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■2013年12月15日付
ブロック会議2013 パートT
特定秘密保護法廃案ならず 廃案求める要望書
平成25年度第11回関東甲信越地区
結核要望婦人団体幹部研修会
東京都のぜんそく医療費 無料化打ち切りか
北方領土返還要求アピール行動
地域のニュース

■ブロック会議2013 パートT

国産小麦の生産も、増えている

 東京地婦連は昨年11月13日、全国婦人会館と共催でブロック会議2013パート1「食の問題を考える〜日清製粉鶴見工場見学と意見交換会」を開催しました。日本では小麦の産地に近い内陸部に製粉工場は建設されるのが常識ですが、鶴見工場(川崎市大川町)は大正13年に沿岸部に位置して起工され、2年後の1926年に完成、稼働しています。


日清製粉工場見学と意見交換会。分かりやすい説明で好感のもてる研修会でした

小麦粉の製造工程を見学

輸入小麦と国産のパンを食べ比べ

食の問題を考える
日清製粉鶴見工場見学と意見交換会


 現在、日本国内の小麦の消費量の9割は輸入で、鶴見工場での生産・供給は国内最大規模の生産能力を保持しています。
 参加者30人は広い構内を3グループに分かれ、丁寧な説明を受けながら見学しました。
 その後の意見交換では海外からの小麦の種類や用途、国内産小麦、原料の管理、検査、価格、ポストハーベスト、賞味期限など多彩な疑問や質問が出ましたが、工場側は分りやすい説明や誠実な対応で終始し、参加者は好感をもって研修会を終わることができました。


麺用からパン用に伸びる需要

 鶴見工場では海外から小麦を運ぶ3万トンから5万トンの大型貨物船が接岸できる工場専用の埠頭があり、岸壁から直接アンローダーという大きな掃除機の吸い口のような機械で小麦サイロにおくられ貯蔵されます。
 サイロでは2カ月分の小麦がストックでき、業務用から家庭用まである設備工程で、用途に合わせた製粉を行っています。

製造過程は無人化

 製造ラインでは最新のロール機を使って、小麦の大粉砕から小粉砕へ、0・2ミリや0・1ミリのシルターと呼ばれる細かいフィルターでふるいにかけ、袋詰めまで、製造過程はすべて無人化されています。
 機械と機械はパイプでつながり、次の工程は空気の力で粉を運ぶ「微陽圧空調システム」で、製造過程でのチリやほこりの入りにくい衛生的で「安全・安心、省エネ、環境配慮、トレサビリティーなどを備えた「先端技術の結晶‐Gミル‐」と称している製造工程の説明がありました。
 小麦粉は日産1500トン、約250銘柄あるそうです。コンピューターで管理された無人の立体自動倉庫で、1袋25キロの大袋50万袋あまりが、何段もの棚団に整然と積まれて、高層ビルの上から下をのぞき込むように壮観でした。
 工場は24時間稼働で、無人化を制御するコントロールルームには2人が交代で勤務しています。1階には品質管理センターがあり、ここが一番職員数の多い場所でしたが、ちょうど見学時間が昼休みのため人影はありませんでした。

小麦の9割は輸入

 小麦の消費は麺用からパン用に伸び、現在国内消費量は600万トンを超えています。うち9割は米国、カナダ、オーストラリアからの輸入です。国内の小麦生産は、育成に適さない気候でもあり、品種改良も遅れがちで、国の減反政策の中でも、最近は改良された国産小麦が生産され、少しずつ国産小麦の生産も増えています。
 日清製粉でも、国内産小麦の製粉ラインがあり、試食タイムでは、品質管理センターで試作された食パンの食べ比べをしました。
 意見交換では、日本の穀物需要について質問が出され、米の需要は減り気味の中で、輸入小麦の農薬の回数、耕作環境など海外での状況把握、小麦の種をまく前に除草剤を使ってほしくないなど、気になる質問が出されました。

