏まえて6月29日、政府のエネルギー・環境会議では3つの選択肢を示し、今後の日本社会がどんな選択をするのか、8月12日までにパブリックコメントを求めました。2030年までにどこまで原発の依存度を下げ、どの程度のコストをかけて、どこまで再生可能エネルギーを拡大させるのか、結論を出そうとしています。
 暮らしの安心・安全を求め、世界の恒久平和を願い運動を進めてきた東京地婦連は、やはりリスクの高い原子力発電をなるべく速やかにゼロにすべきと「ゼロシナリオを選択します」とパブリックコメントを出しました。

パブリックコメント全文
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■むなしさが残る 東電値上げ8.47%
納得いくまで確認を

 福島第一原発事故に端を発する家庭向け電気料金値上げ問題では、東電からの10・28%の値上げ申請に対し東京地婦連は強く反対し、「本来容認できない値上げであり、総括原価方式を取りやめて申請の根拠が不透明な原価については、圧縮しスリム化すること」など、消費者としての意見を、東電はもとより値上げ申請先の経済産業省、お目付役の消費者庁へさまざまな機会に伝えてきました。
総括原価方式で

 そして、消費者庁を後押しする思いで2省庁間のやり取りを見守りましたが、現行総括原価方式のままの査定で9%台前半までの下げ幅とする経産省の専門委員会に対し、消費者の意見を反映させるため消費者庁は値上げ幅を6%台以下に縮めるよう指摘、しかし値上げ幅については枝野大臣と松原大臣が会談した結末は、8・47%の値上げで合意したものです。
 消費者が求めた、管理職の人件費・燃料費・スマートメーターなどの調達費はわずかに減りましたが、合計しても原価の1・5%に達しません。福島の動かない原発の維持費、柏崎刈羽原発の再稼働計画も原価に含まれたまま、9月から原則3年間は、この電気料金体系になります。

不本意な値上げによる家計への影響緩和に省エネ・創エネの知識を

 私たちは理不尽な値上げによる家計への影響を緩和するためにも、家庭の一層の省エネ・創エネ対策に知恵を絞りたいものです。
 また基本料金を抑えるには、必要以上のアンペア契約をしないようにすることも効果的です。
 60アンペアまでの家庭用ブレーカーのアンペアを下げる場合は、検針票に記入されている東電の問い合わせ先に相談してください(それ以上のアンペアの家庭ではブレーカーは、東電扱いではありません)。
 さらに今後は新しい料金メニューが加わりますが、家庭の使用状況を踏まえ、あわてずに分からない点は納得のいくまで確認してください。
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■「省エネ・創エネ機器の選び方」学習会
高い関心、質問も多数 家庭用蓄電池開発に期待

 節電と省エネを進めるために一般財団法人ベターリビングと協力して、8月1日、一般社団法人リビングアメニティ協会に所属する事業者を招いて「省エネルギー機器や創エネルギー機器の選び方」の学習会を全国婦人会館で開催しました。
 太陽光発電システム・LED照明器具、ガス給湯器、電気給湯器、窓、節湯機器の5つのBL省エネ住宅部品について機器の説明と最近の需要の動向や選び方のポイントについて、担当者から詳しい話を聞くことができました。
 まだまだ価格の高い太陽光発電システムですが、国策によって行政からの補助金制度や余剰電力の買い取り制度も始まり、設置のメリットが拡大しています。
 注意点としては設置のシミュレーションをして発電ロスを把握することや、施工時には、パネルの重みに屋根が耐えられるか(耐震強度が不足していないか)、雨漏りしないかなど施工業者の選定に関する注意が挙げられました。
 LED照明は価格や性能はさまざまです。白熱球は明るさをワット(W)で表しますが、LEDは光の束(ルーメン:lm)という単位で表します。白熱電球60Wは810ルーメンだそうです。また色も多色で、色温度(ケルビン:k)で表示されるそうですが、どの程度の色温度が昼間色なのか消費者にはよく分からず、失敗もあるようです。

LED照明はよく検討して

 ほとんどの電球をLED照明に取り替えたら、体調不良やちらつきを感じる不快感があったという事例が参加者から出されましたが、「国内のJIS合格品は高性能のはずだが……」との回答でした。取り替える時にはよく考えて、選ぶ必要があるようです。
 窓についてはアルミに比べて、1000分の1しか熱を伝えない断熱効果のある樹脂による内窓、外窓サッシは二重サッシと変わらない効果を発揮し、「簡単に施工できます」と薦められました。風を取り入れる雨戸パネルなどの、多様な商品があることも紹介されました。
 節湯機器ではシングルレバーの蛇口で、節約できる水とお湯との切り替えがしやすい節湯水栓やシャワーの節湯で、熱エネルギーも水も節約できる商品が紹介されました。品数はまだ少ないそうですが、シャワーの節水では、エア(空気)を混入させて流動圧を保たせシャワーの威力は変わらなく感じる商品も開発されているそうです。
 参加者の関心は高く、LED照明、樹脂サッシ、節水シャワーについて具体的な質問が出されました。これからは家庭の太陽光発電で作った電気を、家庭でもためて使える蓄電池の開発普及について、「価格を含めもっと進めてほしい」という声もありました。
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■私の想い 8月平和を願う
真夏の夜の夢
視野広げ、やがて地球市民として