安全性確保に努力

 日清製粉側は、「海外の小麦農場は広大な面積で耕作しており、稲作より人手や手間もかかっていない。農薬の散布の回数は、実際は分からないが、農薬をまくコストを考えると、さほど散布はしていないだろうと推測している」
 「輸入に際しては農薬のポジティブリストにそって規格オーバーすることはないし、農産物検査法にもとづいて、売り渡されている。港湾や商社にも分析を義務付けている。入港時にまた分析している。遺伝子組換え小麦については、商業栽培は今のところできていない」など、安全性の確保に努力していることが分かりました。
 適切に管理されたものを使うことは大切だと思う感想のある中で、それでもなお、海外の小麦栽培時の管理体制やポストハーベスト、船で運ばれてくる間の保存状況など、不安をぬぐい去れない感想も聞かれました。
 食品ロスの動きについても質問が出ました。賞味期限「3分の1ルール」には、製造業者としては納入制約や、流通業者からの返品問題もあり、見直しを求める姿勢が述べられました。

小麦粉になる工程が多いのに驚いた

 見学後の感想では「小麦粉になるまで工程が多いのに驚いた」「国産品が少ないのには残念」「自動でできる製粉の様子は勉強になった」「スーパーに並ぶ小麦粉を見直そうと思った」「やはり輸入の安全が不安」など、パンや麺類など小麦は身近な食品の原料だけに関心も高く、面白くて役に立った工場見学でした。

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■特定秘密保護法廃案ならず 廃案求める要望書
 防衛・外交・スパイ活動防止・テロ防止の4分野の重要な情報を特定秘密に指定し、機密を漏らした公務員はじめ民間人への罰則を強化する特定秘密保護法について東京地婦連では、法案成立を急ぐ安倍総理他へ12月2日、廃案を求める要望書を送りました。

 しかし、国民の不安や批判の声が急速に高まり、全国各地で抗議デモが繰り広げられる中で、審議未了のまま衆議院に続いて参議院でも採決が強行され、国民の疑念の晴れないまま「特定秘密保護法」は可決・成立しました。
 衆議院では具体的な監視機関の在り方さえ論議されず、にわか仕立てに参議院で出された3つのチェック組織(1)情報保全諮問会議(2)保全監視委員会(3)情報保全監察室 ―― も政権内部、行政同士あるいは内閣府内での監視にとどまり、国民の知る権利への侵害・情報公開の停滞が払拭できない組織です。
 市民運動のデモをテロに例えるような政治家に、権力を与えてしまったのはほかならぬ国民であることに、私たちの社会の危うさを思い知らされます。

私たちは「特定秘密保護法案」の今国会での廃案を求めます!

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■平成25年度第11回関東甲信越地区
 結核要望婦人団体幹部研修会
 東京地婦連は全国結核予防婦人団体連絡協議会などと共催して昨年11月22日、平成25年度第11回関東甲信越地区結核予防婦人団体幹部研修会を、渋谷区内で開催しました。結核予防の普及活動をする婦人団体幹部50人が参集、シール募金運動や結核予防普及啓発のための学習を行いました。


結核予防7婦人団体幹部研修会。「日本はまだ中蔓延国であり、油断はできません」と講師のお話=11月25日
結核 日本はまだ中蔓延国

 主催者として谷茂岡正子東京地婦連会長と石館敬三東京都結核予防会理事長があいさつし、早速研修に入りました。
 午前中は婦人会の結核予防活動とシール募金について山下武子結核予防会事業部顧問が講演しました。
 空気感染する結核は、その感染経路が分かれば怖くない病気だが、最近は建物の空調が進み、気密性の高い住宅や建物が増え、集団感染に注意しなければいけない。結核は今、薬でほとんどの人は治りますが、日本はまだ中蔓延国であり、油断はできません。
 山下さんは、複十字募金の意義や婦人会がなぜ取り組んでいるかの歴史を分かりやすく説明した上で、知事表敬で各自治体に対し複十字シール運動の趣旨を伝えながら関心を持ってもらうこと、募金シールの使い道として国際協力があるが、カンボジア結核予防会は両国の婦人会の努力によって結成されており、カンボジアの結核対策に女性たちの力が働いたことなどがあり、毎年予防婦人会ではスタデイツアーでメンバーを募り、訪問していることを紹介しました。
 午後は森亨結核予防会結核研究所名誉所長の、最近の子どもの結核予防の決め手はBCG接種にあると、「ワクチンは子供を守る‐子どもの結核とBCG」について講演がありました。
 その後、コーデイネィターの小林典子対策支援部長のリードで、参加者が6グループで、「複十字シール募金と婦人会のあり方」を班別討議しました。
 各班からそれぞれ発表があり、各県婦人会で取り組んでいる活動や問題、新たな提案などが活発に話し合われ、有意義な研修会でした。班別討議からの報告です。

班別討議の報告

熱心に班別討議。各県の活動状況がいろいろとよく分かりました
結核は、古くて新しい病気として再認識を

 私たちAグループは東京3人と栃木、群馬、神奈川の6人で、東京が司会と記録を担いました。最初一人ずつ活動していることを話し合いました。
 婦人会で活動しているが、結核が多いことに気付き、シール募金集めの運動を通じて、いつ自分が感染するか、息子や孫を結核から守っていかなければならないと再認識し、みんなに啓発運動をする、他に家族に話をしたいという意見が出ました。

一般の人には分かりにくい「複十字シール」
 身近な人(友人)が結核にかかり、幸いよくなったという話が二人から出ました。「複十字シール」といっても一般の人には何のことだか分からない。こういう会に出てくれる人は理解しているが、出ない人にどうやったら分かってもらえるかという意見が多く出ました。
 結核は過去の病気だと思っている人が多いが、まだまだ発病する人が大勢いるので、古くて新しい病気として再認識すること。会員だけでなく、その家族にもさらに地域の人にも複十字シールのことを分かってもらえるように、募金活動を推進しようということになりました。

シール運動はいま一歩だが、継続は力なり

募金も一緒に
 私の班は山梨・長野・埼玉・東京の人たちで現状報告をしました。結核予防について啓発活動はしているが、シール運動は今一歩。複十字シール募金をしているが趣旨は伝わっていない。保健所と一緒にシール募金運動をしている。
 結核予防週間にあたり結核についてFMで放送。シールではなく実用的なものが良いのではないか、など各県の現状がいろいろ伝わってきました。これからも複十字シール運動を啓蒙していきましょう、「継続は力なり」と皆さんの思いが一致しました。
 今回の研修会に参加して各県の活動状況を知ることができ、また結核についての知識、複十字シール運動の意義や趣旨についても学ぶことができ、とても有意義な一日でした。

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■東京都のぜんそく医療費 無料化打ち切りか
 東京地婦連も署名活動や「東京公害患者と家族の会」の報告を聴くなどして裁判を支援し、「和解の条件」として2008年8月からスタートした「東京都ぜんそく医療費無料化制度」が、このほど5年後の見直しで大幅に縮小されようとしています。

大気汚染の懸念は増大

 背景には環境省の実施した05〜08年の首都圏の疫学調査があり、「成人世代の場合、自動車排ガスを吸い込んだ量とぜんそく発症に因果関係が見られなかった」として、国が東京都の求める追加負担に応じなかったため、他の被告にもその影響が及んでいるようです。
 東京都のぜんそく医療費無料制度は、大気汚染公害によるぜんそく訴訟で、被告になった東京都と国が3分の1、自動車メーカーと首都高速道路が6分の1ずつを負担して200億円を拠出し、実施されています。
 東京都は「国など関係者から追加負担が得られないと2014年度末で拠出金はほとんどなくなる。そのため14年度までの認定患者には17年度まで全額、その後は3分の1の助成とする」と、ぜんそく医療費無料化制度を打ち切る方針を示しました。
 子どものぜんそく患者は増加し、PM2・5の飛来や「2020東京オリンピック」のため産業車両急増も予測され、東京の空の大気汚染の懸念が増しています。
すでに認定患者は7万5000人を超え、患者が増え続ける中で東京都のぜんそく医療費無料化制度は大きく揺らいでいます。