 このところ、金曜日になると首相官邸周辺は、反原発デモでにぎわっています。テレビで見る限り、60年安保の頃の「デモ」とはまったく違って、まるでお祭りを楽しんでいるような雰囲気で、年配の人や子ども連れの若い母親も多く、テーマも「反原発・再稼働反対」にしぼられ、イデオロギーは一切ありません。
 これは、私ども古い人間の「デモ」の概念をすっかり破られた感があり、刻々新しい社会へと変貌していく兆しではないか? と(少々過言であるが)思えて、先が楽しみでもあります。
 原発再稼働を容認した現政権の姿勢は実に腹立たしく、福島の教訓は何だったのでしょうか。多くの人命が断たれ、土地を追われ、1年半たった現在も苦しみは続いています。この想いを多くの人々が胸に抱え、原発依存の社会からの脱出を願っています。
 現在行われているデモは組織動員は一切なく、個々人がそれぞれの立場で参加してくるということです。インターネットで想いを共有し、てんでに官邸前に集まってくると、それぞれの言葉で反原発を訴えています。初対面の人たちが仲良くなって、国の将来や子どもたちの安全を考えて同感し、一緒に行動し、2時間程度で別れて帰宅するそうです。
 私は、参加した人たちはきっとそれきりではないと考えています。今後、各自の生活の中で、デモで共有した想いは確実に定着し、政府の施策に常に関心を持ち、考え、意見を言う、それが大きな流れの一つともなって、いずれは政策決定の場へも影響をしてくる時が来れば……と、期待しています。
 環境問題、再生可能エネルギー問題など視野を広げて、やがて国境を越え、経済を越え、地球市民として行動してゆく人がたくさん出てくれば、世界の閉塞感から脱して「足るを知る」社会が出現するかもしれません。
 楽天的な私の、夏の夜の夢をお話しいたしました。

父の自分史
失った命の尊さが身にしみて悲しい


 今年92歳になる父は、かなり波瀾万丈な人生を送ってきました。そんな父に、「自分史を書いてみたら?」と薦めたのは3年ぐらい前でした。
 母を6年前に亡くし、自分もそう長くはないという思いがあった父は、それから約半年ほどの間に書き上げました。その記憶力に脱帽です。
 せっかく書いたのだから私も何かの形にしたいと、まず、私の娘がパソコンでまとめはじめました。このまとめが意外と大変でしたが、それを読んで、今まで体験談は聞かされていたものの、あらためて大変な人生をおくってきたのだと再認識しました。
 今年も8月15日を迎えますが、その一番は戦争体験です。多くの人たちが悲しく、つらい思いをした戦争ですが、父は若いときから志願して軍人となり、中国や東南アジアなどへ軍人や物資を送り込む船の係だったそうです。
 何度も襲撃されて命がけで航海したことや、自分の大切な部下を爆撃で亡くし、自分も大けがをして、でも命だけは助かり、終戦も知らずにフィリピンでアメリカ軍の捕虜になって過ごした日々のことなど、そんな生々しい文章を目の当たりにして、私たち戦争を知らない世代も、戦争は絶対にしてはならないと思いました。
 父は長い人生の中で、命の尊さが一番身にしみて悲しいことと言います。亡くなった人たちのことを考えると、ぜひ、フィリピンの海に散骨してほしいと言い始めました。
 気丈な父です。事情があり、今はひとり暮らしをしていますが、週に一度帰省する私とヘルパーさんの力を借りて、不自由な足を引きずりながらでも、元気に暮らしています。
 そんな父に、早い時期に一冊の本にしてプレゼントしたいと思っています。

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■地域のニュース
牛乳パックで手すきはがき
わか草婦人会

 夏休みに入った7月27日、[飾区消費者センターで「牛乳パックで作る手すきはがき親子教室」が開かれました。公募で15組37人の親子が参加して、谷茂岡会長と私が指導しました=写真。
 作業に入る前に会長は、資源の大切さやリサイクルのことなど、小さな子にもよく分かるように説明しました。
 牛乳パックのビニールコーティングを剥がして、細かくちぎったパルプをミキサーにかけます。子どもたちの緊張した手が、ミキサーのスイッチをオン。「ゴオーッ」という音にびっくり。
 親子共同作業で木枠にパルプ液を流し込み、好きな切り絵などを散らす真剣な子どもたちのまなざし。仕上げのアイロンはお母さんたちも多いのに、「初めてアイロンを見た」という子もいました。
 はがきを手にした男の子が「おばさん、自分で作った記念に、このはがきをぼくの所へ出してもいい?」と聞きに来たので、「世界に1枚しかないはがきだから、届いたらすてきだね」と言うと、「おばさんに褒められた」と、喜んで母親の元へ戻って行きました。
 牛乳パックから1枚ずつ40人の親子に教えるのは大変でしたが、「夏休みの勉強が親子で仲良くできて楽しかった」と、お礼を言いながら帰って行く後姿を見るのは、心地よい疲れでした。
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