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■北方領土返還要求アピール行動

日比谷公園に95団体が結集

 12月1日、北方領土返還要求アピール行動が行われました。主催は北方領土を臨む根室市、別海町、中標津町、標津町、羅臼町で構成する北方領土隣接地域振興対策根室管内市町連絡協議会です。

 呼びかけに答えて北対協や県民会議、ふるさと会の関係者、連合など95団体が日比谷野外音楽堂に集結し、来賓として山本太一内閣府特命大臣をはじめ18人の衆参議員、北海道議員からの激励を受けて、日比谷公園から銀座京橋公園までの2・2キロを550人が行進しました。先頭には東京地婦連の大北恭子さんが、横断幕を持って行進しました=写真。
 この返還要求中央アピール行動は、終戦の年の12月1日に当時の安藤石典根室町長が、マッカーサー連合国最高司令官に対し北方領土の返還を求める陳情書を提出した日で「北方領土返還のはじまりの日」として位置づけられています。
 返還要求運動の国民世論の喚起高揚を、首都東京の中央から全国に発信しようと、国民の総意の証しとして47都道府県旗と根室管内1市4町の旗を掲げながら「北方領土を返せ!」「北方領土は日本の領土だ!」シュプレヒコールをあげながら訴えました。
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■地域のニュース
秋深まる駒場公園/都民クラブ

 小春日和の11月20日、都民クラブ会員12人は、駒場公園内の日本民藝館、前田侯爵邸、日本近代文学館を訪れました
 集合場所は和食の「いらか渋谷店」です。食事を堪能した後は、3台のタクシーに分乗して、静寂の森、駒場公園へ移動しました。
 最初に訪ねたのは、日本民藝館です。石と木で組まれた重厚な建物は、開設者柳宗悦の見識の高さがうかがえます。館内では宗悦の子息、昨年亡くなった柳宗理が世界から集めた仮面や布、陶磁器などのコクレション展が開かれていました。
 公園をぐるりと回った木々の間から、次に訪ねる前田侯爵邸が姿を現しました。化粧レンガやタイル張りの建物は外国のお城を思わせます。邸内は総大理石づくり、4メートルはある石の天井、華々しく社交の場となった昭和初期の建物です。
 最後は日本近代文学館へ。近代文学関係資料の散逸を恐れ収集保存を目的に建てられたとのこと。2階展示室には、夏目漱石が鈴木三重吉に宛てたはがき「猫の死亡通知」、太宰治の学生時代のノートなど、新しいところでは24年芥川賞受賞の田中慎弥「共喰い」の生原稿を目にすることができました。
 時間に追われる欲張りな見学会でした。今度は、ゆっくり訪ねたいと思いました。建物内容ともに、深い感銘を得ました。皆さまもぜひ、お訪ねください。
葛飾区消費生活展/わか草婦人会

 第41回葛飾区消費生活展が12月7・8日の2日間、改装なったウィメンズパルで盛大に開催されました。今年のテーマは「今、消費者は ―― 自ら考え行動しよう」でした。
 各婦人団体とともに、わか草婦人会も2枚のパネルを発表しました。想像以上に来場者の関心が高かったのは谷茂岡会長のアドバイスで制作した「骨粗鬆症と言われたら」のパネルで、「原因は? 対策は? 適正な摂取量は?」などと質問され、私も「にわか栄養士」になりきり、対話も弾みました。「このパネルのコピーはありませんか? 携帯で撮っても良いですか?」など、うれしい反響でした。
 近年MRIなどの画像診断の技術が進み、自身の骨の画像をつぶさに見る機会が増えたせいかもしれません。骨は体にとって最重要器官、食育の早期開始の必要性も痛感しました。
 そのほか消費者展の目玉、スタンプラリーを自ら体験してみました。文字通り駆け足で15スタンプを踏破しました。ゴミの分別で迷ってヒヤリとしたり、東京のおいしい水と市販の水との飲み比べであれ? と思ったり、なかなかすんなりとはいきませんでした。
 でも100グラム計量感覚ゲームではピタリと当てて自分で拍手。多岐にわたる設問に感心し、楽しみました。
 2日間で延べ5500人の来場者の皆さんも、明日への消費生活の糧として生かし、楽しめたことと思います。
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